
「米国株の配当金って、アメリカと日本の両方で税金がかかるって聞いたけど本当?」

「NISA口座なら非課税だから、その心配もいらないんだよね?」
結論から言うと、米国株の配当金には米国と日本の両方で税金がかかる「二重課税」が起きるのは事実です。ただし確定申告で「外国税額控除」を使えば一部を取り戻せる可能性があります。一方でNISA口座の場合はこの制度を使えないという見落としがちな注意点もあります。この記事では、初心者向けにその仕組みを整理します。
※ 本記事は2026年9月7日執筆時点の税制に基づく一般的な解説です。税制は変わる可能性があるため、最新情報は国税庁の公式サイトや税理士にご確認ください。
米国株配当の「二重課税」とはどんな仕組みか
米国株式に投資して配当金を受け取ると、まず米国側で税金が源泉徴収されます。日米の租税条約により、個人投資家が受け取る配当については米国の税率が軽減され、通常10%が源泉徴収される仕組みです。
📰 出典:国税庁「No.1240 居住者に係る外国税額控除」
その米国での源泉徴収後の金額に対して、日本国内でもさらに課税されます。特定口座(源泉徴収あり)で保有している場合、国内では所得税・住民税をあわせて20.315%が源泉徴収されるのが一般的です。つまり、同じ配当金というひとつの所得に対して、米国と日本の両方で税金が引かれる状態になっているわけです。
筆者の私見 「知らないと損をする」制度だと感じる理由
あくまで筆者の私見ですが、この二重課税の仕組みは、米国株投資を始めたばかりの人ほど見落としやすい部分だと感じます。証券会社の取引報告書には税引き後の受取額が表示されるため、「国内の特定口座で自動的に処理されているから大丈夫」と思い込んでしまいがちですが、米国側で源泉徴収された10%分は、何もしなければ基本的に戻ってきません。取り戻すには自分で確定申告を行い、外国税額控除の申請をする必要があります。
外国税額控除で取り戻せる仕組みと限界
外国税額控除は、外国で課された税金を日本の所得税額から差し引くことで、国際的な二重課税を調整するための制度です。控除できる金額には上限があり、「その年の所得税額×(国外所得金額÷所得総額)」という計算式で求められる控除限度額の範囲内で適用されます。
📰 出典:国税庁「No.1240 居住者に係る外国税額控除」
そのため、その年の所得水準や国外所得の割合によっては、米国で源泉徴収された10%の全額を取り戻せるとは限りません。また、この制度を利用するには確定申告が必要で、特定口座(源泉徴収あり)を選んでいて普段は確定申告をしていない人にとっては、追加の手間が発生する点も理解しておく必要があります。
NISA口座では外国税額控除が使えない点に注意
見落とされがちですが、NISA口座で保有する米国株の配当金には、外国税額控除を適用できません。外国税額控除はあくまで「国内外で二重に課税されている」ことを前提にした制度であるため、NISA口座のように国内側の税金がそもそも非課税になっている場合には、控除の対象外となります。つまり、NISA口座で米国株に投資した場合、日本側の税金はかかりませんが、米国側で源泉徴収された10%は取り戻せないまま、実質的な負担として残ります。
資産形成への発展 制度の存在を知り、選択肢として持っておく
このニュースというより制度の仕組みから得られる学びは、「非課税制度だから何も考えなくてよい」わけではないということです。NISAは国内の税金を非課税にする優れた制度ですが、外国株式に投資する場合は、米国側の源泉徴収まではカバーしていません。特定口座と課税口座、NISA口座のどちらで米国株を保有するかによって、実質的な手取りの配当利回りが変わりうる点を理解したうえで、自分に合った使い分けを考える視点が大切です。
具体的なアクション・心構え
- 米国株の配当金には米国側の源泉徴収(通常10%)と国内側の課税の両方がかかりうることを理解しておく
- 特定口座で保有している場合、外国税額控除を使うには確定申告が必要になる点を把握しておく
- NISA口座で米国株に投資する場合は、外国税額控除が使えず米国側の源泉徴収分が実質的な負担として残る点も踏まえて判断する
- 制度の詳細や自分の場合の控除額は、国税庁の公式情報や税理士に確認する
注意点・NG行動
- 「特定口座だから税金はすべて自動精算されている」と思い込み、外国税額控除の存在自体を知らないまま放置しない
- 外国税額控除の控除限度額を超えて全額が戻ってくると誤解しない
- NISA口座であれば米国株の配当も完全に無税になると誤解しない
- 確定申告や控除額の計算について不明な点がある場合、自己判断せず税務署・税理士に確認する
投資である以上、外国株式には為替変動リスク・価格変動リスクもあります。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の税務判断を保証するものではありません。税金の取り扱いは個々の状況により異なるため、詳細は国税庁や税理士にご確認のうえ、投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。
まとめ 仕組みを知ったうえで、口座の使い分けを考えよう
米国株の配当金は、米国での源泉徴収(通常10%)と日本国内での課税が重なる「二重課税」の状態になります。特定口座では確定申告により外国税額控除で一部を取り戻せる可能性がある一方、NISA口座では国内税金が非課税である分、外国税額控除は使えません。どちらが有利かは一概には言えませんが、この仕組みを知っておくことが、米国株投資での「思っていたより手取りが少ない」という戸惑いを減らす第一歩になります。

