減価償却とは?決算書の「お金が出ていかない費用」の仕組みと、初心者が利益だけで会社を判断しないための3つの注意点

株式投資

「決算書に『減価償却費』って出てくるけど、これって何にかかったお金なの?」

「利益が少ないのに現金は減ってないって話も聞くし、ちょっと混乱する…」

結論から言うと、減価償却とは、建物や機械など長く使うものの購入代金を、使う年数にわたって少しずつ費用に振り分ける会計のルールです。減価償却費はその年に実際にお金が出ていくわけではない費用のため、利益と現金の動きがズレる原因のひとつになります。

この記事では、減価償却の意味と仮の数字例、初心者が決算書を見るときの3つの注意点、確認の3ステップを解説します。なお、本記事は執筆時点(2026年10月)の一般的な知識にもとづく解説です。

減価償却とは?まずは仕組みをやさしく

たとえば会社が1,000万円の機械を買い、5年間使うとします。1年目にまとめて1,000万円を費用にすると、その年だけ利益が極端に小さくなってしまいます。そこで、使う期間に合わせて毎年少しずつ費用にするのが減価償却です。

仮の数字で考えてみる(実在の企業ではありません)

1年目2年目3年目4年目5年目
減価償却費(定額の場合)200万円200万円200万円200万円200万円
実際にお金が出た時期1,000万円(購入時)0000

お金が出ていくのは購入した1年目ですが、費用としては5年に分けて計上されます。方法には毎年同じ額にする定額法や、初期に多く計上する定率法などがあり、会社や資産の種類で異なります。

📰 出典:金融庁 EDINET(有価証券報告書などの開示書類)

減価償却費の実際の金額や方法は、各社の有価証券報告書や決算短信の注記で確認できます。最新の情報は公式資料をご確認ください。

初心者が知っておきたい3つの注意点

1. 利益と現金の動きは一致しない

減価償却費は「現金が出ない費用」なので、利益が小さくても現金は手元に残っていることがあります。逆に、設備投資で現金が大きく出ていても、利益には少しずつしか反映されないことがあります。利益だけでなく、キャッシュフロー計算書もあわせて見ると状況がつかみやすくなります。

2. 減価償却費が大きい=悪い、とは限らない

設備を多く持つ業種(製造業、運輸、通信など)は、減価償却費が大きくなりやすい傾向があります。大きいこと自体が良い悪いを意味するわけではありません。同じ業種の会社と比べたり、売上に対する割合の推移を見たりすることが大切です。

3. 償却方法や年数で利益の見え方が変わる

同じ設備でも、償却方法や耐用年数の選び方で、各年の利益の見え方は変わります。方法を変更した年は前年と単純に比べにくいことがあります。決算短信や注記に「会計方針の変更」がないか確認しましょう。あくまで筆者の私見ですが、数字の変化が大きいときほど、理由の説明を読む習慣が役に立ちます。

減価償却を確認する3ステップ

  1. 損益計算書やキャッシュフロー計算書、注記で減価償却費の金額を確認する
  2. 売上高に対する割合や過去数年の推移を見る
  3. 設備投資額(キャッシュフロー計算書の投資活動)と比べて、設備を更新し続けているかを見る

初心者がやりがちなNG行動

  • 営業利益や純利益だけを見て、会社の資金状況を判断する
  • 「減価償却費が大きい会社は儲かっていない」と決めつける
  • 業種の違う会社どうしの数字をそのまま比べる
  • SNSの断片的な数字だけで売買を決める

リスクと注意点

株式投資には価格変動のリスクがあり、元本割れの可能性があります。決算書の数字が良好に見える会社でも、株価が下がることはあります。会計の基準や制度は変わることがあるため、最新の情報は公式資料でご確認ください。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

まとめ 「利益」と「現金」は別物。2つを並べて見る習慣を

減価償却は、長く使う資産の代金を使う期間に分けて費用にする仕組みで、利益と現金の動きがズレる理由のひとつです。1つの数字で結論を出さず、損益計算書とキャッシュフロー計算書をあわせて落ち着いて確認していきましょう。

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