
「バフェットさんの会社が買った株なら、自分も真似すれば安心そうじゃない?」

「でもバフェットさんってもう引退したんだよね?今は誰の判断なんだろう…」
結論から言うと、2026年8月14日にバークシャー・ハサウェイが開示した保有株式報告書「フォーム13F」で、グーグルの親会社アルファベットの保有株数を大幅に積み増していたことが分かりました。もっとも、こうした著名投資家・著名投資会社の「後追い投資」には、見出しだけでは気づきにくい落とし穴がいくつもあります。この記事では、今回のニュースの要点を整理したうえで、有名企業の投資動向とどう付き合えば自分の資産形成に役立てられるのかを考えます。
※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。将来の株価の動きを保証するものでもなく、投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。
ニュースの要点整理 バークシャーが「13F」で何を明らかにしたか
まずは事実関係を客観的に整理します。
- 2026年8月14日(現地時間)、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が会長を務める投資会社バークシャー・ハサウェイが、2026年4〜6月期(第2四半期)時点の株式保有状況を示す「フォーム13F」を米証券取引委員会(SEC)に提出しました。
📰 出典:Yahoo!ニュース(時事通信)「米バークシャー、グーグル株大幅買い増し 新トップ下で積極購入」
- 開示内容では、アルファベット株の保有数量が前四半期比で約83%増加し、約1億600万株、6月末時点の評価額は約380億ドル(円換算で6兆円近く)に達したと報じられています。
📰 出典:Yahoo!ニュース(読売新聞オンライン)「バフェット氏が退いたバークシャー、アルファベット株を大幅買い増し…アベルCEOの下で銘柄入れ替え進む」
- 増加分のうち一部(約100億ドル分)は、2026年6月にバークシャーがアルファベットとの間で合意した「第三者割当増資」により、市場価格より割り引かれた価格で直接取得したもので、残りは市場での買い増しによるものと報じられています。バークシャーが四半期ベースで株式の買い越し(売却額より購入額が上回る状態)に転じたのは、実に14四半期ぶりだったとも伝えられています。
📰 出典:Yahoo!ニュース(Forbes JAPAN)「バークシャー・ハサウェイが買い越しに転換、バフェットがアルファベットを後押し」
- 一方で、これまで長年ポートフォリオの中核だったアップル株については今回の四半期で保有数に変化がなく、金額ベースでは依然として保有銘柄の中で最大の比率を占めていると報じられています。また、バークシャーは2026年1月付でグレッグ・アベル氏がCEOに就任し、バフェット氏は会長職にとどまるという新体制に移行しており、アルファベット株投資については「自分が始めた判断だ」とバフェット氏自身がテレビ番組で語ったとも報じられています。
📰 出典:バロンズ・ダイジェスト「バークシャー、アルファベットを買い増し|【日刊】2026年8月14日号」
ここまでが、報道されている事実関係です。参考までに、今回登場する2社の基本的な位置づけを簡単に整理しておきます。
| 企業 | 事業内容 | 今回のニュースでの立場 | |—|—|—| | バークシャー・ハサウェイ | 保険事業を中核に、鉄道・エネルギー・製造業など幅広い事業会社を傘下に持つ持株会社。株式投資の運用主体としても知られる | アルファベット株を大幅に積み増した「投資する側」 | | アルファベット | インターネット検索サービス「Google」やクラウド事業、動画配信サービスなどを展開する米国の大手IT企業 | バークシャーが保有株数を増やした「投資される側」 |
このように整理すると、今回のニュースは「投資会社が、大手IT企業の株式保有比率を高めた」という、企業同士の資本関係に関するニュースであることが分かります。ここからは、このニュースをどう読み解くべきか、筆者の私見を交えて考えていきます。
筆者の私見・考察 「有名投資家が買った」だけで判断しない方がいい理由
あくまで筆者の私見ですが、今回のニュースを見て「バフェットの会社が買ったなら自分も」と反射的に考えるのは、少し立ち止まった方がよいと感じています。理由は主に3つあります。
1つ目は、13Fという開示制度そのものの「時差」です。13Fは四半期末から45日以内に提出すればよいルールになっており、今回の内容も6月末時点の保有状況を8月中旬になってから知る形になっています。個人投資家が「知った時点」では、すでに株価も市場環境も変わっている可能性があり、後追いで同じ株を買っても同じ条件で投資できるとは限りません。
2つ目は、取得価格の違いです。今回積み増し分の一部は、市場価格より割り引かれた価格での第三者割当増資によるものと報じられています。つまりバークシャーの平均取得コストは、私たちが市場で買う価格とは前提が異なる可能性があるということです。「同じ銘柄を買う」ことと「同じ投資成果を得られる」ことは、必ずしもイコールではありません。
3つ目は、判断の主体が変わりつつあるという点です。2026年からはアベル氏が新CEOとして采配を振るう体制に移行しており、バフェット氏自身が今回の投資は「自分が始めた」と語ったと報じられている点も踏まえると、今後の投資判断が従来とまったく同じ基準で行われ続けるとは限りません。著名企業の投資判断そのものが、体制の変化とともに変わっていく可能性がある、という視点は持っておいてよいと考えます。
