
「NISA口座で株を買っているのに、配当金の入金明細を見たら税金が引かれていた…」

「NISAって配当も非課税のはずなのに、どうして?」
結論から言うと、NISA口座で保有している上場株式の配当金を非課税で受け取るには、 配当金の「受取方法」を株式数比例配分方式という方式にしておく必要があります。 口座開設時にこの設定がされていなかったり、他の受取方法のままになっていたりすると、 NISA口座で買った株式であっても配当金には約20.315%の税金がかかってしまいます。 この記事では、なぜこうした見落としが起こるのか、受取方法の種類と確認・変更の 手順、注意しておきたいポイントを初心者向けに整理します。
※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨する ものではありません。NISAは非課税制度であって利益を保証する制度ではなく、投資には 元本割れの可能性があります。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。 制度・手続きの内容は執筆時点(2026年8月)のものです。最新の情報は金融庁や 利用中の証券会社の公式サイトでご確認ください。
なぜNISA口座なのに配当金が課税されるのか
NISA(少額投資非課税制度)は、口座内で得た株式の値上がり益(譲渡益)や配当金、 投資信託の分配金が非課税になる制度です。しかし「NISA口座で買った株式=配当金が 自動的に非課税になる」というわけではない点に、意外と気づいていない人が多くいます。
上場株式の配当金は、証券会社を通じて受け取る「株式数比例配分方式」のほかにも、 銀行口座で受け取る方法や、郵送された領収証と引き換えに窓口で受け取る方法など、 複数の受取方法から選ぶ仕組みになっています。そして、NISA口座の非課税措置が 適用されるのは、この受取方法のうち株式数比例配分方式を選んでいる場合に限られます。
📰 出典:NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項
でも、株式数比例配分方式以外の方法を選択している場合はNISA口座の配当金であっても 非課税にならない旨が案内されています。「NISA口座を開いたから配当も自動的に 非課税になっている」と思い込んでいると、後から明細を見て驚くことになりかねません。
配当金の受取方法は主に4種類 非課税になるのは1つだけ
上場株式の配当金の受取方法には、一般的に次の4つがあるとされています。証券会社に よって案内の呼び方が多少異なる場合もありますが、基本的な仕組みは共通しています。
| 受取方法 | 概要 | NISA非課税の対象 | |—|—|—| | 株式数比例配分方式 | 証券会社の取引口座(総合口座)にまとめて入金される | 対象になる | | 登録配当金受領口座方式 | 保有する全銘柄の配当金を、指定した1つの銀行口座で受け取る | 対象外 | | 個別銘柄指定方式 | 銘柄ごとに異なる銀行口座を指定して受け取る | 対象外 | | 配当金領収証方式 | 発行会社の株式事務代行機関(信託銀行等)から郵送される配当金領収証を、金融機関の窓口に持参して受け取る | 対象外 |
このうち、証券会社の口座にまとめて入金される「株式数比例配分方式」だけが NISA口座の非課税措置と連動しています。銀行口座でまとめて受け取れる 「登録配当金受領口座方式」は一見便利に見えますが、NISA口座で保有する 株式であっても、この方式のままだと配当金には課税されてしまいます。
📰 出典:【NISA】配当金等を非課税で受け取るためには、「株式数比例配分方式」の選択が必要です。
のように、証券会社各社もこの点をあらためて注意喚起しています。
なお、この違いが生まれる背景には、税制上の非課税措置が「証券会社の取引口座と NISA口座がひも付いた形で入金される場合」に適用される仕組みになっている、という 事情があります。銀行口座で受け取る方法や窓口で受け取る方法は、証券会社の口座を 経由しないため、NISA口座での保有かどうかをその場で区別できず、通常の課税 (20.315%の源泉徴収)がそのまま行われてしまうと理解しておくとイメージしやすい でしょう。また、投資信託の分配金についても基本的な考え方は同様で、NISA口座内の 投資信託の分配金を非課税で受け取るには、証券会社の取引口座で受け取る設定に なっている必要があります。
見落としがちな3つのパターン
1. 口座開設時の初期設定のまま気づいていない
証券会社によっては、口座開設時に受取方法をあらかじめ選ぶ画面があります。 急いで開設手続きを進めた結果、初期設定のまま変更していなかったり、 「あとで設定すればいい」と後回しにしたまま忘れてしまったりするケースが 見られます。特に、以前は銀行の普通預金口座で配当金を受け取る 「登録配当金受領口座方式」を使っていた人が、後からNISA口座を開設した 場合には注意が必要です。
2. 複数の証券会社で口座を持っていて、一部だけ設定できていない
NISA口座は1人につき1つの金融機関でしか開設できませんが、NISA口座以外の 特定口座・一般口座は複数の証券会社で保有している人もいます。受取方法の 設定は証券会社ごとに個別に行う必要があるため、「メインの証券会社では 設定していたが、サブで使っている証券会社では未設定だった」という すれ違いが起こることもあります。
3. 権利確定日の直前・直後に慌てて変更する
📰 出典:NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項
