
「NISA口座で株を買ったのに、配当金にちゃんと税金がかかってた…なんで?」

「配当金の受け取り方法なんて、正直どれも同じだと思ってました」
結論から言うと、上場株式の配当金の受け取り方法には4つの方式があり、NISA口座で配当金を非課税にできるのは「株式数比例配分方式」を選んでいる場合だけです。ほかの3つの方式を選んでいると、NISA口座で保有している株式であっても、配当金には通常どおり税金がかかってしまいます。この記事では、4つの受け取り方式の違いと、初心者がやってしまいがちな「方式の選び間違い」、そして確認・変更の手順をわかりやすく解説します。
※ 制度・手続きの内容は2026年7月時点の情報です。最新の内容は日本証券業協会や、口座を開設している証券会社の公式サイトで必ずご確認ください。
そもそも配当金の「受け取り方式」とは?なぜ重要なのか
上場株式を保有していると、企業の業績に応じて配当金が支払われることがあります。この配当金をどのように受け取るかは、実は投資家自身があらかじめ証券会社に「登録」しておく必要があり、その登録内容(受取方式)によって、受け取り方だけでなく税金の扱いまで変わってきます。
とくに重要なのが、NISA(少額投資非課税制度)口座との関係です。NISA口座内の株式から得られる配当金は、本来であれば非課税で受け取れます。しかし、受取方式の設定を誤っていると、この非課税の恩恵を受けられず、通常の口座と同じように配当金から税金が源泉徴収されてしまいます。

「NISAって口座を作れば自動で非課税になるんじゃないの?」

「配当金だけは別に設定が必要って、知らない人が多そうだね」
つまり、NISAで株式の値上がり益だけでなく「配当金」まで非課税にしたいなら、受取方式の選択はとても重要な前提知識になります。まずは4つの方式の違いを押さえておきましょう。
そもそもNISAは、長期・分散・積立を基本とした資産形成を後押しするための非課税制度です。配当金の非課税メリットを最大限に活かすためにも、短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、長い時間をかけてコツコツ資産を育てていくという心構えとあわせて、受取方式のような「地味だけれど見落としやすい設定」もきちんと押さえておくことが大切です。
配当金の受け取り方式は4種類
代表的な受け取り方式は、次の4つに整理できます。
📰 出典:NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項
日本証券業協会(JSDA)は、NISA口座で保有する上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには「株式数比例配分方式」を選択する必要があることを案内しています。
1. 株式数比例配分方式
証券会社の取引口座(保有している証券口座)で、保有株式数に応じて配当金を受け取る方式です。複数の証券会社で同じ銘柄を保有している場合は、それぞれの口座に按分されて入金されます。
- NISA口座の配当金を非課税にできる唯一の方式です
- 一度設定すると、その投資家が保有するすべての証券口座(特定口座・一般口座を含む)に一括で適用されます
- メリット:NISA非課税メリットを受けられる、複数の株式・投資信託の配当金や分配金を証券口座でまとめて管理できる
- デメリット:配当金の振込先を証券口座以外(生活費用の銀行口座など)に分けたい人には不便に感じられる場合がある
2. 登録配当金受領口座方式
保有しているすべての銘柄の配当金を、あらかじめ指定した1つの銀行口座にまとめて振り込んでもらう方式です。複数の証券会社で株式を保有していても、配当金の振込先を一本化できる点が特徴ですが、NISA口座の配当金は非課税になりません。
- メリット:普段使いの銀行口座に配当金が振り込まれるため家計管理がしやすい
- デメリット:NISA口座で保有している株式の配当金であっても課税されてしまう
3. 個別銘柄指定方式
銘柄(発行会社)ごとに、振込先の銀行口座を指定できる方式です。銘柄によって受け取り口座を変えたい場合に選ばれますが、保有銘柄数が多いと管理の手間が増えます。こちらもNISA口座の配当金は非課税になりません。
- メリット:銘柄ごとに振込先を細かく使い分けられる
- デメリット:登録・管理の手間が大きく、NISA口座の非課税メリットも受けられない
4. 配当金領収証方式
発行会社(信託銀行)から郵送されてくる「配当金領収証」を、郵便局などの窓口に持参して現金化する、昔ながらの方式です。近年は電子化・ペーパーレス化が進み、選択する投資家は減少傾向にあるといわれています。こちらもNISA口座の配当金は非課税になりません。
- メリット:証券口座や銀行口座を経由せず、現金として直接受け取れる
- デメリット:窓口へ出向く手間がかかるうえ、領収証の紛失・失効のリスクがあり、NISA口座の非課税メリットも受けられない
NISA非課税とそうでない場合の違い(あくまで試算イメージ)
たとえば配当金が年間3万円だった場合、株式数比例配分方式でNISA口座の非課税メリットを受けられていれば、受け取れる金額は3万円のままです。一方、他の3方式を選んでいてNISAの非課税メリットが適用されない場合は、約20.315%の税金が源泉徴収され、手取りは3万円弱にとどまります。 ※ この数値はあくまで仕組みを理解するための一例であり、実際の税率・手取り額を保証するものではありません。配当額や税制は今後変わる可能性があるため、正確な金額は証券会社の取引報告書や公式情報でご確認ください。

