
「ニュースで『◯◯社が本決算を発表』とか『中間決算で増収』とか出てくるけど、正直どう違うのか分かっていない…」

「そもそも会社によって決算月がバラバラなのはなぜ?3月決算とか9月決算とか、何を基準に決めているの?」
結論から言うと、四半期決算は「3か月ごと」、中間決算(第2四半期)は「半年ごと」、本決算は「1年間の締めくくり」の業績発表で、扱う期間の長さが違うだけで、どれも同じ会社の業績を段階的に確認できる資料です。決算月は法律で全社統一されているわけではなく、各企業が自社の事業年度(会計年度)を定款で自由に定められるため、3月決算の会社が多い一方、9月・12月決算の会社も少なくありません。
この記事では、初心者向けに本決算・中間決算・四半期決算の違い、決算月がバラバラな理由、発表スケジュールの調べ方を整理します。決算のたびに株価が動くニュースを目にして「今から買うべきか」と焦ってしまう前に、まずは決算の「仕組み」を理解しておくことが、落ち着いた判断の土台になります。
※本記事は制度・慣行の一般的な解説であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。最新の制度・様式は日本取引所グループ(JPX)・金融庁等の公式情報をご確認ください(執筆時点:2026年8月)。
そもそも「決算」とは?本決算・中間決算・四半期決算の違い
- 本決算(期末決算):1事業年度(通常12か月)の最終的な業績をまとめたもの。上場企業は決算期末から45日以内をめどに「決算短信」で速報を開示し、その後、法定書類である「有価証券報告書」を事業年度終了後3か月以内に提出することが金融商品取引法で義務付けられています。
📰 出典:有価証券報告書(ゆうかしょうけんほうこくしょ)|JPX日本取引所グループ
- 中間決算(第2四半期決算):事業年度の折り返し地点(半年)時点の業績。上場企業は「第2四半期決算短信」として開示するのが一般的です。
- 四半期決算:3か月ごとの業績。第1四半期・第2四半期(中間)・第3四半期として発表され、事業年度末の第4四半期分は本決算に含まれる形で開示されます。
3月決算の会社を例に整理すると、次のようになります。
| 区分 | 対象期間の目安 | 主な呼び方 | 開示の目安 | |—|—|—|—| | 第1四半期決算 | 4〜6月(3か月) | 1Q決算 | 期末から45日以内が目安 | | 中間決算(第2四半期) | 4〜9月(半年) | 中間決算・2Q決算 | 期末から45日以内が目安 | | 第3四半期決算 | 4〜12月(9か月累計) | 3Q決算 | 期末から45日以内が目安 | | 本決算(通期) | 4月〜翌3月(1年間) | 本決算・期末決算 | 決算短信は45日以内が目安、有価証券報告書は3か月以内 |
📰 出典:決算短信・四半期決算短信 作成要領等|JPX日本取引所グループ
「決算短信」は各四半期終了後45日以内の開示が原則とされており、これがニュースで「〇〇社、決算発表」と報じられるタイミングの目安になっています。一方、より詳細な法定開示資料である「有価証券報告書」は、本決算については事業年度終了後3か月以内(3月決算の会社なら6月末が期限)に提出することが金融商品取引法で定められています。
コラム:2024年4月から「四半期報告書」は決算短信に一本化
やや制度的な話ですが、2023年11月に成立した金融商品取引法等の改正により、2024年4月から上場企業の第1・第3四半期報告書(金融商品取引法上の法定書類)が廃止され、取引所規則に基づく「四半期決算短信」に一本化されました。第2四半期報告書は「半期報告書」という名称に変わっています。
📰 出典:四半期報告書、2024年4月廃止へ 金融商品取引法改正案成立の公算|日本経済新聞
初心者の方が「四半期報告書」と「四半期決算短信」という似た言葉を見かけて混乱しやすいのは、こうした制度変更が背景にあります。現在、四半期ごとの業績を確認する際は基本的に「決算短信」(会社四季報や証券会社のツール、TDnetで見られるもの)を見れば十分です。
なぜ会社によって決算月がバラバラなのか
日本の上場企業では3月決算の会社が最も多く、社数構成比でみると全体のおよそ7割弱が3月決算とされています。
📰 出典:なぜ3月と12月決算の企業が多いのか?|東証マネ部!
