つみたて投資枠の対象商品はなぜ変わる?除外の基準と保有中ファンドへの影響

株式投資

「つみたて投資枠で買った投資信託、このまま持ち続けて大丈夫かな…」

「対象商品が入れ替わることがあるって聞いたけど、自分の持ち分はどうなるの?」

結論から言うと、つみたて投資枠の対象商品は金融庁が定めた基準を満たさなくなると対象から外れることがありますが、外れた後もすでに保有している分をそのまま持ち続けることは可能です。変わるのは主に「その商品を新たに非課税枠で買い増しできるかどうか」という点です。この記事では、対象商品の基準の考え方、除外・入れ替えが起きる仕組み、そして2026年度に予定されている対象拡大の改正まで、初心者の方にも分かりやすく整理します。

なお、本記事は2026年8月執筆時点の情報をもとにしています。NISA制度・対象商品の基準は変更されることがあるため、実際の商品選びや手続きの際は、必ず金融庁や利用中の証券会社の最新の公式情報をご確認ください。また、投資信託は元本が保証された商品ではなく、値動きによって元本を下回る(元本割れする)可能性がある点を前提にお読みください。

そもそも「つみたて投資枠」の対象商品とは

新しいNISA制度の「つみたて投資枠」で購入できる投資信託は、誰でも自由に選べるわけではありません。長期・積立・分散投資に適した商品であることを目的に、金融庁が定めた基準をクリアし、運用会社が届け出た商品だけが対象になっています。

主な基準として、次のような条件があります。

  • 信託報酬(保有中のコスト)が一定水準以下であること:目安として、国内のインデックス型は年0.5%以下、アクティブ型は年1.0%以下など、種類ごとに上限が設けられています
  • 信託契約期間が無期限、または20年以上であること:短期で運用を終える商品は対象になりません
  • 毎月分配型でないこと:分配金を頻繁に出す設計の商品は、長期の複利効果を活かしにくいため対象外です
  • ヘッジ目的以外のデリバティブ取引を用いた運用を行っていないこと

📰 出典:NISAを知る(金融庁)

こうした基準を満たした商品が「つみたて投資枠対象商品」として金融庁のサイトで公表されており、2026年5月時点の対象商品数は354本と報じられています。届出内容は随時更新されており、金融庁の一覧も2026年8月18日付で最新版が公開されています。

📰 出典:つみたて投資枠対象商品(金融庁)

なぜ対象商品は入れ替わることがあるのか

対象商品の一覧は一度決まったら固定されるものではありません。運用会社が新たに基準を満たす商品を届け出れば対象は増えますし、逆に既存の商品が何らかの理由で基準を満たさなくなれば、その時点で新規の対象からは外れます。

考えられる主な理由には、次のようなものがあります。

  • 信託報酬の引き上げなど、条件面の変更で基準に合わなくなった
  • 分配方針の変更(毎月分配型への切り替えなど)があった
  • 運用会社側の事情で信託期間の設定が変わった
  • そもそも制度側の基準自体が改正で変わった

実際にあった「対象外」表示の事例

似た仕組みは成長投資枠でも見られます。過去には、成長投資枠の対象外となったファンドについて、証券会社のインターネットバンキング上でファンド名に「【対象外】」と表示され、一定期間の周知を経たのち、翌年からの受渡分については非課税での買付ができなくなったという運用が行われた例が報じられています。つみたて投資枠でも、基準を満たさなくなった商品については同様に、証券会社側で買付停止や表示の変更といった対応が取られる仕組みになっています。

📰 出典:2024年からのNISA成長投資枠対象外となる投資信託のご案内(中国労働金庫)

すでに保有しているファンドが対象から外れたらどうなる?

