
「NISAを始めたいけど、投資信託の説明を見ると『株式』と『債券』が出てきて、正直よく分かっていない…」

「『債券は安全』って聞いたことがあるけど、株式と何がどう違うのか説明できないんだよね」
結論から言うと、株式は「企業の一部を保有する権利」、債券は「国や企業にお金を貸して利子を受け取る権利」で、性質がまったく異なる資産です。一般的に株式は値動きが大きい分リターンも期待しやすく、債券は値動きが比較的穏やかな代わりにリターンも小さめとされています。ただし、どちらも元本割れの可能性がある点は共通しており、「債券だから絶対安全」というわけではありません。この記事では、株式と債券それぞれの基本的な仕組みと違い、初心者がNISAなどで資産配分を考えるときの一般的な視点を解説します。 ※本記事は2026年7月時点の一般的な制度・情報をもとにしています。最新情報は金融庁・財務省など公式サイトでご確認ください。
そもそも株式とは?企業の「所有権の一部」を持つということ
株式とは、株式会社が資金を集めるために発行する証券で、株式を保有することは、その企業の「所有権の一部」を持つことを意味します。株主になると、一般的に次のような権利・可能性を得られるとされています。
- 株価の値上がりによる売却益(キャピタルゲイン)を期待できる
- 企業が利益を上げた場合、配当金を受け取れる可能性がある
- 株主優待を実施している企業では、優待を受けられる場合がある
- 株主総会での議決権を通じて、会社の経営に関する意思表示ができる
一方で、企業の業績が悪化したり倒産したりすれば、株価が大きく下落したり、投資した資金の多くを失ったりする可能性があります。株式は「ハイリスク・ハイリターン」の代表的な資産と一般的に言われています。
そもそも債券とは?国や企業への「貸し付け」という考え方
債券は、国(国債)や地方自治体(地方債)、企業(社債)などが、投資家からお金を借りるために発行する証券です。債券を購入することは、発行体にお金を貸し、あらかじめ決められた利子を受け取り、満期(償還日)になったら元本の返済(償還)を受ける、という仕組みになっています。
日本国内で個人が購入しやすい代表例として、財務省が発行する「個人向け国債」があります。変動10年・固定5年・固定3年の3種類があり、1万円から購入できる点や、一定期間経過後は中途換金に応じる制度がある点が特徴です。
📰 出典:個人向け国債窓口トップページ(財務省)
なお、債券には国が発行する「国債」のほかに、企業が発行する「社債」もあります。一般的に社債は国債よりも信用リスク(発行体が利払い・償還をできなくなるリスク)が高いとされ、その分利回りが高めに設定される傾向があると言われています。「利回りが高い債券・ファンドほどリスクも高い可能性がある」という考え方は、債券を選ぶ際にも意識しておきたいポイントです。
債券は株式に比べて値動きが穏やかとされる一方で、次のようなリスクがあることも知っておく必要があります。
- 発行体が財政難や経営破綻に陥り、利子や元本の支払いが滞る「信用リスク(デフォルトリスク)」
- 満期前に途中売却する場合、市場金利の変動によって債券価格が下落し、購入時より低い価格でしか売れない可能性がある「価格変動リスク」
- インフレ(物価上昇)が進むと、決まった利子収入の実質的な価値が目減りする可能性がある
つまり債券も「絶対に安全」というわけではなく、株式とは異なる種類のリスクを抱えている資産だと理解しておくことが大切です。
株式と債券、リスク・リターンの一般的な違いを整理
株式と債券の一般的な特徴を整理すると、次のように言われることが多いです(あくまで一般的な傾向であり、個別の銘柄・銘柄選びによって当てはまらない場合もあります)。
| 項目 | 株式 | 債券 | |—|—|—| | 保有することの意味 | 企業の所有権の一部 | 発行体への貸し付け | | 主なリターン | 値上がり益・配当金 | 利子・満期償還 | | 値動きの大きさ | 比較的大きいとされる | 比較的小さいとされる | | 主なリスク | 業績悪化・倒産による下落 | 発行体の信用リスク・価格変動リスク | | インフレへの強さ | 一般的に相対的に強いとされる | 相対的に弱いとされる |
ここで大切なのは、「株式=リスクが高いから避ける」「債券=安全だから債券だけでよい」といった単純な二択で考えないことです。それぞれ性質の違う資産だからこそ、組み合わせることで値動きの振れ幅を抑えながら資産形成を目指すという考え方が広く知られています。
株式と債券は値動きが逆になりやすい?という一般的な見方
投資の世界では、「株式が値下がりする局面では、比較的安全とされる債券にお金が向かいやすい」という一般的な見方(逆相関の傾向)が語られることがあります。ただし、これは常に成り立つ法則ではありません。実際に、2022年のように世界的な金融引き締め局面では株式・債券がともに下落する場面も見られました。
「株式と債券を持っていれば必ず値動きが打ち消し合う」と断定することはできませんが、異なる性質の資産を組み合わせることは、特定の1つの資産に集中するよりも値動きの振れ幅を抑えやすい、という一般的な考え方として知っておくとよいでしょう。
公的年金の運用を担うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)では、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式をそれぞれ25%ずつ持つ基本ポートフォリオを採用しており、特定の資産に偏らせない考え方の一例として参考になります。
