JPモルガン・ゴールドマン最高益のニュースから学ぶ 市場の「不安」が銀行の稼ぎになる理由

株・投資

「銀行が過去最高益って、景気がいいってこと?じゃあ株を買うタイミングかな」

「でも同じ日に中東情勢が緊迫してるってニュースも見たけど、それって関係あるの?」

結論から言うと、2026年7月14日に発表された米JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスの決算は、どちらも過去最高水準の利益となりました。ただしその原動力は「景気の強さ」だけではなく、中東情勢の緊迫化などによる市場のボラティリティ(値動きの荒さ)そのものだったと報じられています。

この記事では、「好決算=株が上がる」と単純に結びつけがちな私たちの思考のクセを見つめ直しながら、市場が荒れているときに個人投資家がどう向き合うべきかを考えていきます。あくまで筆者の私見を交えた考察記事であり、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。

何が起きたのか ニュースの要点整理

JPモルガン・チェース 過去最高の四半期利益

2026年7月14日、JPモルガン・チェースが発表した2026年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比41%増となり、四半期として過去最高の利益水準となりました。押し上げ役となったのは株式トレーディング部門で、収益は前年同期比で9割増と大きく伸びたと報じられています。

📰 出典:日本経済新聞「米JPモルガン、4〜6月期4割増益 株式取引での収益が大幅増」

同社の株式トレーディング部門の収入は約60億ドルとされ、想定を大きく上回る成績だったとBloombergは伝えています。

📰 出典:Bloomberg「JPMorgan Earnings: Record Profit on $6 Billion Stock-Trading Haul」

ゴールドマン・サックス 創業以来最高の四半期に

同じく7月14日に決算を発表したゴールドマン・サックスも、純利益が前年同期比78%増となり、四半期としては同社史上最高水準の業績になったと報じられています。特に株式トレーディング部門の収入は前年同期比72%増と過去最高を記録しました。

📰 出典:Yahoo!ニュース(ロイター)「米ゴールドマン、第2四半期利益が予想上回る 株式取引収入が過去最高」

ゴールドマン・サックス自身のプレスリリースでも、1株当たり利益が20.98ドルとなり、前年同期の10.91ドルからほぼ倍増したことが公表されています。

📰 出典:Goldman Sachs「Goldman Sachs Reports 2026 Second Quarter Earnings」

好調の背景は「市場の混乱」

注目したいのは、この記録的な収益の背景です。Bloombergは大手行の決算をまとめ、「ウォール街の株取引収入が過去最高、熱狂と不安が売買を呼ぶ」という見出しで報じています。つまり、中東情勢の緊迫化や金利観測の乱高下といった不安材料が市場のボラティリティを高め、投資家の売買が活発化したことが、トレーディング部門の収益を押し上げたという分析です。

📰 出典:Bloomberg「ウォール街の株取引収入が過去最高、熱狂と不安が売買呼ぶ-大手行決算」

つまり今回の「最高益」は、景気拡大への確信から生まれたというより、市場参加者の不安や思惑が激しく売買を生んだ結果という側面が大きいのです。

筆者の私見 「不安が生む収益」の構造をどう見るか

ここからは筆者の私見です。今回のニュースを見て感じたのは、「個人投資家が不安に感じる値動きの荒さ」と「金融機関の収益源」が、実は表裏一体の関係にあるということです。

株価が乱高下すると、私たちは「怖い」「様子を見よう」と感じます。しかし証券会社や大手銀行のトレーディング部門にとっては、値動きが大きいほど売買の機会が増え、手数料やトレーディング収益が積み上がりやすくなります。今回の決算は、まさにその構造をわかりやすく映し出した事例だと筆者は考えています。

もちろん、これは「銀行がずるい」という話ではありません。市場に流動性を供給する金融機関の役割として自然なことです。ただ、個人投資家として意識しておきたいのは、「プロが儲かっている値動き」と「個人が同じやり方で儲けられる値動き」は、必ずしも同じではないという点です。この違いを理解しないまま値動きの荒さに反応してしまうと、判断を誤りやすくなると筆者は感じています。

さらに言えば、今回の決算報道で興味深いのは「熱狂と不安が売買を呼ぶ」というBloombergの表現です。相場が強気(熱狂)でも弱気(不安)でも、方向感さえあれば売買は活発になり、トレーディング収益は積み上がります。つまり金融機関にとっては、相場の「上がる・下がる」よりも「動くこと」自体が収益の源泉になりやすいということです。この構造を知っておくだけでも、値動きの激しいニュースに対する受け止め方は変わってくるのではないかと筆者は考えています。

