
「国債にお金を預けると安心って聞くけど、NISAでは買えないんだよね?」

「最近、国債をNISAに入れる検討が始まったってニュースで見たけど、実際どうなの…?」
結論から言うと、2026年7月14日、片山さつき財務相が閣議後の記者会見で、国債をNISA(少額投資非課税制度)の対象に加える検討について「やっていく時ではないか」と前向きな姿勢を示したと報じられました。同日には、国債にかかる相続税の減免も視野に、資産運用立国を掲げてきた岸田文雄元首相と会談したとも伝えられています。ただし、これはあくまで「検討」の段階であり、正式に決定した制度ではありません。この記事では、このニュースを入り口に、国債の基礎知識とNISAとの関係を整理したうえで、「検討段階の制度ニュース」とどう向き合い、長期的な資産形成にどうつなげていくかを、筆者の私見も交えながら考えていきます。
※本記事は2026年7月17日時点で確認できた報道をもとに執筆しています。制度は今後変更・修正される可能性があるため、実際に利用を検討する際は必ず財務省・国税庁など公式情報の最新版をご確認ください。
ニュースの要点整理 国債をNISA対象に加える検討が加速
まずは、今回の報道内容を事実関係として客観的に整理します。
📰 出典:NISA対象に「国債」検討へ 片山さつき財務大臣と岸田元総理が会談 国債にかかる相続税の減免も視野に|TBS NEWS DIG(Yahoo!ニュース)
TBS NEWS DIGによると、2026年7月14日、片山さつき財務相は国債をNISAの対象に組み入れる案について前向きな考えを示し、同日午後には国債にかかる相続税の減免も視野に、岸田文雄元首相と会談したと報じられています。
📰 出典:個人向け国債の商品拡充 早急に具体化を検討 片山財務大臣 NISA組み入れも|テレビ朝日系(ANN)(Yahoo!ニュース)
テレビ朝日系(ANN)の報道では、片山財務相が同日の会見で、個人向け国債の商品性見直しについて「早急に具体化したい」と述べたと伝えられています。政府内では、物価に応じて元本額が変動する物価連動債の個人向け販売など、具体的な商品設計の議論も始まっているとされています。
📰 出典:国債をNISA対象へ。片山財務相「やっていく時」と検討加速。「金利ある世界」に個人マネー流入を狙う|ハフポスト日本版(Yahoo!ニュース)
ハフポスト日本版によると、国民民主党は7月10日、国債のNISA組み入れや相続税減免を含む法案を参議院に提出済みで、これが政府・与党内の議論を後押しした面もあると報じられています。自民党内でも、個人向け国債にかかる相続税に非課税枠を設けるべきだとの主張が浮上しているとのことです。
なぜ今、国債がNISAの話題になっているのか
報道では、背景として主に次のような事情が紹介されています。
- 日本銀行がマイナス金利政策を解除して以降、金利のある世界に環境が変化し、国債の買い入れ額を段階的に減らしていること
- これまで国債は銀行・保険会社・海外投資家の保有割合が大きく、個人の保有比率はわずか1.8%程度にとどまっていること
- 財務省が、金利急変動への耐性を高める狙いも含め、個人マネーを国債に呼び込む戦略へ舵を切りつつあること
現状、NISAの対象商品は国内外の株式や投資信託などに限られており、国債そのものは対象外のため、利子・譲渡益には通常どおり課税されます。今回のニュースは、この仕組みを見直す検討が始まった、という段階の話です。
筆者の私見・考察 「検討」と「決定」は別物として受け止めたい
ここからは、あくまで筆者個人の見方・考察です。事実として報じられている内容と、私の意見は分けてお読みください。
正直なところ、「国債がNISA対象に」という見出しを見ると、「非課税で国債が買えるようになるなら良さそう」と反射的に感じる方は多いのではないかと思います。私自身も、最初にこのニュースを見たときは似たような印象を持ちました。ただ、記事を読み進めると、これは年末に向けて与野党で議論が進む見通しの「検討段階」の話であり、実際に制度が変わるかどうか、変わるとしていつから・どのような形になるかは、まだ確定していません。
税制や制度に関するニュースは、こうした「検討」「議論」「浮上」といった言葉が使われている段階のものが少なくありません。個人的には、こうしたニュースに接したときほど、「まだ決まっていない」という前提を忘れずに、続報を落ち着いて待つ姿勢が大切だと感じています。
資産形成への発展 そもそも国債とは? NISAとの関係を整理する
このニュースをきっかけに、あらためて「国債」という商品の基本を整理してみます。