3月決算が多い背景としては、国や地方自治体の会計年度(4月〜翌3月)に合わせている企業が多いことや、多くの企業で新卒一括採用・人事異動が4月に行われる慣行と足並みをそろえやすいことなどが挙げられます。一方で、
- 外資系企業やグローバルに展開する企業は、海外本社の会計年度(12月決算が主流)に合わせるケースがある
- 小売・アパレルなど季節性の強い業種では、繁忙期(年末年始やセール時期)を決算日がまたがないよう、2月・8月・9月など独自の決算月を選ぶケースがある
といった事情から、決算月は業種や企業ごとの事情によって分散しています。決算月(事業年度の区切り)は会社が定款で自由に定めることができ、「◯月に統一しなければならない」という法律上の規定はありません。
決算スケジュールはどこで確認できる?
初心者が決算スケジュールを確認する主な方法は、次の通りです。
- 証券会社の取引ツール・銘柄情報ページ:保有銘柄・気になる銘柄の「決算発表予定日」が一覧で見られることが多い
- 会社四季報(オンライン版含む):銘柄ごとに決算月・次回決算発表予定日が記載されている
- 各企業のIR(投資家向け情報)ページ:「決算発表スケジュール」「IRカレンダー」として公式に掲載されている
- TDnet(適時開示情報閲覧サービス):上場企業が開示した決算短信そのものを閲覧できる
決算月は企業によって異なるため、複数銘柄を保有している場合は「今月はどの銘柄の決算発表が集中しているか」を事前に把握しておくと、株価が動いたときにも理由を落ち着いて確認しやすくなります。多くの企業が3月決算のため、一般的に5月・8月・11月・2月頃は決算発表が集中しやすい時期とされています。
初心者がやりがちなNG行動
- 決算発表日を事前に確認せず、「急に株価が動いた」と慌てて売買してしまう
- 「本決算(通期)」と「四半期決算(3か月分)」の数字を混同し、期間の異なる数字を単純比較してしまう
- 決算発表直後の値動きだけを見て「好決算だから今すぐ買い」「悪材料だから今すぐ売り」と即断してしまう
- 中間決算(進捗率50%が目安)の時点で、通期予想との単純比較だけで判断し、業種特有の季節要因(繁忙期・閑散期)を考慮しない
決算の数字そのものは客観的な事実ですが、その数字をどう評価し、どう行動するかは投資家それぞれの判断に委ねられます。本記事は、特定の銘柄について「今が買い時・売り時」を判断するものではなく、決算という制度の仕組みを理解するための一般的な情報提供を目的としています。
決算を「仕組み」として理解しておくメリット
決算月・決算スケジュールの仕組みを知っておくと、次のような場面で役立ちます。
- ニュースで「〇〇社が決算発表」と報じられたときに、それが四半期・中間・本決算のどれで、通期のどのくらいの期間を対象にした数字なのかを冷静に見分けられる
- 決算発表が集中しやすい時期をあらかじめ把握し、株価の値動きが大きくなりやすい時期として心構えができる
- 短期的な株価の上下に一喜一憂せず、長期・分散・積立という基本方針を保ちやすくなる
株式投資では、目先の決算発表の数字だけで一喜一憂するのではなく、長期的な視点で業績の推移を継続的に確認していく姿勢が基本とされています。
まとめ 決算の「仕組み」を知ることが冷静な判断の土台に
本決算・中間決算・四半期決算は、対象期間の長さが違うだけで、どれも企業の業績を段階的に確認するための開示資料です。決算月は法律で全社統一されているわけではなく、官公庁の会計年度や業種の繁閑に合わせて各企業が独自に定めています。
決算発表のたびに株価が大きく動くことがありますが、その数字が「1年分」なのか「3か月分」なのかを取り違えたまま受け止めると、実際の業績とは異なる判断をしてしまう可能性があります。まずは決算の仕組みを正しく理解したうえで、目先の値動きだけに振り回されず、長期・分散の視点を保つことを心がけましょう。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。株式投資には価格変動により元本割れするリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で、余剰資金の範囲で行ってください。制度・様式は今後変更される可能性があるため、最新情報は日本取引所グループ(JPX)・金融庁等の公式サイトでご確認ください。

