
「仮想通貨の税金、今度20%になるってニュースで見たけど本当?」

「今の総合課税と何が違うの?もう申告のやり方が変わったのかと思って焦ってる」
結論から言うと、2025年12月に公表された与党の「令和8年度税制改正大綱」で、仮想通貨(暗号資産)取引の利益を株式と同じような申告分離課税20%にする方針が示されました。ただし、これはあくまで「今後そうなる見通し」であり、2026年8月時点ではまだ実施されておらず、確定申告は引き続き現行の総合課税ルールに従う必要があります。この記事では、現行制度との違いや改正の対象範囲、そして制度が変わる・変わらないにかかわらず今のうちにやっておきたいことを、初心者向けに整理します。
※ 本記事は2026年8月時点の公表情報をもとにした一般的な解説です。税制は今後の国会審議で内容が変わる可能性があるため、最新情報は必ず金融庁・国税庁など公式の発表でご確認ください。
そもそも今の仮想通貨の税金はどうなっている?
まずは現行制度のおさらいです。株式投資の利益(譲渡益・配当)は「申告分離課税」といって、他の所得と切り離して一律約20%の税率で計算されます。一方、仮想通貨の売却益や交換益は現在「雑所得」として扱われ、給与などほかの所得と合算する総合課税の対象です。
総合課税は所得が多いほど税率が上がる累進課税のため、課税所得によっては住民税とあわせて最大55%程度の税負担になることがあります。また、損失が出ても株式のように翌年以降へ繰り越して控除する仕組みが(現行制度では)なく、他の所得区分の黒字と損益通算することもできません。
📰 出典:国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」
こうした「税率が高くなりやすい」「損失を翌年に繰り越せない」という点が、以前から仮想通貨投資家の間で課題として指摘されてきました。
令和8年度税制改正大綱で示された内容
申告分離課税20%への移行方針
2025年12月19日、自民党・公明党(与党)が公表した令和8年度税制改正大綱で、一定の要件を満たす暗号資産取引について、他の所得と分離して税率20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税分)を適用する方針が明記されました。あわせて、損失を翌年以降3年間繰り越して控除できる制度の創設も盛り込まれています。
📰 出典:金融庁「令和8年度税制改正について-税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-」
対象になるのは「特定暗号資産」のみ
注意したいのは、すべての仮想通貨取引が対象になるわけではないという点です。報道や解説記事によれば、分離課税の対象は「金融商品取引業者登録簿に登録された暗号資産」を「国内の登録業者経由」で取引した場合に限定される見通しとされています。海外の無登録取引所やDeFi(分散型金融)での取引は、現行どおり総合課税の対象として扱われる可能性がある点に注意が必要です。
📰 出典:金融庁「令和8年度税制改正要望について」
いつから適用される?
適用開始時期についても、現時点ではまだ確定していません。関連する金融商品取引法の改正法案が2026年の通常国会に提出される見通しとされており、実際の施行・適用はそれよりも先になると報じられています。「もう決まったこと」ではなく、「今後の法改正の審議を経て実現する見通しの制度」と理解しておくのが正確です。
改正されても「今すぐ」変わるわけではない
ここが初心者がいちばん誤解しやすいポイントです。税制改正大綱はあくまで「方針」であり、実際に法律として施行されるまでは、これまで通り総合課税・累進税率のルールで確定申告を行う必要があります。「税率が下がるらしいから今年の申告は適当でいい」といった判断は誤りですので、注意してください。
また、対象範囲が「特定暗号資産」に限定される見通しであることから、保有している通貨や利用している取引所によっては、制度が変わった後も引き続き総合課税の対象になるケースが考えられます。自分の状況にどう影響するかは、税理士や税務署への確認が欠かせません。
制度の行方にかかわらず、今からできること
税制がどう変わるかを正確に予測することはできません。だからこそ、変化に振り回されず、今できる備えをしておくことが大切です。
- 取引記録をこまめに残す:取引所の年間取引報告書や損益計算ツールを活用し、いつ・いくらで売買したかを整理しておく
- 金融庁登録の国内暗号資産交換業者を使う:分離課税の対象になる可能性があるのは登録業者経由の取引とされているため、業者選びは登録の有無を確認する
- 最新情報は公式発表で確認する:法案の審議状況は国税庁・金融庁・財務省の公式サイトで随時更新されるため、SNSの噂や断片的な情報だけで判断しない
- 具体的な申告方法や自分のケースへの当てはめは税理士・税務署に相談する:雑所得の計算方法や経費の扱いなど、個別の事情によって結論が変わることが多い分野です
注意点・NG行動
- 「20%になるから今のうちに利益確定を先延ばしにしよう」など、まだ確定していない制度を前提にした売買判断は避けましょう。制度の内容・施行時期は今後変わる可能性があります
- 「税制優遇されるから今が買い時」といった投資判断への結びつけも避けるべきです。税制はあくまで利益が出た場合の税負担の話であり、値上がりを保証するものではありません
- 無登録の海外取引所やDeFiでの取引は、分離課税の対象外となる可能性に加え、そもそもトラブル時の保護が受けにくいというリスクもあります
まとめ 制度の変化は「知識」として、判断は自己責任で
仮想通貨の税制改正は、投資家にとって関心の高いテーマですが、2026年8月時点ではまだ「今後の方針」の段階です。総合課税から申告分離課税20%への移行、3年間の損失繰越控除の創設という方向性を知っておきつつ、実際の確定申告は現行ルールに従い、最新情報は金融庁・国税庁など公式発表と税理士への相談で確認することが大切です。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。また税務に関する最終判断は、必ず税務署・税理士など専門家にご確認のうえ、投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。仮想通貨は価格変動が大きく、ハッキングや詐欺的トラブルのリスクもある点にも留意しましょう。

