
「つみたてを続けていたら、NISAの非課税枠がそろそろ埋まりそう…このあとどうすればいいの?」

「非課税じゃなくなるなら、それ以上は投資しない方がいいのかな…」
結論から言うと、NISAの非課税枠を使い切っても、投資をやめる必要はありません。「NISA→(iDeCoも使っているならiDeCo)→特定口座」の順番で考え、非課税枠の外は「特定口座(源泉徴収あり)」で無理のない範囲で続ける、というのが基本的な考え方です。特定口座には税金がかかりますが、その代わりNISAにはないメリット(損益通算・繰越控除)もあります。
この記事では、NISAの非課税枠がいっぱいになった後、どのように投資を続けていくかを、初心者にも分かりやすく整理します。なお、NISA制度は今後も見直しが議論されており、内容は変わる可能性があります。本記事は2026年7月時点の情報です。最新の制度内容は金融庁の公式サイトで必ずご確認ください。
そもそもNISAの非課税枠には「2つの上限」がある
まず、非課税枠が「埋まる」とはどういう状態か整理しておきましょう。
金融庁の公式サイトによると、現行のNISA制度には次の2つの枠があります。
| 枠の種類 | 年間の上限 | 生涯の上限 | |—|—|—| | つみたて投資枠 | 120万円 | 合計1,800万円のうち(内訳の制限なし) | | 成長投資枠 | 240万円 | 1,200万円まで | | 合計 | 360万円 | 1,800万円 |
📰 出典:NISAを知る(金融庁)
つまり「枠が埋まる」には、
- 年間投資枠が埋まる…その年に360万円分の投資をした状態(翌年になれば年間枠は新たにリセットされます)
- 生涯投資枠が埋まる…保有している非課税分の合計が1,800万円に達した状態
の2パターンがあります。年に一度リセットされる年間枠と違い、生涯投資枠は「保有している限り復活しない」ため、多くの人が悩むのはこちらのケースです。
なお、NISA内の商品を売却すると、その簿価(取得価額)分の生涯投資枠は翌年以降に復活する仕組みになっています。ただし、その年のうちにすぐ使えるわけではなく、年間投資枠自体が増えるわけでもありません。この「枠の復活」の細かいルールは今後の税制改正で見直しが議論されている部分でもあるため、最新の運用は証券会社や金融庁の情報を確認してください。
非課税枠を使い切ったら、次に投資する場所の考え方
結論としては、優先順位は次のようにシンプルに考えるとよいでしょう。
1. iDeCo(個人型確定拠出年金)を使っていない・枠が残っているか確認する
iDeCoは掛金が全額所得控除になるなど、NISAとは違う税制メリットがあります。老後資金用として、まだ枠を使い切っていなければ検討の余地があります。ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出せないという制約があるため、目的(老後資金かどうか)に合うかを必ず確認してください。
2. それでも投資を続けたいなら「特定口座(源泉徴収あり)」を使う
NISAの外で投資をする場合、多くの人が使うのが証券会社の「特定口座」です。特定口座には「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」の2種類があり、確定申告の手間を減らしたい初心者は「源泉徴収あり」を選ぶのが一般的とされています。
NISAと特定口座、何がどう違う?表で確認
「非課税かどうか」以外にも、NISAと特定口座にはいくつか違いがあります。混同しやすいポイントを表にまとめました。
| 項目 | NISA | 特定口座(源泉徴収あり) | |—|—|—| | 利益への課税 | 非課税 | 約20.315%課税 | | 損益通算 | できない | 同一口座内で自動的に可能 | | 繰越控除 | 対象外 | 確定申告をすれば翌年以降3年間可能 | | 年間・生涯の投資上限 | あり(360万円/1,800万円) | 上限なし | | 資金の引き出し制限 | 原則いつでも売却・引き出し可能 | 原則いつでも売却・引き出し可能 |
📰 出典:NISAを知る(金融庁)
こうして並べてみると、特定口座は「税金はかかるものの、投資できる金額に上限がなく、損益通算・繰越控除という調整手段がある」という性格の違いが分かります。「非課税ではないから損」と単純に考えるのではなく、それぞれの特徴を踏まえたうえで、無理のない範囲でどちらをどう使うかを考えることが大切です。
特定口座に切り替わると、税金はどれくらいかかる?