では、配当の権利が確定する基準日(権利確定日)以降に株式数比例配分方式へ 変更した場合、その回の配当については非課税の対象にならない旨が案内されて います。つまり、配当をもらえる権利が確定した後で設定を変えても間に合わず、 その期の配当だけは課税されたまま受け取ることになります。設定の見直しは 早めに済ませておくことが大切です。
具体的なイメージで考えてみる
例えば、以前から銀行口座でまとめて配当金を受け取る「登録配当金受領口座方式」を 利用していた人が、新たにNISA口座を開設して高配当株を購入したとします。この 場合、NISA口座で買った株式であっても、受取方法の設定を変更しない限り配当金は 引き続き課税対象のままです。数年後に確定申告や家計の見直しをした際に「NISA口座 なのになぜか毎回税金が引かれている」と気づくケースも考えられます。あくまで 一般的に起こりうるパターンの一例ですが、こうした見落としを避けるためにも、 NISA口座を開設したタイミングで受取方法をあわせて確認しておくことが大切です。
配当金を非課税で受け取るための確認・設定ステップ
ステップ1. 利用している証券会社にログインし、現在の設定を確認する
多くの証券会社では、会員ページの「口座管理」「お客様情報」「配当金・分配金の 受取方法」といったメニューから、現在どの受取方法になっているかを確認できます。 まずは自分の設定がどうなっているかを見てみましょう。
ステップ2. 「株式数比例配分方式」になっているか確認する
表示されている受取方法が「株式数比例配分方式」であればNISA口座内の配当金は 非課税の対象です。「登録配当金受領口座方式」や「配当金領収証方式」などに なっている場合は、次のステップで変更が必要です。
ステップ3. 該当していない場合は変更手続きを行う
変更手続きの具体的な操作方法(オンラインで完結するか、書面提出が必要かなど)は 証券会社によって異なります。設定変更の反映にも時間がかかる場合があるため、 余裕を持って手続きすることをおすすめします。詳しい手順は利用中の証券会社の 公式サイトやサポートページで確認してください。
ステップ4. 複数の口座がある場合はそれぞれで個別に設定する
NISA口座以外にも複数の証券会社で株式を保有している場合、受取方法は 証券会社ごとの設定になるため、それぞれの口座で確認・変更が必要です。 「1つの証券会社で設定したから他の口座も大丈夫」とは限らない点に 注意しましょう。
設定を見直す際に押さえておきたい注意点・リスク
- 過去の配当にさかのぼって非課税にはならないのが一般的な取り扱いです。
設定を見直す前に既に受け取った配当金について、後から課税分の還付を 受けられるとは限りません。気づいたタイミングでできるだけ早く設定を 確認することが重要です。
- 株式数比例配分方式は、特定口座内での損益通算(株式の売却損と配当金を
相殺する仕組み)を利用する際にも必要な設定とされています。NISA口座だけ でなく、特定口座を使っている人にとっても関係のあるポイントです。
- NISAはあくまで「税金がかからない制度」であり、**投資した元本が減らない
ことを保証する制度ではありません**。配当金が非課税になったとしても、 株価の値下がりによって資産全体では元本割れする可能性があります。
- 制度・手続きの詳細は証券会社や時期によって変わることがあります。
「執筆時点(2026年8月)」の一般的な内容として紹介していますので、 実際の手続きの際は必ず利用中の証券会社や金融庁の公式情報を確認して ください。
よくある疑問
Q. 配当金を自動で再投資する設定にしていれば、受取方法は関係ない?
投資信託の「分配金再投資コース」などを選んでいる場合と、個別株の配当金の 受取方法は別の話です。個別株の配当金を非課税で受け取るには、証券会社の口座に 入金される株式数比例配分方式の設定が前提になります。投資信託の分配金再投資は 分配金をそのまま同じファンドの購入に充てる仕組みで、受取方法の選択とは 異なる論点になるため、混同しないよう注意しましょう。
Q. 米国株など外国株式の配当金も同じルールになる?
外国株式の配当金は、現地の税金が差し引かれた上で日本国内の課税が行われるなど、 国内株式とは異なる仕組みが加わります。NISA口座での非課税の考え方の基本は 共通していますが、外国での源泉徴収分の扱いなど別の論点も関わってくるため、 気になる場合は利用中の証券会社や国税庁の公式情報であわせて確認するとよい でしょう。
Q. iDeCoでも同じように受取方法を気にする必要がある?
iDeCo(individual-type Defined Contribution pension plan、個人型確定拠出年金)は NISAとは制度が異なり、そもそも運用期間中に配当や分配金を都度受け取る仕組みでは ありません。今回取り上げた受取方法の論点は、証券会社の課税口座・NISA口座で 個別株や投資信託を保有している場合に関わるものです。
まとめ 配当金の受取方法は一度確認しておこう
NISA口座を開設していても、配当金の受取方法が「株式数比例配分方式」に なっていなければ、非課税の恩恵を受けられません。特に、
- 口座開設時の設定を変更しないまま放置している
- 複数の証券会社を使っていて一部だけ未設定になっている
- 権利確定日を過ぎてから変更しようとしている
といったケースでは、気づかないうちに課税されたまま配当金を受け取って しまう可能性があります。まだ確認したことがないという人は、この機会に 利用中の証券会社の会員ページで、配当金の受取方法をチェックしてみると よいでしょう。長期・分散・積立という投資の基本方針とあわせて、こうした 制度面の設定も定期的に見直すことが、無理のない資産形成につながります。