個人向け国債は、国(日本政府)が個人投資家向けに発行する債券で、「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があります。購入から1年が経過すれば中途換金も可能で、その仕組み上、中途換金しても投資した額面金額を下回らないよう設計されている点が特徴の一つとされています(中途換金時には直近2回分の利子相当額が差し引かれます)。
📰 出典:個人向け国債の商品性についてのよくある質問|財務省
財務省の公式ページでも、個人向け国債の仕組みや中途換金のルールについての解説が公開されています。制度の詳細を確認したい場合は、こうした公式情報を参照するのが確実です。
とはいえ、これは「リスクが一切ない」という意味ではありません。物価上昇(インフレ)が金利を上回れば実質的な価値は目減りしますし、他の運用手段に比べて期待できるリターンは限定的です。また、現状は非課税ではないため、NISAで運用する株式投資信託などと比べると税制面での有利さはありません。今回のニュースは、まさにこの「税制面の扱い」を見直そうという議論だと理解しておくとよいと思います。
株式や投資信託が「値動きのリスクを取りながらリターンを狙う」資産だとすれば、国債は「値動きのリスクを抑えつつ、金利収入をコツコツ積み上げる」性格の資産です。ポートフォリオ(資産配分)の中で、どちらが良い・悪いという単純な話ではなく、それぞれ役割が異なる、という理解が資産形成の基本になります。
具体的なアクション・心構え 制度ニュースに振り回されないために
「国債がNISA対象になるかもしれない」というニュースに接したとき、初心者の方にまず意識してほしい心構えを整理します。
- 「検討」段階では行動を急がない:正式決定・施行時期が明らかになるまでは、既存のNISA口座や積立投資の方針を慌てて変える必要はありません
- 自分の資産配分の中での「国債」の役割を考えておく:生活防衛資金は基本的に預金で確保しつつ、余剰資金の中でどの程度を値動きの小さい資産に振り分けたいか、この機会に整理してみるのも良いと思います
- 制度が正式に決まったら公式情報を確認する:実際に利用を検討する段階になったら、財務省や金融庁などの公式発表、証券会社の告知を確認してから判断しましょう
- 長期・分散・積立の基本方針は変えない:一つの制度ニュースだけで投資スタイル全体を変えるのではなく、あくまで選択肢が増えるかもしれない、という程度に捉えておくのが無難です
注意点・NG行動 同じ失敗を繰り返さないために
制度改正の検討ニュースに接したときに陥りやすい失敗を、あらためて整理しておきます。
- 未確定の情報を確定事項として受け止める:「国債がNISA対象になった」と誤解したまま人に話したり、SNSで拡散したりしないよう注意しましょう
- 相続税の話題だけに気を取られる:相続税減免も検討対象とされていますが、これも未確定であり、税金対策を急いで実行する前に、必ず税理士や税務署など専門家に確認することが大切です
- 「非課税になるなら今のうちに」と国債を買い急ぐ:現時点では国債はNISAの対象外であり、非課税のメリットは現状ありません。制度変更を先取りして焦って行動する必要はありません
- 国債だけに資産を偏らせる:値動きが小さいからといって国債に資産を集中させると、インフレによる実質的な目減りリスクや、機会損失のリスクを抱えることになります
なお、本記事は特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではなく、税制改正の行方について断定的な予測をするものでもありません。国債を含むあらゆる金融商品には、価格変動・金利変動・インフレなどによって実質的な価値が変動するリスクがあります。投資や資産配分の判断は、必ずご自身の責任のもと、余剰資金の範囲で、最新の公式情報を確認したうえで行ってください。
まとめ 制度の変化を「知る」ことも資産形成の一部
2026年7月14日に報じられた「国債をNISA対象に」という検討のニュースは、まだ議論の入り口段階です。すぐに何かを変える必要はありませんが、こうした制度の変化の兆しを知っておくことは、将来の選択肢を広げるうえで無駄にはなりません。
税制や制度は今後も変わっていく可能性があります。一つのニュースに一喜一憂したり、未確定の情報に振り回されたりするのではなく、正式な発表を待ちながら、長期・分散・積立という基本方針を淡々と続けていく姿勢が、落ち着いた資産形成につながると感じています。

