
「つみたてNISAを始めたいけど、オルカンとかS&P500みたいな株式100%の商品は値動きが激しそうで怖い…」

「債券も混ざった『バランス型』のファンドなら少しは安心なのかな?でも違いがよく分からないんだよね」
結論から言うと、株式100%のファンドは値動きが大きい分、長期的なリターンも期待しやすいとされる一方、株式と債券などを組み合わせた「バランス型ファンド」は値動きを抑えやすい代わりに期待リターンも控えめになりやすい、という関係にあります。どちらが「正解」というものではなく、自分がどれくらいの値動きなら不安にならずに投資を続けられるかで選び方が変わってきます。この記事では、つみたて投資で株式100%とバランス型のどちらを選ぶか迷っている初心者向けに、両者の違いと考え方を整理します。
※ 本記事は2026年8月時点の一般的な情報をもとにした解説であり、特定の銘柄・投資信託の購入を推奨するものではありません。制度・対象商品等の最新情報は金融庁・各証券会社の公式サイトでご確認ください。
なぜ「株式100%かバランス型か」で迷うのか
NISAのつみたて投資枠で人気の商品というと、全世界株式(いわゆる「オルカン」)や米国株式(S&P500など)に連動するインデックスファンドが挙げられることが多く、こうした商品は投資対象を株式のみに絞っています。一方で、つみたて投資枠の対象商品には、株式に加えて国内外の債券なども組み合わせた「バランス型(資産複合型)」のファンドも含まれています。
📰 出典:金融庁「つみたて投資枠対象商品」
はじめて投資をする人にとって迷いやすいのは、「値動きが激しいと言われる株式100%の商品を選んで大丈夫なのか」という点です。ニュースやSNSでは「株価が◯%下落」といった話題が目に入りやすく、含み損を抱えたときに冷静でいられるか不安に感じる方も少なくありません。その不安から「値動きを抑えられそうなバランス型の方が安心なのでは」と考えるのは自然な流れといえます。
株式100%とバランス型、何がどう違うのか
投資対象と値動きの傾向
株式100%のファンドは、国内外の株式のみに投資します。株式は長期的に見ると経済成長とともに価値が増えていく可能性がある一方、短期的には大きく上下する値動きの荒さ(ボラティリティ)を伴いやすい資産とされています。
これに対してバランス型ファンドは、株式に加えて債券・REIT(不動産投資信託)などを組み合わせて投資します。一般的に債券は株式に比べて値動きが穏やかとされており、値動きの異なる資産を組み合わせることで、ファンド全体の値動きを平準化しやすくする狙いがあります。
期待できるリターンの考え方
値動きの大きさとリターンの大きさは、一般的にトレードオフの関係にあるとされています。株式の比率が高いほど、長期的には高いリターンが期待される一方で下落局面での目減りも大きくなりやすく、債券などを混ぜてバランスを取るほど値動きは穏やかになりやすい一方で、期待リターンも控えめになりやすい傾向があるといわれています。どちらが良い・悪いということではなく、「値動きの大きさとリターンの大きさは表裏一体」という関係を理解しておくことが大切です。
公的年金の運用でも採用されている考え方
「株式と債券を組み合わせて分散する」という考え方は、個人の資産運用に限った話ではありません。私たちの年金積立金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式をそれぞれ25%ずつ組み合わせる基本ポートフォリオを採用しています。
📰 出典:GPIF「基本ポートフォリオの考え方」
もちろん、個人の資産運用は年齢や収入、投資の目的によって最適な配分が異なるため、GPIFの比率をそのまま真似ればよいというわけではありません。あくまで「値動きの異なる資産を組み合わせて分散する」という考え方の一例として参考になる情報です。
株式100%かバランス型か 選ぶときの4つの考え方
1. 値下がりしたときの自分の心理を想像してみる
たとえば「投資額が一時的に20%減った」と想像したとき、平常心でいられそうか、それとも不安で夜も眠れなくなりそうか、正直に考えてみましょう。不安が強く「やめてしまいそう」と感じるなら、値動きを抑えやすいバランス型を検討する価値があります。逆に、長期の値動きとして受け止められそうなら、株式100%を選ぶ選択肢もあります。
