「日経平均が最高値」なのに含み益は思ったより少ない? 「配当込み指数」を知らないと見誤る理由

株式投資

「ニュースで『日経平均が最高値を更新』って言ってたのに、自分の投資信託の含み益はそこまで増えていない気がする…」

「配当が関係あるって聞いたことはあるけど、正直よく分からないまま積立を続けているんだよね」

結論から言うと、テレビや新聞で報じられる「日経平均◯円」「TOPIX◯ポイント」という数字の多くは、配当を含まない「価格指数」です。一方で、私たちがNISAやつみたて投資で保有する投資信託・ETFの実際のリターンは、配当を再投資したとみなす「配当込み指数(トータルリターン・インデックス)」に近い動きをします。この違いを知らないまま「ニュースの数字」と「自分の資産の増え方」を比べてしまうと、実態より損をしているような誤解をしやすくなります。この記事では、初心者向けに「価格指数」と「配当込み指数」の違いと、資産形成でどう受け止めればよいかを解説します。 ※本記事は情報提供を目的としており、特定の指数・銘柄・ファンドの購入を推奨するものではありません。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

そもそも「日経平均」「TOPIX」とは何を表す数字か

日経平均株価は、東京証券取引所プライム市場に上場する代表的な225銘柄の株価をもとに算出される指数です。一方のTOPIX(東証株価指数)は、東証に上場する銘柄全体を対象に、時価総額の変動を指数化したものです。どちらも「株価そのものの値動き」を映す指数であり、ニュースで「本日の日経平均は〇〇円でした」と報じられるときは、基本的にこの「価格指数」のことを指しています。

ここで見落とされがちなのが、株式には値上がり益(キャピタルゲイン)だけでなく配当金(インカムゲイン)というリターンもある、という点です。日経平均やTOPIXの「価格指数」は、この配当の部分を計算に含めていません。

「価格指数」と「配当込み指数(トータルリターン・インデックス)」の違い

価格指数は配当を計算に入れない

価格指数は、あくまで構成銘柄の株価水準の変化だけを追いかける指数です。仮に構成銘柄が配当を出しても、株価指数自体の数字にはその配当分は反映されません。

配当込み指数は「配当を再投資した」と仮定する

これに対して、受け取った配当を都度その指数に再投資したと仮定して計算されるのが「配当込み指数(トータルリターン・インデックス)」です。日経平均には「日経平均トータルリターン・インデックス」という配当込みバージョンが存在します。

📰 出典:日経平均トータルリターン・インデックス|日経平均プロフィル(日本経済新聞社)

公式の説明によると、日経平均トータルリターン・インデックスは2012年12月3日から算出が始まり、1979年12月28日まで遡って算出されています(算出開始・遡及期間は執筆時点の公式情報にもとづきます)。

同様に、TOPIXにも配当を織り込んだ「配当込みTOPIX」があります。

📰 出典:株価指数関連|日本取引所グループ(JPX)

日本取引所グループ(JPX)によると、配当込みTOPIXの公表は1999年2月から始まっており、投資信託などの運用成績を測るベンチマークとして広く使われています(詳細・最新の算出方法は公式サイトでご確認ください)。

なぜニュースの数字と投資信託のリターンがズレて見えるのか

インデックス投資信託やETFの多くは、実は「配当込み指数」をベンチマーク(運用の目標・比較対象)としています。つまり、投資信託の基準価額の動きは、配当を含まない「価格指数」よりも、配当込み指数に近い値動きをする設計になっているのです。

そのため、次のようなことが起こり得ます。

  • ニュースで見る日経平均(価格指数)がそこまで上がっていなくても、配当を織り込んだ投資信託の基準価額はそれ以上に増えていることがある
  • 逆に、相場が横ばいでも配当がある分、長期で見ると投資信託のリターンの方が良くなりやすい

一般的に、配当を長期間再投資し続けると複利の効果が積み重なるため、配当込み指数は価格指数を上回って推移しやすいとされています。ただし、これは過去の一般的な傾向であり、将来のリターンを保証するものではありません。相場環境によっては両者の差が小さい時期もあります。

日本株の平均的な配当利回りはどのくらいか

📰 出典:株価平均・株式平均利回り|日本取引所グループ(JPX)

JPXが公表している統計によると、東証上場銘柄全体の平均的な配当利回りはおおむね2%前後で推移してきました(数値は時期によって変動するため、最新の水準は公式統計でご確認ください)。この配当利回りの水準が、価格指数と配当込み指数の差を生む一因になっています。

初心者が「配当込み指数」を知っておくと役立つ3つの場面

1. 自分の投資信託の運用実績を評価するとき

投資信託の目論見書や運用報告書には、比較対象となるベンチマーク(指数)が記載されています。それが「配当込み」なのか「価格指数」なのかを確認すると、自分のファンドが本当にベンチマーク並みの成績なのかを見誤りにくくなります。

2. ニュースの「日経平均最高値」報道を冷静に受け止めるとき

「日経平均が最高値」というニュースだけを見て一喜一憂するのではなく、それが価格指数の話であり、配当込みで見るとまた違う姿になり得ることを知っておくと、短期的な報道に振り回されにくくなります。

3. 長期投資のメリットを理解するとき

配当を再投資し続けることの効果は、短期では実感しにくいものです。配当込み指数という考え方を知っておくと、「長期・分散・積立」がなぜ資産形成の基本とされるのか、その理由の一端を数字の面から理解しやすくなります。

初心者がやりがちなNG行動

  • ニュースの日経平均(価格指数)の動きだけを見て、自分の投資信託の成績が悪いと早合点してしまう
  • 配当込み指数と価格指数を混同したまま、ファンドの比較や乗り換えを判断してしまう
  • 「配当込みなら必ず得をする」と短絡的に考え、リスクを軽視してしまう

配当込み指数はあくまで「配当を再投資したと仮定した場合の指数」であり、個別の投資信託の成績や将来の値動きを保証するものではありません。株式である以上、価格指数・配当込み指数のどちらで見ても、元本割れのリスクは常に存在します。

まとめ 数字の「見方」を知って、落ち着いて資産形成を続けよう

日経平均やTOPIXのニュースで報じられる数字の多くは、配当を含まない「価格指数」です。一方で、投資信託やETFの実際のリターンは、配当を織り込んだ「配当込み指数(トータルリターン・インデックス)」に近い動きをします。この違いを知っておくだけで、ニュースの数字と自分の資産の増え方のギャップに戸惑うことが少なくなるはずです。

とはいえ、どちらの指数で見ても、株式投資には値下がりによる元本割れのリスクがあります。制度や指数の算出方法は今後変更される可能性もあるため、最新の情報は日本取引所グループや日本経済新聞社などの公式サイトで確認しながら、長期・分散・積立を基本に、無理のない範囲で資産形成を続けていきましょう。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の指数・ファンド・銘柄への投資を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

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