産休・育休中もNISAのつみたて投資は続けるべき?収入が減る時期の考え方

株式投資

「もうすぐ産休に入るけど、収入が減る間もNISAのつみたて投資を続けていいのか不安…」

「育休中は手当金だけになるって聞くし、正直そんな余裕があるのか自分でもよく分からないんだよね」

結論から言うと、産休・育休中に積立投資を続けるかどうかに「絶対の正解」はありません。大切なのは、産休・育休中のお金の流れ(手当金の金額・支給タイミング・社会保険料の扱い)を先に把握したうえで、生活防衛資金を確保できる範囲で「続ける・減らす・一時停止する」を選ぶことです。この記事では、産休・育休を控えた方、すでに育休中の方向けに、積立投資を見直す際の考え方を整理します。

※本記事は制度の一般的な仕組みを解説する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却や積立額を助言・推奨するものではありません。投資は元本割れの可能性がある点にご留意のうえ、自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。また、出産手当金・育児休業給付金の支給要件や金額、社会保険料免除の条件は勤務先や個々の状況によって異なるため、必ずご自身の勤務先・全国健康保険協会(協会けんぽ)・ハローワーク等の公式情報をご確認ください。

なぜ「積立を続けていいのか」迷ってしまうのか

産休・育休中は、次のような変化が同時に起こるため、家計と積立投資の両方について不安を感じやすい時期です。

  • 給与の支払いが止まり、代わりに「出産手当金」「育児休業給付金」という別の仕組みからお金を受け取ることになる
  • 手当金の支給は数週間〜数カ月遅れて振り込まれることが多く、一時的に収入が途切れる期間が生じやすい
  • おむつ・ミルク・ベビー用品など、これまでなかった支出が増える
  • 「積立を止めたら長期投資が台無しになるのでは」という不安がある一方、「無理に続けて生活が苦しくなるのも怖い」という相反する気持ちがある

こうした状況で大切なのは、感覚で「続ける・止める」を決めるのではなく、まず産休・育休中のお金の仕組みを数字で把握することです。

まず知っておきたい産休・育休中のお金の基本

出産手当金(産休中)

会社員などが加入する健康保険から、出産のために会社を休み給与を受けられない期間について支給される給付です。

[引用元:出産手当金|全国健康保険協会|https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/childbirth/001/index.html] 執筆時点(2026年8月)の制度では、出産日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産日の翌日以後56日目までの範囲で、休んだ1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されるとされています。

育児休業給付金(育休中)

雇用保険から、育児休業により給与を受けられない期間について支給される給付です。

[引用元:Q&A~育児休業等給付~|厚生労働省|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158500.html] 執筆時点(2026年8月)の制度では、休業開始から180日目までは休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%が支給の目安とされ、要件を満たす場合はさらに上乗せの給付が設けられる場合もあるとされています。制度の詳細・支給率・上限額は変更されることがあるため、必ず厚生労働省・ハローワークの最新情報をご確認ください。

「非課税」「社会保険料免除」でも油断できない理由

出産手当金・育児休業給付金はいずれも非課税とされ、育休中は社会保険料が免除される仕組みもあります。そのため「額面ベースの手取り減少率」よりは負担が和らぐケースが多いとされていますが、注意したいのは支給されるまでのタイムラグです。給与のように毎月決まった日に振り込まれるわけではなく、まとまった期間分が数カ月後にまとめて振り込まれることも珍しくありません。この「振り込まれるまでの空白期間」を生活費でどう乗り切るかが、積立投資を続けられるかどうかを左右する大きなポイントになります。

イメージをつかむための試算例(あくまで一例)

数字のイメージをつかむために、簡単な試算例を挙げます(下記は制度をイメージするための一例であり、実際の受給額・タイミングを保証するものではありません)。

| 時期 | お金の動き(イメージ) | 注意したい点 | |—|—|—| | 産休開始直後 | 給与の支払いが止まる | 出産手当金の申請・振り込みまで数週間〜数カ月かかることがある | | 出産後 | 出産育児一時金(分娩費用の補填)が支給される | 医療機関が「直接支払制度」を使う場合、自分で受け取らず費用と相殺されることが多い | | 育休中 | 育児休業給付金がまとめて(数カ月分ずつ)振り込まれる | 毎月定額ではなく、支給単位期間ごとにまとまって入金される | | 育休中〜復職後 | 児童手当が定期的に支給される | 家計の補填として使うか、将来のための積立に回すかは各家庭の判断 |

このように、産休・育休中は「給与」から「複数の給付金」に収入の形が変わり、入金のタイミングもばらつきます。積立投資の口座から自動引き落としだけを従来どおり続けていると、給付金の振り込みが遅れた月に口座残高が不足してしまう、といった事態も起こり得ます。給与収入が減ると翌年度の住民税が前年所得を基に計算される仕組み上いったん高く感じられることもあるため、家計全体のキャッシュフローを月単位で確認しておくと安心です。

