フリーランスエンジニアは、稼げる反面「守り」が脆い。 特に家庭問題、こと「離婚」が絡んだ時、個人事業主で離婚すると文字通り人生が詰む可能性があります。
僕の場合、別居の3ヶ月前にたまたま法人化していたことで、その後の婚姻費用調停で生死を分ける分岐点となりました。
もし個人事業主のままだったら、今ごろ僕は路頭に迷っていたでしょう。
1. 「個人事業主」と「法人代表」の算定額、その絶望的な差
一般的に、別居をすると婚姻費用、離婚をすると養育費を、お互いの収入に応じて支払う必要があります。
いくら払うかについては算定表が作られていておおよそこのくらいと言うのが一目でわかるようになっています。
エンジニアは経費が少ないため、個人事業主だと売上がほぼイコール「所得」であることは少なくありません。
法人代表は個人事業主ではなく会社員として扱われます。
そして、算定表をみていただくとわかる通り、個人事業主の所得と会社員の給与では、同じ額の場合、個人事業主の方が1.5倍程度多く扱われます。
下の図は子ども二人の婚姻費用の算定表ですが、縦軸の左側の数字が個人事業主の所得、右側が会社員の給与です。個人事業主の1000万円は会社員の1300万円と同等と見られます。

多くのフリーランスエンジニアが「個人事業主の所得なんて会社員の半分くらいしか価値ないよ」と言いますが、養育費・婚姻費においては逆になってしまいます。
- 僕の当時の状況:
- 前年所得:1,000万円弱
- 別居直前:塾代が多くかかる年頃だったため、複数案件の掛け持ちで年収2,000万円ペース
- たまたま別居3か月前に法人化をして年収700万に設定した
- 相手の年収は100万程度だった
- 相手の義実家に家の購入費用を借金して毎月10万円支払っていた
算定表上はどうであったかと言うと、
- 個人事業主のままだったら: 算定表上、婚姻費用は月25万〜30万円。
- 法人化して会社員とみなされたら: 役員報酬を年収700万円(手取り約40万)に設定。結果、算定表上は月13万。
この月15万〜20万円の差は、生活できるかどうかの「生命線」でした。
もし手取り40万のまま婚姻費用30万、ローン10万となればそれだけで生活はできず、路頭に迷っていました。
2. 法人化が「防弾チョッキ」になった理由
調停では、相手方(妻側)から激しい追及がありました。
- 「別居を見越して、わざと低く設定したんだろ!」 → そもそも僕は「追い出された側」。別居を計画していたのは向こうでしょ、という事実でファイナルアンサー。
- 「直近は月200万稼いでいるのに、年収700万はおかしい!」 → 過去数年の確定申告書(約1,000万)を提示し、役員報酬は年一しか変えられない性質、法人の安定運営のために余裕を持った給与設定(700万)と社会保険料(約100万)、経費(100万)、消費税(控除されない給与分約100万)の積み上げで「1000万に近くなるので700万は極端に低いとは言えない」と主張し、認められました。
3. 【冷や汗】ギリギリだった「役員報酬」の修正
実は、最初は年収900万円で設定しようとしていました。しかし、別居したタイミングで、急遽700万円に修正しました。
役員報酬は、年に一度しか変えられません。登記した後は3か月以内に届け出なければいけず、3か月以内に支払い始めなければいけないルールがあります。
一度は900万で届け出ましたが、支払う前だったので変更届を出して700万に下げることができました。
たまたま、登記から3ヶ月以内、かつ役員報酬の発生前だったからこそできた、「奇跡の3ヶ月ルール」の適用でした。
もし900万のままだったら、あるいは別居が1ヶ月遅かったら。月15万~20万は覚悟する必要がありました。
4. 弁護士も危惧した「一人社長の壁」
弁護士さんからは、「実態が一人社長なら、個人事業主と同じだと相手が主張する可能性がある」と釘を刺されていました。 実際、年収700万(手取り40万)と婚姻時から設定していたとすると、婚姻中の生活費(15万)+義実家ローン(10万)+塾代・保険・光熱費などが必要なので物理的に計算が合わないことを突っ込まれたら終わっていたかもしれません。
たまたま僕の場合は「法人の給料=所得」として全額認められましたが、これはかなりのラッキーケースだったと自覚しています。
フリーランスエンジニアが生き残るための教訓
- 離婚しそうなら法人化しておこう:個人事業主の「経費の自由度」は、調停の場では「搾取の口実」に変わります。
- 役員報酬は「低め」が鉄則:上振れた分は「事前確定届出給与」で調整するか、会社に内部留保し、決算ぎりぎりまで保留しておこう。会社の利益は養育費・婚姻費用とは関係ない数字です。
エンジニアとして技術を磨くのは当然。でも、自分の人生と資産を守るための「法人」という鎧を持つ重要性を、僕は身をもって知りました。
「今、家庭が怪しいけれど個人事業主で稼いでしまっている」というエンジニアの方、手遅れになる前に動くことを強く勧めます。


キャバクラ通いしたり合コンに参加したりしてたら20歳と同棲することになった離婚裁判中の40歳のおじさま。