2. 投資する期間の長さで考える
老後資金など、使うまでの期間が20年、30年と長く取れる場合は、短期的な値下がりを取り戻す時間的な余裕があるとされ、株式比率を高めに考えやすいといわれています。一方、数年以内に使う予定がある資金であれば、値動きの大きい株式100%は避け、値動きを抑えたバランス型や預貯金を中心に考えるのが一般的な考え方です。
3. 「株式100%+定期預金」の組み合わせも選択肢の一つ
バランス型ファンド1本を選ぶ以外にも、株式100%のインデックスファンドと預貯金を自分で組み合わせて、全体としての値動きの大きさを調整する方法もあります。たとえば「つみたて額の7割を株式100%ファンド、3割を預貯金」というように、自分で配分を決める考え方です。この場合、資産配分の管理は自分自身で行う必要がある点には注意が必要です。
4. 信託報酬(手数料)の違いも確認する
一般的に、バランス型ファンドは複数の資産を組み合わせて運用する分、株式のみのインデックスファンドよりも信託報酬(運用にかかる継続的な手数料)がやや高めに設定されている商品が多いとされています。信託報酬は長期の運用成果に影響する要素のひとつのため、商品を選ぶ際は目論見書などで確認する習慣をつけましょう。
迷ったときにやりがちなNG行動
値動きが怖いからと積立を途中でやめてしまう
株式100%を選んだあと、下落局面で不安になり積立自体をやめてしまうと、安く買えていたはずのタイミングを逃すことになりかねません。値動きへの不安が強い場合は、最初から値動きを抑えたバランス型を選ぶなど、自分が続けられる設計にしておくことが重要です。
「みんなが選んでいるから」で商品を決めてしまう
SNSやランキングサイトで人気の商品がそのまま自分に合うとは限りません。人気の商品はあくまで参考情報の一つとして捉え、自分がどれくらいの値動きに耐えられるか、いつ使う予定の資金かを基準に選ぶことが大切です。
一度決めた配分を頻繁に変更してしまう
相場が動くたびに「株式100%からバランス型へ」「またやっぱり株式100%へ」と商品を変更すると、そのたびに判断がぶれるだけでなく、商品によっては手数料や税金の負担が発生する場合もあります。最初にある程度時間をかけて考え、決めた方針は基本的に長く続ける前提で選ぶのがおすすめです。
選ぶ前に知っておきたいリスクと注意点
- バランス型を選んでも元本割れのリスクはなくならない:値動きを抑えやすい設計であっても、投資である以上、投資元本を下回る可能性は常にあります。「値動きが穏やか=損をしない」ではない点に注意してください。
- 「必ず儲かる」組み合わせは存在しない:株式100%・バランス型のどちらを選んでも、将来のリターンを保証するものではありません。
- 信託報酬などのコストは長期でじわじわ影響する:手数料は少しの差でも長期間の運用成果に影響しうるため、目論見書や運用報告書で必ず確認しましょう。
- 制度・対象商品は変わる可能性がある:NISAのつみたて投資枠の対象商品は見直しが行われることがあります。本記事の内容は2026年8月時点の一般的な情報であり、最新の情報は金融庁や各証券会社の公式サイトで必ずご確認ください。
- 投資判断は自己責任で:本記事で紹介した考え方は判断材料の一つであり、特定の投資信託・銘柄の購入を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で、余剰資金の範囲で行ってください。
まとめ 「値動きにどこまで耐えられるか」が選び方の軸
株式100%のファンドは値動きが大きい分、長期的なリターンも期待しやすいとされる一方、バランス型ファンドは値動きを抑えやすい代わりに期待リターンも控えめになりやすいという関係にあります。どちらが優れているという話ではなく、自分が値下がり局面でも投資を続けられそうか、いつ使う予定の資金かを基準に選ぶことが大切です。
迷ったときは、まず少額から始めてみて、実際に値動きを経験しながら自分に合う配分を探っていくのも一つの方法です。焦らず、無理のない範囲で長く続けられる選び方を見つけていきましょう。

