
「中東でまた緊張が高まってるってニュース、正直よく分からないけど株価に関係あるの…?」

「原油が急に値上がりしたって聞くと、なんだか自分の積立にも影響しそうで不安になるよね」
結論から言うと、2026年7月13日、米国とイランの軍事的な緊張が再び高まったことを受けて原油価格が急騰し、米国の株式市場は下落しました。トランプ米大統領はホルムズ海峡を通過する船舶に「20%の通航料」を課す方針や、6月に緩和したイランへの封鎖措置を再開する方針を表明したと報じられています。この記事では、こうした「地政学リスク」に関するニュースの要点を整理したうえで、先行きが読みにくい出来事に接したとき、資産形成の観点でどのような心構えを持てばよいかを考えます。
※ 本記事は2026年7月13日〜14日時点で報じられた内容をもとにした解説であり、国際情勢や今後の相場動向を予想したり、特定の金融商品・銘柄の売買を推奨するものではありません。
ニュースの要点整理 ホルムズ海峡をめぐる緊張再燃と市場の反応
発端はホルムズ海峡での船舶攻撃と海峡封鎖の宣言
2026年7月12日前後、イラン関連の勢力によるホルムズ海峡での船舶への攻撃が相次ぎ、イラン側が同海峡の封鎖をあらためて表明したと報じられています。これを受けて米軍がイラン側への攻撃を実施するなど、両者の応酬が拡大しました。ホルムズ海峡は世界の海上原油輸送の一角を担う要衝であり、日本が輸入する原油の多くもこの海峡を経由しているとされています。
📰 出典:Yahoo!ニュース(NRI研究員の時事解説)「原油価格は再び80ドル台が視野に:トランプ大統領はホルムズ海峡を航行する船舶に20%の通過料を求める:トリプル安で日本経済に再び逆風」
トランプ大統領、対イラン封鎖の再開と「20%の通航料」を表明
2026年7月13日、トランプ米大統領は、6月にいったん緩和していた対イランの海上封鎖措置を再開する方針を表明しました。あわせて、ホルムズ海峡を通過する船舶に対して「安全な航行の対価」として貨物価値の20%相当の通航料を求める考えも示したと報じられています。この方針が実際にどこまで実行されるかは記事執筆時点では不透明ですが、市場ではエネルギー供給の不安定化を懸念する見方が広がりました。
📰 出典:日本経済新聞「トランプ氏、対イラン封鎖の再開宣言 ホルムズ通過に20%『通航料』」
原油が急騰、米国株は下落 半導体株が下げをけん引
こうした報道を受けて、2026年7月13日の取引で原油価格は急騰しました。国際指標となるブレント原油先物は9%を超える上昇となり1バレル=83ドル台まで上昇、米国指標のWTI原油先物も同水準の上昇率となりました。株式市場では、エネルギー供給不安によるインフレ再燃と利上げ長期化への警戒から売りが優勢となり、S&P500種株価指数は前日比0.79%安の7515.34、ナスダック総合指数は1.55%安の25873.18で取引を終えました。下落をけん引したのは半導体関連株だったと報じられています。
📰 出典:Bloomberg「【米国市況】株と国債が下落、原油急騰でインフレ再燃と利上げを警戒」
「トリプル安」を懸念する見方も
翌7月14日の東京市場では、WTI原油が一時78〜79ドル台まで上昇し、80ドル台が視野に入る水準となりました。NRI(野村総合研究所)の研究員によるコラムでは、原油高・円安・株安が同時に進む「トリプル安」が日本経済にとって再び逆風になりかねないとの見方が示されています。同コラムでは、仮にトランプ大統領が表明した20%の通航料が実際に課された場合、原油価格の一段の上昇を通じてガソリン価格が1リットルあたり12〜14円程度押し上げられる可能性があるとの試算も紹介されていますが、あくまで一つの分析・試算であり、実際に制度が導入されるかどうかを含めて先行きは不透明です。
📰 出典:Yahoo!ニュース(NRI研究員の時事解説)「原油価格は再び80ドル台が視野に:トランプ大統領はホルムズ海峡を航行する船舶に20%の通過料を求める:トリプル安で日本経済に再び逆風」
筆者の私見 「いつ収束するか分からない」ことこそが最大の特徴
ここからは筆者の私見です。今回のニュースを見て感じるのは、地政学リスクは経済指標の発表のように「いつ・何が発表されるか」があらかじめ分かっているものではなく、いつ緊張が高まり、いつ緩和するのかを事前に読み切ることが極めて難しいという点です。実際、今回のホルムズ海峡をめぐる緊張は今年に入ってから断続的に高まっては和らぐという展開を繰り返してきたとされており、今回の急騰・急落も「今回で終わり」とは限らない一方、逆に交渉や停戦の進展であっさり落ち着く可能性も否定できません。
あくまで筆者の見方ですが、こうした不確実性が高い局面ほど、「今後こうなるはずだ」という一つの予想に賭けるような判断は避けたほうがよいと考えています。原油高が続くと決めつけてエネルギー関連銘柄に資金を集中させることも、逆に「すぐ収束する」と決めつけて何も備えないことも、どちらも一つのシナリオに賭ける行為である点では同じリスクをはらんでいます。
資産形成への発展 地政学リスクは「なくならない」前提で考える
今回のような地政学リスクのニュースは、長期的な資産形成において次のようなことを考えるきっかけになります。