具体例で考える 値動きに反応する人としない人の違い

たとえば、毎月3万円を投資信託の積立に回している人を想定してみます。相場が荒れて基準価額が一時的に15%下落した局面で、慌てて積立を停止したり売却したりした場合と、何もせず淡々と積立を継続した場合とでは、その後相場が回復した際の受け取り方が変わってきます。慌てて手放した場合は下落分の含み損を確定させてしまう一方、継続した場合は下落局面でも口数を多く購入できていることになります。これはあくまで一般的な考え方を示す一例であり、必ず利益が出ることを保証するものではありませんが、「値動きに反応しすぎない」ことの意味を考えるヒントになると筆者は感じています。

このニュースから資産形成に活かせる学び

学び1 ボラティリティは「収益源」であって「危険信号」だけではない

市場のボラティリティが高まると、ニュースでは不安をあおる見出しが目立ちやすくなります。しかし今回のように、値動きの荒さそのものが誰かの収益になっているという事実を知っておくと、値動きに過剰反応しにくくなります。「荒れている=すぐに逃げるべき」ではなく、「荒れている局面は誰にでも起こりうるもの」と捉える視点が大切です。

学び2 好決算のニュースに飛びつかない

「銀行が過去最高益」という見出しは印象的で、つい「銀行株や関連する金融株を買いたい」と思ってしまうかもしれません。しかし、好決算の情報はすでに株価に織り込まれている場合が多く、ニュースを見てから慌てて買っても、期待したような値上がりが得られるとは限りません。一般的に、好材料が出た直後の値動きを追いかける投資は、高値づかみのリスクが高いとされています。

学び3 プロと同じ土俵で戦おうとしない

トレーディング部門は、専門知識・システム・情報網を駆使して短期の値動きから収益を得るプロ集団です。個人投資家が同じ土俵で短期売買を繰り返そうとすると、情報量やスピードの差から不利になりやすいと一般的に言われています。個人投資家にとって現実的なのは、長期・分散・積立という、時間を味方につける方法だと筆者は考えます。

学び4 「なぜ相場が動いたか」を確認する習慣をつける

今回のケースのように、値動きの背景には中東情勢や金利観測など複数の要因が絡み合っていることが少なくありません。値上がり・値下がりという結果だけを見て一喜一憂するのではなく、「何が要因とされているのか」を確認する習慣をつけておくと、次に同じような値動きが起きたときにも冷静に受け止めやすくなります。もっとも、要因が分かったからといって次の値動きを正確に予測できるわけではない点には注意が必要です。

具体的なアクション・心構え

  • 値動きの荒いニュースを見たら、まず「事実」と「自分の感情」を分けて整理する。何が起きたのか、なぜ株価が動いたのかを冷静に確認する習慣をつけましょう。
  • 好決算のニュースで飛びつき買いをしない。すでに株価に織り込まれていないか、自分の資産配分の中でその銘柄・業種に偏りが出ないかを確認してから判断しましょう。
  • 積立投資はニュースの内容にかかわらず淡々と継続する。ドルコスト平均法による積立は、相場の上下に一喜一憂せず続けること自体に意味があります。
  • 自分の投資の目的(老後資金、教育資金など)を定期的に見直す。短期的な値動きのニュースよりも、自分自身の目的とリスク許容度に立ち返ることが、長期の資産形成では重要です。
  • NISAなど非課税制度を使っている場合も、慌てて売却しない。非課税の恩恵は長く保有し続けることでより活きてきます。相場が荒れたからといって非課税枠での積立を途中でやめてしまうと、本来の制度のメリットを十分に活かせない可能性があります。制度の詳細は執筆時点の情報であり、最新の内容は金融庁や利用している金融機関の公式サイトでご確認ください。

注意点・やってはいけない行動

  • 「銀行が儲かっているから金融株は買いだ」と即断することは避けましょう。個別銘柄の株価は決算内容以外にも多くの要因で動くため、一般論として「注目材料になりうる」程度にとどめ、売買の最終判断はご自身で行ってください。
  • 値動きの荒さを見て、短期売買(デイトレードなど)に手を出すこともおすすめしません。プロのトレーディング部門と同じ土俵で戦おうとすると、想定以上の損失につながる可能性があります。
  • 地政学リスクのニュースに過剰反応して、狼狽売りをすることも避けたい行動です。中東情勢のような地政学リスクは先行きが読みにくく、感情的な売買はかえって資産形成の妨げになりがちです。
  • 「必ず上がる」「今のうちに買わないと乗り遅れる」といった煽り文句を信じることもNGです。相場の先行きは誰にも断定できません。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。株式投資には価格変動による元本割れのリスクが伴います。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で、余剰資金の範囲内で行っていただきますようお願いいたします。

まとめ 市場の混乱期こそ、いつも通りの行動を

JPモルガンやゴールドマン・サックスの過去最高益は、裏を返せば市場がそれだけ不安定であったことの表れでもあります。派手な決算ニュースの見出しに一喜一憂するのではなく、「値動きの荒さは誰かの収益源になっている」という構造を知ったうえで、自分自身は長期・分散・積立という基本に立ち返ることが、落ち着いた資産形成につながります。焦らず、いつも通りの行動を続けていきましょう。

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