東京商工リサーチによると、後継者難などで毎年3万件の企業が休業や廃業、解散している。技術やノウハウが失われかねない事態にどう対応すべきか。
JR大宮駅から北へ約10キロ。埼玉県伊奈町の事業所や工場が集まる一角に、円戸(えんど)幸雄(82)が1989年に創業した三協技研がある。複数の素材を貼り合わせて包装材などに仕上げるラミネート加工が専門だ。
社屋に隣接する工場では、ゆっくりと回る二つのローラーから出た2枚の素材を自動でぴったり接着させる工程が続いていた。できたシートは、住宅の鉄骨と外壁の間に入れられ、緩衝材の役目を果たす。
円戸が考案したこの製法は、大幅な自動化で人件費を抑えられるのが特徴で、特許もとった。製品は全て大手住宅メーカーが買い上げる。「この製品は営業する必要がないんです」。需要は増加傾向という。
そんなアイデアと技術力で会社を引っ張ってきた円戸だが、悩みがある。自社の将来を任せる後継ぎがいないのだ。
3人いる娘はすでにそれぞれの道を見つけた。10年ほど前から、取引先企業に頼んで、優秀な社員を後継候補として何人か送り込んでもらった。
しかし、どの候補者も定着しなかった。中小企業の社長は、営業から開発、製造まで、細かく把握する必要がある。円戸は住宅だけでなく、土木、金属、食品、化学繊維など幅広い取引先から細かい悩みを聞き、独自の技術提案をして商機につなげてきた。同じことを後継者が務めるのは簡単ではない。
会社の売却という道もあるが、密接な取引がしづらくなると心配する取引先からは、独立経営をお願いされる。「あと3年のうちには跡取りを見つけなければ」。あらゆるつてをたどって探すつもりだ。
経済産業省によると、この20年で中小企業の経営者の年齢分布は47歳から66歳へ高齢化。2020年ごろには数十万人の「団塊の世代」の経営者が引退時期となる。「中小企業の競争力の源泉は『社長』自身であることが多く、創業者はなおさら。引き継ぐのは簡単ではない」(大手銀行幹部)。少子化や「家業」意識の薄れもあり、後継ぎのめどが立たない企業は多い。
経営者が60歳以上で後継者が決まっていない中小企業は、日本企業の3分の1にあたる127万社に達する。事業が続けられず廃業する企業の半分は黒字とされ、25年ごろまでに650万人分の雇用と22兆円分の国内総生産(GDP)が失われる可能性がある。
首都圏近郊の板金会社の社長だった女性(60)は昨春、板金工の兄が約40年前に創業した会社を畳んだ。精密加工技術が評価され、製品は新幹線の車体にも採用された。11年に兄が急死し、社長を継いだ。出入金管理や不利な手形取引の見直しを進め、就任3年で無借金経営に転換した。
しかし、兄の一人息子は後継に一時意欲を見せたが、結局別の道を選んだ。古株の従業員にも引き継ぎを断られた。「私が会社をみとろう」と決めた。
取引先からは「同じ品質のものが調達できなくなる」と嘆かれた。廃業すれば、サプライチェーン(部品供給網)の分断にもつながる。何とか技術は残せないかと考え、同業者と交渉し、設備やノウハウ、従業員を譲渡することでまとまった。
機械設備を売り払って廃業してしまう方が、手続きは簡単で、多くの金額が残る可能性はあった。でも、事業譲渡で技術を引き継ぐことを優先した。女性は言う。「会社をつくり、経営したのは私たちだけど、培った事業は社会のものですから」=敬称略(榊原謙)
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中小企業の事業承継の足かせの一つが、経営者が後継者に引き継ぐ自社株の扱いだ。政府は今後10年間に限り、後継者が受け取る株式にかかる税金を全額猶予し、承継に伴う税負担を緩和する。
経営者が後継者に自社株を渡すと、相続税や贈与税の納税義務が後継者に発生する。億単位になることもあり、代替わりにちゅうちょする一因になっていた。
既に、後継者が引き継ぐ株式の3分の2を上限に、80%まで納税を猶予する制度はある。ただ、フル活用しても税額全体の53%までしか猶予されず、中途半端さは否めなかった。