📰 出典:基本ポートフォリオの考え方(GPIF)
※これはGPIFという巨大な年金基金の運用方針の一例であり、個人の資産配分としてそのまま当てはまるものではありません。あくまで「資産を分けて持つ」考え方の参考としてご覧ください。
初心者がNISAで資産配分を考えるときの一般的な視点
NISA(少額投資非課税制度)のつみたて投資枠・成長投資枠で購入できる投資信託の中には、株式のみに投資するタイプだけでなく、株式と債券を組み合わせた「バランス型ファンド」も存在します。初心者が資産配分を考える際の一般的な視点として、次のようなものがよく紹介されています。
- まずは投資の目的・期間を考える:老後資金など長期の目的なら、多少の値動きを許容しやすいとされる一方、数年以内に使う予定のお金は値動きの大きい資産に回さない方がよいという考え方が一般的です。
- リスク許容度は人によって異なると理解する:年齢・収入・家族構成などによって、どの程度の値下がりまで受け入れられるかは人それぞれです。「みんなこの配分にしている」という情報を鵜呑みにしないことが大切です。
- 1本のバランス型ファンドで手軽に分散する方法もある:株式と債券の比率があらかじめ決まっている投資信託を1本購入することで、初心者でも比較的シンプルに分散を図れるとされています。
- 自分で株式ファンドと債券ファンドを組み合わせる方法もある:比率を自分で調整したい場合は、株式インデックスファンドと債券インデックスファンドを別々に購入し、必要に応じて比率を見直す方法もあります。
- 制度・商品の内容は必ず最新の公式情報を確認する:NISAの制度内容や対象商品は変更される可能性があるため、最新情報は金融庁の公式サイトなどで確認してください。
📰 出典:NISA特設ウェブサイト(金融庁)
株式100%と株式・債券を組み合わせた場合、値動きのイメージを比較
数字を使った具体的なイメージがあると理解しやすいため、あくまで仕組みを説明するための簡略化した仮の例を紹介します(実際の市場での値動きを予測・保証するものではありません)。
- 株式100%のポートフォリオ:好調なときのリターンは大きくなりやすい一方、下落局面では下落幅もそのまま大きく出やすいと考えられます。
- 株式50%・債券50%のポートフォリオ:仮に株式部分が大きく下落しても、値動きの穏やかな債券部分がクッションとなり、資産全体の下落幅は株式100%の場合より抑えられやすいと一般的には考えられています。
もちろん、これは仕組みを理解するための単純化した考え方であり、実際には金利動向や市場環境によって債券価格も変動するため、必ずしもこの通りになるとは限りません。「資産を1種類に集中させるほど、値動きの振れ幅も大きくなりやすい」というイメージを持つための一例として捉えてください。
Q. 初心者はまず株式と債券、どちらから始めるべき?
明確な正解はなく、最終的にはご自身の目的やリスク許容度に応じて判断していただくことになりますが、一般的には次のような考え方が紹介されています。
- 老後資金づくりなど、長期間じっくり増やしていきたい場合は、株式を中心とした投資信託(インデックスファンドなど)を軸に考える人が多いとされています。
- 値動きへの不安が大きい場合や、投資に回せる期間が短い場合は、債券の比率を高めにしたバランス型ファンドを選ぶ考え方もあります。
- 「株式か債券か」の二者択一ではなく、両方を組み合わせた投資信託を1本購入し、まずは少額から始めてみるという方法も、初心者にとって現実的な選択肢の一つとされています。
いずれの場合も、「絶対にこの配分が正解」というものはなく、制度や商品の詳細は変わる可能性があるため、購入前に必ず目論見書や公式サイトで最新情報を確認するようにしてください。
初心者がやりがちなNG行動・注意点
- 「債券=絶対安全」と思い込んで、リスクの説明を読まずに購入してしまう:債券にも信用リスク・価格変動リスクがあることを理解しておきましょう。
- 「株式は怖いから」と、値動きへの理解が不十分なまま投資自体を避けてしまう:値動きの性質を知らないまま感覚的に避けたり、逆に飛びついたりすると、いざというときに慌てやすくなります。
- 話題性だけでファンドを選び、中身(株式比率・債券比率)を確認しない:目論見書や運用報告書で、実際にどのような資産にどの程度配分されているかを確認する習慣が大切です。
- 短期的な値動きのニュースだけで配分をころころ変えてしまう:資産配分は本来、長期的な方針として考えるものであり、日々の値動きに一喜一憂して頻繁に変更すると、かえって手数料や税金のコストがかさむ場合があります。
まとめ 性質の違いを理解し、自分に合った配分を考えよう
株式は企業の所有権の一部としてハイリターンを期待できる分、値動きが大きくなりやすい資産です。債券は国や企業への貸し付けとして比較的値動きが穏やかとされますが、信用リスクや価格変動リスクがゼロではありません。どちらか一方が絶対的に優れているわけではなく、それぞれの性質を理解した上で、自分の目的や期間、リスク許容度に合わせて組み合わせを考えることが、長期的な資産形成の土台になります。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。株式・債券とも価格変動により元本割れする可能性があります。投資は必ずご自身で最新の公式情報を確認した上で、余剰資金の範囲で、自己責任にて行ってください。