もちろん、アルファベットという企業自体の事業内容や成長性について、今回のニュースだけで良し悪しを断定することはできません。あくまで「有名な投資会社が買った」という事実と、「その銘柄が今後値上がりする」という将来の話は、別のものとして切り分けて考える必要があるというのが筆者の考えです。
資産形成への発展 このニュースから読者が学べること
このニュースから、読者の資産形成に活かせる学びを2つの角度で考えてみます。
1つ目は、「すでに保有できている可能性」です。もし読者がすでにインデックス型の投資信託(全世界株式や米国株式指数に連動するタイプなど)を通じて資産形成をしている場合、アルファベットやアップルのような大型企業は、指数の構成銘柄として一定の比率ですでに間接的に組み込まれていることが一般的です。「有名企業が買った銘柄を新たに個別に買い増す」前に、自分がすでにどんな企業へどれくらいの比率で投資しているかを確認してみる価値があります。
2つ目は、「集中投資と分散投資のバランス」です。今回のニュースの背景にあるアップル株の比率の高さのように、著名な投資会社であっても特定の銘柄への依存度が高い局面はあります。個人投資家が同じように少数の個別株へ資金を集中させると、その企業固有のリスク(業績悪化、規制強化、為替変動など)の影響を大きく受けやすくなります。長期的な資産形成という観点では、銘柄・地域・時間を分散させる考え方が基本になります。
ここで、あくまで一般的な考え方の例として、簡単なイメージを挙げてみます。仮に毎月3万円を、特定の1銘柄だけに投資する場合と、数百〜数千銘柄に分散されたインデックス型の投資信託に積立投資する場合を比べると、前者は値動きの振れ幅が大きくなりやすく、後者は個別企業の業績悪化による影響が相対的に緩和されやすいという性質の違いがあります。どちらが優れているというものではなく、リスクの性質が異なるという点を理解したうえで、自分に合った選び方をすることが大切です(将来の運用成果を保証する試算ではありません)。
また、外国株式に投資する場合は、為替変動の影響(円高になると円換算の評価額が目減りする可能性がある)や、NISA口座で保有する場合の対象商品の条件、配当金にかかる現地の税金の扱いなど、国内株式とは異なる注意点があります。制度や税制の詳細は変更されることがあるため、最新の情報は金融庁や利用する証券会社の公式サイトでご確認ください。
具体的なアクション・心構え 短期の煽りに乗らないために
今回のようなニュースに接したとき、次の3つを心構えとして持っておくとよいと筆者は考えます。
- 13Fなどの開示情報は「過去の一時点のスナップショット」と捉える:発表時点ではすでに数週間〜1カ月半ほど前の情報であることを踏まえ、「今すぐ真似れば同じ結果になる」とは考えないようにします。
- 著名投資家・著名企業の判断は「参考情報の一つ」にとどめる:最終的な投資判断は、自分自身の目的(何のためにお金を増やしたいのか)・投資期間・リスク許容度に照らして行うことが大切です。
- 個別株に投資する場合は、あらかじめ比率の上限を決めておく:「話題になっている銘柄だから」という理由だけで資金配分を増やさず、生活防衛資金や積立投資とのバランスを保つようにします。
いずれも、短期的に大きく儲けることを狙うものではなく、長期的に無理なく資産形成を続けるための考え方です。
加えて、こうした海外の著名企業に関するニュースは、SNS上でも頻繁に話題になります。「〇〇(有名投資家)が買ったからこの株は爆上がりする」といった投稿を見かけることもありますが、真偽や根拠が不明確な情報も少なくありません。SNS上では今回のニュースについても「バフェット指標が示す〇〇」「これは強気シグナルだ」といった様々な見方が見られますが、あくまで一つの見方・意見として受け止め、断定的な情報をそのまま信じて売買判断に使わないことが大切です。
注意点・NG行動 このニュースを見て避けたい行動
以下のような行動は避けた方がよいと考えられます。
- 「有名投資家・有名投資会社が買った銘柄だから安全・確実に上がる」と思考停止して個別株をまとめ買いすること
- 13Fなど時差のある開示情報だけを頼りに、短期的な売買タイミングを計ろうとすること
- 話題になっている1銘柄・1テーマに生活費や余剰資金以上のお金を集中させること
- 為替変動(外国株は円建て評価額が為替レートの影響を受けます)や、海外株特有の税制・手数料を確認しないまま投資判断をすること
なお、本記事で取り上げた個別企業の株式について、売買を推奨する意図は一切ありません。個別企業への投資を検討する場合は、決算資料や事業内容など一次情報をご自身で確認し、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。
まとめ 「後追い」より「自分の軸」を大切に
バークシャー・ハサウェイのアルファベット株積み増しは、著名な投資会社の動向として話題性のあるニュースですが、開示情報には時差があり、取得条件も個人投資家とは異なる場合があります。「有名企業が買ったから自分も」という後追いの発想ではなく、自分自身の投資目的・リスク許容度に沿って、長期・分散・積立という基本を大切にすることが、落ち着いた資産形成につながります。
株式投資には、株価の変動により投資元本を割り込む可能性があります。個別株投資は特定の企業の業績・経営体制の変化に大きく影響を受けやすく、値上がりを保証するものではありません。投資に関する最終判断は、必ずご自身の責任で、余剰資金の範囲内で行うようにしてください。