「4つもあると混乱しそう…結局どれを選べばいいの?」

「NISAで非課税を狙うなら、選択肢は実質ひとつだけだよ」
ETF・REITの分配金も対象になる
配当金の受取方式は、個別の上場株式だけでなく、証券取引所に上場しているETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の分配金にも関係するとされています。NISA口座でETFやREITを保有している場合も、株式と同様に株式数比例配分方式になっていなければ、分配金が非課税にならない可能性があるため、株式以外の商品を保有している方も一緒に確認しておくと安心です。
なお、非上場の投資信託(証券取引所を通さずに購入するタイプの投資信託)の分配金は、上場株式とは別の仕組みで取り扱われます。詳細は購入している証券会社・運用会社の公式情報でご確認ください。
NISAの配当金を非課税にする具体的なステップ
ここでは、NISA口座で配当金を非課税で受け取るための、確認・設定の流れを解説します。
ステップ1:現在の受取方式を確認する
まずは、口座を開設している証券会社のマイページ(お客様情報や口座管理のメニュー)から、現在登録されている配当金受領方法を確認しましょう。証券会社によって表示場所は異なりますが、「配当金受領サービス」「配当金受取方法」といったメニュー名になっていることが多いです。
ステップ2:「株式数比例配分方式」になっているか確認する
表示された設定が「株式数比例配分方式」であれば、NISA口座の配当金は非課税で受け取れる状態です。それ以外(登録配当金受領口座方式・個別銘柄指定方式・配当金領収証方式)になっている場合は、変更の手続きが必要になります。
ステップ3:方式の変更を申し込む
証券会社のウェブサイトや取引アプリから「株式数比例配分方式」への変更を申し込みます。多くのネット証券ではオンラインで手続きが完結しますが、証券会社によっては郵送での手続きが必要な場合もあります。
📰 出典:NISA口座預りの国内上場株式の配当金を非課税にするために、配当金受領方法は何を登録すればいいのか教えてください。
証券会社のよくある質問(FAQ)でも、NISA口座の配当金を非課税で受け取るには「株式数比例配分方式」の登録が必要であると案内されています。
ステップ4:反映されるタイミングに注意する
受取方式の変更は、手続きが完了してもすぐに反映されない場合があります。配当金の権利確定日(基準日)までに変更手続きが間に合っていないと、次回の配当がその変更前の方式で支払われてしまうことがあります。余裕を持って早めに手続きを済ませておきましょう。
ステップ5:複数の証券会社を利用している場合は影響範囲を確認する
株式数比例配分方式は、1つの証券会社で設定すると、その投資家が保有する「すべての証券口座」に一括で適用される仕組みです。NISA口座以外に特定口座などを複数の証券会社で持っている場合、そちらの受取方式も同時に変わる点は理解しておきましょう。
NISA初心者がやりがちなNG行動・失敗例
失敗例1:NISA口座を開けば自動的に配当金も非課税になると思い込む
NISA口座の開設と、配当金の受取方式の設定は別物です。口座開設時の案内画面をよく読まずに進めてしまい、後から「配当金に税金が引かれていた」と気づくケースがよく見られます。
失敗例2:便利さだけで登録配当金受領口座方式を選んでしまう
「配当金をまとめて銀行口座で受け取れて便利」という理由だけで登録配当金受領口座方式を選んでしまい、NISA口座の非課税メリットを活かせていない、という失敗例は少なくありません。
失敗例3:証券会社を乗り換えたあとに設定を確認し忘れる
証券会社を変更・追加した際に、以前の設定がそのまま引き継がれると思い込み、新しい口座で受取方式の設定を確認し忘れてしまうケースもあります。
失敗例4:配当の権利確定日ギリギリに変更手続きをして間に合わない
「そろそろ配当がもらえる時期だから」と直前になって受取方式の変更を申し込み、手続きが権利確定日に間に合わず、その回だけ課税されてしまったというケースもあります。受取方式の変更は、思い立ったタイミングで早めに済ませておくのが安心です。

「一度設定したから、もう安心って思ってた…」

「証券会社を追加したときは、念のため確認しておいたほうがよさそうだね」
リスクと注意点
- 本記事で紹介した受取方式や税制の取り扱いは、2026年7月時点の一般的な情報です。制度は今後変更される可能性があるため、最新情報は日本証券業協会や、利用中の証券会社の公式サイトで必ずご確認ください。
- 受取方式の設定・変更手続きの詳細は証券会社ごとに異なります。不明な点は、口座を開設している証券会社のカスタマーサポートに直接お問い合わせください。
- 配当金そのものは、企業の業績や配当方針によって減配・無配となる可能性があり、将来の配当を保証するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがあることを、常に念頭に置いてください。
- 税務上の取り扱いについて個別具体的な判断が必要な場合は、税務署や税理士にご確認ください。
- 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却や、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。投資に関する最終判断は、リスクを十分理解したうえで、ご自身の責任で行ってください。
- 家族名義の口座やジュニアNISA(制度が存在した当時の口座)など、口座の種類によって手続きや取り扱いが異なる場合があります。ご自身の口座がどの制度・区分に該当するかは、証券会社の公式情報で確認してください。
- 新たにNISA口座を追加開設した場合や、つみたて投資枠・成長投資枠で新規に株式を購入した場合も、受取方式の設定自体は口座単位ではなく投資家単位で適用されるため、基本的に再設定は不要とされていますが、心配な場合は証券会社に確認しておくとより安心です。
まとめ:まずは自分の受取方式を確認することから
配当金の受け取り方式には「株式数比例配分方式」「登録配当金受領口座方式」「個別銘柄指定方式」「配当金領収証方式」の4種類があり、NISA口座の配当金を非課税で受け取れるのは株式数比例配分方式だけです。すでにNISA口座で株式を保有している方は、まず証券会社のマイページで現在の設定を確認してみましょう。もし比例配分方式になっていなければ、次の配当の権利確定日までに余裕を持って変更手続きを行うことをおすすめします。小さな設定ミスで非課税のメリットを取りこぼさないよう、今のうちに確認しておいてください。

