投資信託の「騰落率」とは?過去のリターンの見方と、初心者が数字だけでファンドを選んではいけない3つの理由

株式投資

投資信託の比較サイトや証券会社の画面で必ず目にする「騰落率(とうらくりつ)」。結論から言うと、騰落率は「ある期間にファンドの値段(基準価額)がどれだけ上がったか・下がったか」を示す過去の成績表です。参考にはなりますが、これだけで「どれを買うか」を決めるのは危険です。この記事では、騰落率の意味と見方、初心者がつまずきやすいポイントを整理します。

「騰落率が高いファンドを選べば、これからも増えるんじゃないの?」

「ランキング上位のものを買えば安心な気がするけど、本当にそうなのかな…」

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資信託は元本が保証されておらず、値下がりして元本割れする可能性があります。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。制度や表示は執筆時点(2026年10月)の一般的な内容で、最新の情報は各運用会社・販売会社・公的機関の公式サイトでご確認ください。

騰落率とは?基準価額の「変化の割合」のこと

基本の意味

騰落率とは、一定の期間に基準価額(投資信託の1口あたりの値段のようなもの)が何%上がったか、または下がったかを表す数字です。プラスなら「騰」、マイナスなら「落」です。

多くの画面では、次のように期間別に表示されます。

表示意味
1か月・3か月・6か月直近の短い期間の変化
1年過去1年間の変化
3年・5年中期の変化(年率換算で表示されることもある)
設定来ファンドが運用を始めてからの変化

計算のイメージ(仮の数字)

たとえば、1年前に10,000円だった基準価額が、今は11,200円になっていたとします。この場合の1年騰落率は、(11,200 − 10,000)÷ 10,000 = プラス12%です。

逆に、10,000円が9,000円になっていれば、マイナス10%です。なお、ここで使った数字はあくまで説明用の例で、実際のファンドとは関係ありません。

「分配金」があるとき注意したい点

分配金を出すファンドでは、騰落率の計算に分配金が含まれているかどうかが表示によって異なる場合があります。基準価額だけの変化なのか、分配金を再投資したと仮定した数字なのか、注記を必ず確認しましょう。

初心者が騰落率だけで選んではいけない3つの理由

理由1:過去の成績は、将来を約束しない

投資信託の説明書にも「過去の運用実績は将来の運用成果を保証するものではありません」と書かれています。直近1年で大きく上がったファンドは、そのときの市場環境(たとえば特定のテーマが人気だった時期)に合っていただけかもしれません。環境が変われば、同じ成績が続くとは限りません。

理由2:期間の切り取り方で、見え方が大きく変わる

同じファンドでも、どの期間を見るかで印象が変わります。たとえば「1年はプラス30%、でも3年で見るとほぼ横ばい」ということもあり得ます。

  • 短い期間だけを見ると、たまたまの好調を「実力」と勘違いしやすい
  • 下落直後から測ると、実際より成績が良く見えることがある
  • 逆に、高値の直後から測ると、悪く見えることがある

期間をひとつに決めず、1年・3年・5年と並べて見るのがおすすめです。

理由3:「上がりやすさ」には「下がりやすさ」がセットになっている

騰落率が高いファンドは、値動きの大きい(リスクの高い)資産に投資していることが少なくありません。上がるときに大きく伸びる分、下がるときも大きく下がる可能性があります。

「高い成績の裏には、大きく下がる可能性もあるってこと?」

「そうなんだ。だから『いくら増えたか』だけでなく『どれくらい下がり得るか』も見ておきたいね」

騰落率の上手な使い方:ランキングは「入口」にとどめる

騰落率が役に立たないわけではありません。使い方のコツは、「選ぶ決め手」ではなく「確認材料」にすることです。

同じ種類のファンド同士で比べる

たとえば、同じ指数に連動するインデックスファンド同士を比べるなら、騰落率の差は主にコスト(信託報酬など)の差として表れます。一方、国内株式のファンドと海外債券のファンドを比べても、投資対象が違うので、あまり意味がありません。

あわせて見たい4つのポイント

  1. 何に投資しているファンドか(株式・債券・国内・海外など)
  2. コスト(信託報酬は持っている間ずっとかかります)
  3. 純資産総額(ファンドの規模)(極端に小さい場合は繰上償還の可能性にも注意)
  4. 最大の下落幅(値下がりしたときの経験)

最後の「どれくらい下がったことがあるか」は、自分が許容できるリスクかどうかを考える材料になります。

具体的なアクション:騰落率を見る前に決めておくこと

ランキングを見る前に、次の3つを書き出してみてください。

  • 何のために投資するのか(老後資金・教育費・将来の備えなど)
  • いつ頃までに使う可能性があるか(期間が短いほど、値動きの大きい資産は慎重に)
  • 一時的に20〜30%下がったとき、続けられるか

この3つが決まっていれば、騰落率の数字に振り回されにくくなります。つみたて投資なら、無理のない金額を長く続けることが大切です。

注意点・やってはいけない行動

  • 「今年のランキング1位」を理由に、一度に大きな金額を入れる:高値づかみになるおそれがあります。
  • 成績が悪い時期に、慌てて解約する:下落時に売ると、損失が確定してしまいます。
  • SNSの「このファンドが爆上げ」といった情報だけで選ぶ:リスクの説明が省かれている場合があります。
  • 借入や生活費を投資に回す:余剰資金の範囲で行いましょう。

まとめ:騰落率は「参考資料のひとつ」として使おう

  • 騰落率は、一定期間に基準価額がどれだけ上がったか・下がったかを示す過去の成績
  • 過去の数字は将来を保証しない
  • 期間の切り取り方で見え方が変わるので、1年・3年・5年を並べて見る
  • 高い騰落率の裏には、大きな値下がりの可能性があることも
  • 投資対象・コスト・規模・下落幅とあわせて確認する

ランキングの数字に一喜一憂せず、「自分の目的に合っているか」「続けられるか」を軸に考えることが、長く資産形成を続ける近道です。迷ったときは、販売会社の窓口や、金融庁・投資信託協会などの公式情報を確認し、必要に応じて専門家にも相談してみてください。

📰 出典:金融庁(制度・投資信託に関する公式情報)

📰 出典:一般社団法人 投資信託協会(投資信託の基礎知識)

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