ここが一番気になるポイントだと思いますが、整理すると次のようになります。

保有は継続できる

対象から外れたからといって、証券会社側からその投資信託を強制的に売却させられることはありません。すでに非課税枠で購入した分は、そのまま非課税のメリットを維持しながら保有を続けられます。

新規の非課税枠での買付ができなくなる場合がある

一方で、対象から外れた後は、その商品を新たにつみたて投資枠(非課税枠)で買い増すことはできなくなります。積立設定を組んでいた場合は、証券会社から事前に案内があり、次回以降の買付が停止される、あるいは積立設定自体の見直しを求められることが一般的です。「いつの間にか積立が止まっていた」とならないよう、証券会社からのお知らせメールやマイページの通知は定期的に確認しておくと安心です。

慌てて売却する必要はない

対象から外れたこと自体は、その商品の値動きやリスクが急に悪化したことを意味するわけではありません。基準はあくまで「非課税制度の対象要件」であり、運用実績や将来性を直接評価するものではないため、対象外になったからといって焦って売却する必要はありません。今後も保有を続けるか、積立先を見直すかは、当初の投資目的やリスク許容度に照らして落ち着いて判断することが大切です。

2026年度の制度改正で対象商品はどう広がるか

税制改正の議論の中では、つみたて投資枠の対象を広げる方向の見直しも進められています。これまでのつみたて投資枠は、指定指数に連動しない投資信託について「主に株式に投資するもの」に限定されてきましたが、2026年度の税制改正では「主に株式または公社債に投資するもの」まで対象を広げる方針が示されています。あわせて、つみたて投資枠を未成年にも利用できるようにする改正も議論の対象となっています。

📰 出典:2026年のNISAの制度改正で何が変わる?

この見直しの狙いは、株式の値動きに不安を感じやすい若年層や高齢層でも、債券中心・バランス型といった値動きの穏やかな商品を選びやすくすることで、投資の第一歩を踏み出しやすくする点にあるとされています。ただし、税制改正の内容は国会審議等を経て確定するものであり、実施時期や詳細は変更される可能性があります。実際に制度を利用する際は、必ず金融庁の最新情報をご確認ください。

初心者が対象商品の変更に振り回されないための考え方

制度や対象商品はこれからも見直しが続くと考えられます。そのたびに一喜一憂しないための考え方を3つ紹介します。

  • 定期的に保有商品の情報を確認する習慣をつける:年に1〜2回程度、証券会社のマイページで保有商品の状況やお知らせを確認する
  • 「対象外=悪い商品」と短絡的に考えない:非課税制度の要件と、商品そのものの運用方針・成績は別の話として切り分ける
  • 積立の目的(いつ・何のために・いくら必要か)を軸に判断する:制度の変更に振り回されるのではなく、当初の目的に照らして継続・見直しを考える

注意点・NG行動

  • お知らせを確認せず積立を放置してしまう:買付停止の通知を見落とすと、意図せず積立が止まってしまうことがあります
  • 「対象外になった」というニュースだけで慌てて売却する:非課税要件の話であり、必ずしも運用成績の悪化を意味しません
  • 制度改正の噂だけで見切り発車の判断をする:税制改正は正式決定・施行までに内容が変わることもあるため、公式発表を待って行動しましょう

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資信託を含む投資は、必ずご自身の判断と責任において、余剰資金の範囲で行ってください。価格変動により元本を下回る可能性があります。

まとめ 制度の変化は「保有継続か・買い増しか」を分けて考える

つみたて投資枠の対象商品は、金融庁の基準に応じて入れ替わることがありますが、すでに保有している分は継続して持ち続けられます。変わるのは主に新規の非課税枠での買付可否であり、対象から外れたこと自体が商品の質の低下を意味するわけではありません。2026年度には対象資産を公社債にも広げる改正が予定されるなど、制度は今後も変化していく見込みです。日頃から証券会社のお知らせを確認しつつ、制度の変更に一喜一憂せず、自分の投資目的に照らして落ち着いて判断する姿勢を大切にしましょう。

タイトルとURLをコピーしました