- 地政学リスクは繰り返し発生する「構造的なリスク」と捉える: 中東情勢に限らず、国際的な緊張は過去にも度々相場を揺らしてきました。今回が「特別に異常な事態」というより、こうした出来事は今後も一定の頻度で起こりうるものとして、あらかじめ心構えをしておくことが大切です。
- 特定の国・地域・業種に資産が偏っていないか点検する機会にする: 原油価格の上昇は、エネルギーを多く輸入に頼る国の経済や、エネルギーコストの影響を受けやすい業種の企業業績に影響しうるとされています。自分の保有資産が特定の国・通貨・業種に偏っていないか、あらためて確認する良い機会と捉えられます。
- 「動いた理由」を一つに単純化しない: 今回の米国株安も、原油高だけでなく半導体株の動きなど複数の要因が重なっていたと報じられています。値動きの理由を一つの出来事だけに結びつけて覚えてしまうと、次に似た局面が来たときの受け止め方を誤りやすくなります。
中東情勢の緊張は今年に入ってから断続的に続いている
実は中東・イラン情勢をめぐる緊張と相場の動揺は、今回が初めてではありません。2026年3月4日には、米国・イスラエルによるイラン攻撃への懸念から東京株式市場でリスク回避目的の売りが広がり、日経平均株価は前日比2033円51銭(3.61%)安の5万4245円54銭で取引を終える場面がありました。その後も緊張が高まっては和らぐという展開を繰り返し、今回の7月の急騰・急落に至っています。
📰 出典:株探ニュース(Yahoo!ファイナンス)「日経平均 大引け|3日続落、中東懸念でほぼ全面安商状(3月4日)」
こうした経緯を踏まえると、「今回の緊張がいつ収まるか」を言い当てようとするよりも、「同じような緊張は今後も繰り返し起こりうるもの」として、日頃から資産配分を整えておくほうが現実的な備え方だと考えられます。一度の下落・急騰のたびに方針を組み替えるのではなく、地政学リスクが起きても大きく崩れない資産配分を、平時のうちに検討しておくことが大切です。
短期的な値動きと長期の資産配分は分けて考える
原油や株価が数%単位で大きく動く場面では、ニュースの見出しだけを見ると不安になりやすいものです。ただし、こうした短期的な値動きに合わせてそのつど資産配分を組み替えることは、手数料や税金の負担が増えるだけでなく、判断を誤るリスクも高めます。あらかじめ決めた長期・分散・積立の方針があるなら、地政学リスクのニュースが出るたびにその方針そのものを見直す必要は基本的にはありません。
具体的なアクション・心構え
地政学リスクに関するニュースに接したときに、長期目線で意識しておきたい行動を整理します。
- 原油高・株安のニュースだけで慌てて売買しない: 短期的な値動きに反応して保有資産を売却したり、逆に「今が狙い目」と飛びついたりする前に、いったん落ち着いて情報を整理する
- エネルギー関連や特定テーマへの資金集中を避ける: 原油高が続くとの見方が広がっても、特定業種・特定銘柄への投資に偏らせず、分散投資の基本を保つ
- 複数の報道機関の情報を確認する: 地政学リスクに関する情報は不確実性が高く、報道によって見方が異なることもあるため、一つの見出しだけで判断しない
- 家計への影響(ガソリン代・電気代など)と資産運用は分けて考える: 原油高による生活コストの上昇と、保有資産の運用方針は別の問題として整理して考える
- 自分の資産配分・リスク許容度を見直す良い機会にする: 不安に感じたときこそ、現在の資産配分が自分のリスク許容度に合っているかを点検する
注意点・NG行動
- 「原油高はまだまだ続く」「株はまだ下がる」などと相場の先行きを断定し、その予想だけを根拠に大きく資金を動かす
- 中東情勢の緊張の当事者や関係国について、根拠のない決めつけや断定的な評価を行う
- SNS等で見かけた「もうすぐ戦争になる」「これで暴落確定」といった真偽不明の情報を、事実として鵜呑みにして行動する
- 不安から一時的にすべての保有資産を現金化する、あるいは逆にレバレッジをかけて短期的な値動きに賭ける
- 地政学リスクのニュースが出るたびに、長期の積立・分散方針を頻繁に変更してしまう
まとめ 読めない出来事だからこそ、備え方を見直す
2026年7月13日、米国とイランの軍事的な緊張の再燃を受けて原油価格が急騰し、米国の株式市場は下落しました。トランプ大統領が表明したホルムズ海峡の通航料方針や封鎖再開の行方は、記事執筆時点では今後どう展開するか見通せません。
地政学リスクの怖さは、いつ・どの程度の規模で起きるかを事前に正確に予測できない点にあります。だからこそ大切なのは、個々のニュースの先行きを言い当てようとすることではなく、「こうした出来事は今後も起こりうる」という前提のもとで、特定の国・業種・銘柄に偏らない分散投資と、無理のない資金計画をあらかじめ整えておくことです。相場が大きく動くニュースを見たときこそ、一時の値動きに振り回されず、自分の資産配分を落ち着いて点検する機会にしたいものです。
最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。株式・為替・コモディティに関連する金融商品には価格変動・元本割れのリスクが伴うことを理解した上で、余剰資金の範囲で無理なく取り組むようにしましょう。