積立投資を続ける・減らす・止めるを考える5つのポイント

1. まず「振り込まれるまでの実際の手取り」を試算する

産休・育休に入る前に、いつ・いくら振り込まれるかを大まかにでも試算しておくことが出発点です。「産休中」「育休前半(180日目まで)」「育休後半(181日目以降)」では支給率が変わるため、期間ごとに手取りの水準が変化する点も踏まえておくと、積立額を見直すタイミングを考えやすくなります。

[引用元:産休・育休中の経済的支援 かんたん試算ツール|厚生労働省|https://shussan.ikukyu-simu.mhlw.go.jp/] 厚生労働省の試算ツールなどを使うと、出産手当金・育児休業給付金のおおよその受給イメージを確認できます。あくまで簡易的な目安であり、実際の金額は勤務先の給与や標準報酬月額によって変わるため、正確な金額は勤務先の担当部署や健康保険組合・ハローワークに確認するのが確実です。

夫婦共働きの場合は、パートナーの育児休業の取得予定・収入の見込みも合わせて確認しておくと、世帯全体としての家計の見通しが立てやすくなります。片方の収入が一時的に減っても、世帯全体では大きな支障がないというケースもあれば、その逆もあり得るため、「自分の収入」だけでなく「世帯の収支」で考える視点が欠かせません。

2. 生活防衛資金を「厚め」に確保しておく

普段であれば生活費の3〜6カ月分が生活防衛資金の目安とされますが、産休・育休中は収入の谷間や想定外の出費(体調不良・ベビー用品の買い替えなど)が生じやすいため、可能であれば産休に入る前の時期にやや厚めに現金を確保しておくと安心感が違います。この生活防衛資金を取り崩してまで積立を継続する必要はありません。

3. NISAの積立額は「無理に埋めよう」としない

NISAには年間の非課税投資枠がありますが、収入が減る時期に無理をして枠を埋めようとする必要はありません。枠を使い切ることよりも、家計を崩さずに続けられる金額に調整することの方が優先度は高いと考えられます。積立額を一時的に減らしても、これまで積み立ててきた資産がなくなるわけではなく、新規の積立設定だけを見直すことができます。具体的な減額・停止の手続きは、利用している証券会社・銀行によって異なるため、公式サイトやサポート窓口で確認してください。

4. iDeCoは「掛金を止める手続き」が必要な点に注意する

iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用している場合、収入が減っても掛金の引き落としは自動的には止まりません。掛金の変更・停止(加入者資格喪失届などの手続き)を自分で行う必要があり、放置すると口座から予定通り掛金が引き落とされ続けたり、逆に残高不足で引き落としができず延滞扱いになったりすることがあります。掛金を見直したい場合は、早めに運営管理機関(金融機関)に確認しましょう。

5. 復職後の見直しタイミングをあらかじめ決めておく

「育休が明けたら」「時短勤務の給与が確定したら」など、積立額を見直すタイミングをあらかじめ決めておくと、止めたままになってしまうことを防ぎやすくなります。復職後は保育料など新たな支出も発生するため、育休前と同じ金額に戻すことにこだわらず、そのときの家計に合った金額に設定し直すという考え方でよいでしょう。

産休・育休中に気をつけたいNG行動・注意点

  • すでに保有している資産を慌てて売却しない:生活費が本当に不足している場合を除き、値下がり局面で焦って売却すると、含み損を確定させてしまう可能性があります。
  • 「どうせ収入が減るから」とハイリスクな商品に手を出さない:家計に余裕がない時期ほど、値動きの大きい商品への集中は避け、これまでの方針(長期・分散・積立)を維持することが基本です。
  • 配偶者の口座への安易な資金移動は要注意:家計の都合で配偶者名義の口座に資金を移す場合、金額によっては贈与税の課税対象になり得ます。判断に迷う場合は税理士や税務署に確認しましょう。
  • 元本割れのリスクは常にある:積立投資も投資である以上、価格変動により投資額を下回る可能性があります。産休・育休という時期の判断自体が、将来の運用成果を保証するものではありません。
  • 勤務先の制度も併せて確認する:会社独自の出産・育児関連の手当や、企業型DC(確定拠出年金)の掛金の扱いなど、勤務先ごとの制度もあわせて人事・総務に確認しておくと安心です。
  • 児童手当を「全額そのまま積立に回す」と決めつけない:児童手当を子ども名義の口座に積み立てる、教育費として現金で確保する、家計の補填に充てるなど、使い道は家庭によって異なります。積立投資に回す場合も、まずは目先の生活費とのバランスを優先して判断しましょう。

まとめ 「続けられる形」に整えることも長期投資のうち

産休・育休中に積立投資を続けるか、減らすか、一時停止するかに絶対的な正解はありません。まずは出産手当金・育児休業給付金の金額と振り込みタイミングを把握し、生活防衛資金を優先したうえで、家計に無理のない金額に調整することが基本の考え方です。積立額の見直しは「失敗」ではなく、ライフイベントに合わせた自然な調整だと捉え、復職後に落ち着いて見直すタイミングをあらかじめ決めておくと、焦らずに長期・分散・積立の方針を保ちやすくなります。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。制度の詳細・給付額・手続き方法は変更されることがあるため、必ず勤務先・全国健康保険協会・ハローワーク・国税庁等の最新の公式情報をご確認のうえ、投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

タイトルとURLをコピーしました