特定口座に切り替わって一番大きく変わるのは「税金がかかること」です。具体的な税率と金額のイメージを確認しておきましょう。
利益に対して約20%の税金がかかる
国税庁によると、上場株式等の譲渡益・配当等には、所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%をあわせて20.315%の税率がかかります(2026年7月時点)。
📰 出典:No.1476 特定口座制度(国税庁)
たとえば特定口座で10万円の利益が出た場合、税引き後の手取りはおよそ8万円程度になる計算です(あくまで一例で、実際の税額は個々の状況により異なります)。NISA内であればこの税金がかからないため、「まずNISA、埋まったら特定口座」という優先順位が合理的とされる理由の一つです。
特定口座ならではのメリットもある
税金がかかる一方で、特定口座にはNISAにはない仕組みもあります。
- 損益通算…同じ特定口座(源泉徴収あり)内で、ある銘柄の利益と別の銘柄の損失を相殺できます。
- 繰越控除…年間トータルで損失が出た場合、確定申告をすることで、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の利益と相殺できます(国税庁「No.1476 特定口座制度」参照)。
NISA口座では、そもそも非課税なので損益通算・繰越控除の対象にはなりません(NISA内で損失が出ても、他の口座の利益と相殺することはできない点は注意が必要です)。この違いを知っておくと、「NISAと特定口座、どちらで何を持つか」を考えるヒントになります。
NISA埋まった後の投資、実践する際の考え方4つ
1. 無理に埋めよう・増やそうとしない
非課税枠が埋まったからといって、慌てて特定口座で大きな金額を投資する必要はありません。生活防衛資金や近い将来使う予定のあるお金まで投資に回すのは避け、あくまで余剰資金の範囲で続けることが大切です。
2. NISA分と特定口座分を分けて管理する
NISAと特定口座で同じような商品を持つ場合、税金の扱いが異なるため、証券会社のマイページなどで「どの枠にいくら入っているか」を定期的に確認する習慣をつけると、後から売却する際の判断がしやすくなります。
たとえば、つみたて投資枠と成長投資枠あわせて非課税枠がすべて埋まっている状態で、毎月の積立をそのまま特定口座で継続する場合を考えてみます(あくまで一例で、将来の運用成果を保証するものではありません)。同じ金額・同じ商品を積み立て続けても、NISA分は非課税、特定口座分は利益に約20.315%の課税がある、という違いが生じます。この差を理解したうえで、「特定口座分は将来売却するときに税金がかかる」ことをあらかじめ意識しておくと、いざ売却するときに慌てずに済みます。
3. 特定口座だからといって商品選びの基準を変えすぎない
特定口座になったからといって、短期売買やハイリスクな商品に手を出す理由にはなりません。長期・分散・積立という基本の考え方は、NISAでも特定口座でも変わらないという点を意識しておくとよいでしょう。
4. 取り崩す順番も考えておく
もし将来資産を取り崩す場面が来たら、どちらから売却するかも一つの論点です。一般的には「非課税のNISA分は温存し、課税される特定口座分から先に取り崩す」という考え方が紹介されることがありますが、税制や本人の状況(他の所得の有無など)によって最適な順番は変わります。個別の判断が必要な場合は、税理士や証券会社に相談するとよいでしょう。
忘れてはいけないリスクと注意点
- 投資は元本が保証されているものではありません。NISAでも特定口座でも、価格の変動により投資した金額を下回る(元本割れする)可能性があります。
- 「NISAの外で投資すれば必ず得をする」わけではなく、あくまで税金の扱いが違うだけです。運用成績そのものが良くなるわけではありません。
- 税制・手数料・NISA制度の細かいルールは変わることがあります。本記事は2026年7月時点の一般的な情報であり、確定申告や個別の税務判断が必要な場合は、税務署または税理士にご確認ください。
- 特定の金融商品・銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。
よくある疑問 Q&A
Q1. NISAの生涯投資枠が埋まったら、もうNISA口座は使えないのですか?
保有している商品を売却すれば、その分の枠は翌年以降に復活する仕組みです。「もう使えなくなる」わけではありませんが、新規に非課税で投資できる余地がなくなっている状態、というイメージです。
Q2. 特定口座で「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」、初心者はどちらを選ぶべきですか?
一般的には、確定申告の手間を減らしたい初心者は「源泉徴収あり」を選ぶケースが多いとされています。ただし年間の利益額や他の所得状況によって有利・不利は変わるため、迷う場合は証券会社の説明や税理士に確認するとよいでしょう。
Q3. 特定口座で投資するくらいなら、無理にNISA枠を埋めない方がいいですか?
どちらが良いかは人によって異なります。生活防衛資金を確保したうえで、無理のない金額で長く続けることの方が、枠を急いで埋めることよりも大切だという考え方が一般的です。
Q4. NISAの成長投資枠だけ埋まって、つみたて投資枠が余っている場合はどうすればいいですか?
つみたて投資枠は対象商品が長期・積立・分散投資に適した投資信託などに限られていますが、成長投資枠が埋まっていても、つみたて投資枠に空きがあればそちらでの積立は継続できます。つみたて投資枠と成長投資枠は別枠として管理されているため、どちらか一方が埋まっても、もう一方の枠が残っていれば非課税での投資を続けられる点は覚えておくとよいでしょう。
Q5. 特定口座での積立も、NISAのようにほったらかしでいいですか?
基本的な考え方(長期・分散・積立を続ける)はNISAと変わりません。ただし、税金がかかる分だけ将来の受け取り額の見通しは変わるため、年に一度程度は保有状況や含み損益を確認し、必要に応じて証券会社の取引報告書やアプリで損益を把握しておくと安心です。
まとめ 埋まったら終わりではなく「次の置き場所」を考えればいい
NISAの非課税枠を使い切ることは、投資の終わりではなく、資産形成の一つの通過点です。焦って埋めようとしたり、逆に「非課税じゃないなら意味がない」とやめてしまったりせず、iDeCoの活用余地を確認したうえで、特定口座という選択肢を無理のない範囲で活用する、という視点を持っておくと安心です。
大切なのは、置き場所がどこであっても「長期・分散・積立」という基本のスタンスを崩さないこと。この記事が、非課税枠を使い切った後の投資の続け方を考えるきっかけになれば幸いです。

