「年収の壁」を気にしながらNISA積立はどう考える?パート・扶養で働く人のための考え方

株式投資

「パートで扶養に入っているんだけど、NISAで積立を増やしたら『年収の壁』を超えちゃうのかな…」

「そもそも壁が106万とか130万とか、最近ニュースで変わるって聞いて余計に混乱してる」

結論から言うと、NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)で得られる運用益や配当・分配金は、扶養の判定に使う「年収」には含まれません。ただし、NISA口座への「入金」に回すお金の出どころ(お給料)は当然あなたの年収の一部なので、「働き方(勤務時間・収入)をどうするか」と「積立の金額をどうするか」は、切り離して考える必要があります。この記事では、年収の壁の仕組みをおさらいしつつ、パート・扶養で働きながらNISA積立を続ける人がどう考えればいいかを整理します。

悩みの背景 「年収の壁」は一つではない

まず前提として、「年収の壁」と一口に言っても、実際には性質の異なる複数のラインが存在します。

  • 税金に関する壁(所得税がかかり始める・配偶者の税負担が変わるライン)
  • 社会保険に関する壁(自分自身が厚生年金・健康保険に加入するライン)

📰 出典:「年収の壁・支援強化パッケージ」等の資料(厚生労働省)

厚生労働省は、パート・アルバイトで働く人が「年収の壁」を意識しすぎずに働ける環境づくりを後押しするため、社会保険の「106万円の壁」を2026年10月に撤廃する方針を示しており、撤廃後は主に「週の労働時間が20時間以上かどうか」が社会保険加入の基準になるとされています。あわせて、税制面でもいわゆる「103万円の壁」に相当するラインが近年の税制改正で段階的に見直されてきています。

このように、税金の壁と社会保険の壁はそれぞれ別の制度・別のタイミングで見直しが進んでおり、しかもニュースで報じられる数字(103万・106万・130万・178万など)が指しているのが「税金の話」なのか「社会保険の話」なのか混同しやすいことが、悩みをより複雑にしていると筆者は感じています。

※ 制度の詳細・最新の金額や時期は変わる可能性があります。ご自身の状況に関わる正確な情報は、勤務先の担当部署や税務署、日本年金機構・年金事務所、税理士など専門家に必ずご確認ください(本記事は2026年8月執筆時点の一般的な情報です)。

考え方1. NISAの運用益・配当は「扶養の年収」に含まれない

NISA口座内で得た値上がり益(譲渡益)や配当金・分配金は非課税であり、税金の扶養判定・社会保険の扶養判定のいずれにおいても、一般的に「収入」としてカウントされないとされています。つまり、NISAで運用しているお金が値上がりしたからといって、それ自体が「壁を超える」原因にはなりません。

一方で注意したいのは、NISA口座に入金するお金は、あなたのお給料(労働収入)から出ているという点です。「投資の利益は壁に関係ない」からといって「積立額を増やすために勤務時間を増やす」場合は、その増えた分のお給料そのものが壁の判定対象になります。ここを混同しないことが第一歩です。

考え方2. 「積立額」と「働き方」を分けて考える

積立NISAで毎月いくら投資するかは、あくまで「今の手取り収入の中から、無理なく回せる金額」で決めるのが基本です。壁を意識するあまり「積立を増やすために働く時間を増やす」という発想に飛びつく前に、次の順番で考えることを筆者はおすすめします。

  1. 生活費・生活防衛資金を確保できているかを確認する
  2. 今の収入・働き方(扶養内で働くか、扶養を外れて働くかなど)の希望を整理する
  3. その上で、無理なく続けられる積立額を決める

「壁を超えないように」という制約と、「資産形成をどう進めたいか」という希望は、本来別々に整理すべきテーマです。壁を気にするあまり必要な生活費まで積立に回してしまったり、逆に「壁があるから投資はしない」と考えすぎてしまったりすると、どちらも本末転倒になりかねません。

考え方3. 制度変更のタイミングに振り回されすぎない

前述の通り、社会保険の壁は2026年10月撤廃予定、税金の壁も近年の改正で数字が変わってきています。こうした制度変更のニュースが出るたびに一喜一憂して積立額や働き方を頻繁に見直すのは、かえって家計管理が煩雑になりがちです。

一般的な考え方として、

  • 制度変更の「方向性」(社会保険の壁が緩和される流れにある、など)は把握しておく
  • ただし「実際に自分の働き方・収入をどうするか」は、制度が確定してから、あるいは年に1〜2回程度のタイミングでまとめて見直す

というように、情報収集と実際の見直しのタイミングを分けることで、振り回されにくくなります。NISAの積立設定自体は、証券会社のサイト・アプリからいつでも金額変更・一時停止ができる商品がほとんどなので、「今すぐ完璧な金額を決めなければ」と気負いすぎる必要はありません。

考え方4. 迷ったら「今の収入内で無理のない金額」を優先する

扶養内で働くか、扶養を外れてもっと収入を増やすかは、税金・社会保険の損得だけでなく、働き方の希望やライフステージ(子育て・介護など)によっても最適解が変わる、非常に個別性の高いテーマです。この記事だけで「あなたはこうすべき」と判断することはできません。

迷った場合は、まず「今の収入の中で無理なく続けられる積立額」からスタートし、働き方の見直しは家計全体・将来のライフプランを踏まえて、必要であればファイナンシャルプランナーや税理士など専門家に相談しながら検討することをおすすめします。

実践する際の注意点・リスク

  • 社会保険・税金の制度は今後も変更される可能性があります。数字を一度覚えて終わりにせず、都度、厚生労働省・国税庁・勤務先からの最新情報を確認する習慣を持ちましょう
  • NISAはあくまで投資であり、元本保証はありません。積立額を「壁を超えない範囲で最大化する」ことだけを目的にすると、リスク許容度に合わない金額を積み立ててしまう可能性があります
  • 扶養から外れるかどうかの判断を、投資の積立額だけを理由に決めるのは避け、収入全体・家計全体で検討しましょう
  • 「必ず得する働き方」「絶対に損しない壁の超え方」といった断定的な情報は、制度の一部だけを切り取っている場合があるため、公式情報で裏付けを取りましょう

まとめ 壁と投資は分けて、無理のない積立を続けよう

「年収の壁」とNISA積立は、一見関係が深そうに見えて、実は「働き方・収入」の話と「資産運用」の話という別々のテーマです。NISAの運用益・配当は扶養の年収判定に含まれない一方、積立に回すお金の出どころ(お給料)は当然あなたの収入の一部であるという整理をまず押さえた上で、制度変更のニュースに振り回されすぎず、今の家計の中で無理なく続けられる金額から積立を続けていくことが大切です。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却や特定の働き方を推奨するものではありません。税金・社会保険の制度は変更される可能性があるため、最新情報は厚生労働省・国税庁・勤務先・税理士等でご確認ください。投資は元本割れのリスクがあるため、自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

タイトルとURLをコピーしました