そこで政府は来年度から、納税猶予の対象株式を「3分の2」から「全株」に、納税猶予の割合を「80%」から「100%」に拡充、承継時の税負担をゼロにすることにした。新制度を使えるのは今後10年以内に実際に会社を引き継ぐ人のみ。中小の事業承継への決断を早める狙いがある。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180401-00000037-asahi-bus_all
ある程度中を見た人が定着しないなら
零細に良くある経営者の犠牲の上に成り立つビジネスモデルなんだろ
これな
>会社の売却という道もあるが、密接な取引がしづらくなると心配する取引先からは、独立経営をお願いされる。
都合の良いこと言ってないで心配なら買ってやれよ
売れないケースも多い
農作物も高値になって来たし
中小零細企業の犠牲の上に安値は成り立ってるからな
やる人がいなけりゃ商品やサービスは少なくなり
高値で売れてみんな幸せになれる
それで大手取引先が困ったっていいだろ
大企業は困らないと思う
別の下請に発注するだけで
俺が勤めてた従業員60人ほどの精密板金工場も、創業60年で初代社長のツテで大手と直接取引してただけで、品物としての難易度は、どこの会社でも作れるレベルだった
俺は溶接工をしてたけど、今の2代目が75歳で、甥っ子の専務が31歳だから、先がないと思って去年辞めた
待遇の問題でもない
金貸しの連帯保証人という悪習の問題だ
連帯保証人制度のせいで事業売却もままならん
空き家も、これから空き家に含まれるようになる
空き家予備軍てのが大量にある
そらあと継ぐメリットないなら廃業するしかないし
聞くところによると、赤ではないけど先行きも明るくは無い。
で、早めに止めて、住宅地にある会社跡地に賃貸住宅を建てて、家賃収入でやっていくと社長が決めたとか。
首都圏に居たけど、地元に帰って来たよ。
英断だな
>何とか技術は残せないかと考え、同業者と交渉し、設備やノウハウ、従業員を譲渡することでまとまった。
これをやってくれりゃ、別に企業そのものが減っても困らんのだよな
設備やノウハウ、従業員を集めて経営規模を大きくした方が効率も良くなるしさ
生まれた時にほぼそれが決まる社会の到来
ブラックを恐れて就職活動できないニートや
もっといい人が現れるかもと婚期を逃した独身BBAなんかと同じ
成立しなかったからな。
あの時に事業は売り買いする物って事に日本人がしていればこんな事にはならんかったのに
また新しい会社も誕生しているしな。
衝撃でも何でもないわ。
コレだけで、問題は、100%この中小企業にあることが判る
どうせ、会社の利益の50%は 永遠にウリの親族に入れろとかの、俺様条件がついているんだろう
誰が、そんな会社の経営をやるかよ
つまり、大企業は中小零細を手足として莫大な利益を出す構造なんだけど、欧米の大企業は
中小零細企業があまりないから叩けない
それがWin-Winとなって労働者の環境も向上し続ける構造になってる
競争社会で生き残っていけない零細が淘汰されてるだけで、新聞テレビが常に言い続けて来た公平な競争だろうが
むしろ
こういう企業がさっさと潰れないから
日本経済はイノベーションが起きにくい
会社が倒産すれば借入金の連帯保証で自宅も何もかも失う
失業保険もない
だから社長の子供は医者になるか大企業または役所に就職する
サラリーマンは職場と上司の文句垂れながらノーリスクで給料貰えるんだから気楽なもんだ
高度経済成長時代には、物凄い得をしたんですよね。
そして生き残ったのは小企業と呼ばれてたとこだ
当然なんだよ
無駄の出しようが無いレベルで仕事してんだからな
単純に生き残るだけなら大手なんかよりずっと簡単
まぁ後継ぎの方はどうにもならんけど
跡継ぎ不在の高齢化で
日本人は個人主義がピッタリ似合ってる
会社という集団組織になると途端にトップが馬鹿過ぎてみんな駄目になる
元々日本人は個人主義の方がパフォーマンス発揮できるのさ
戦前も個人主義が当たり前だったし
会社に属しても何もいいことないしどんどん潰れていって構わん
これからは自分だけが頼りの時代だよ
だよな
俺も40歳だけど、リーマン辞めてもどうにかなってる
収益をあげられるなら、従業員雇って対応が出来る
町工場の単価が上がらないのが、こういった町工場が安価で請け負うせいで、
まともに利益出すのが難しいから