株価に関するニュースや企業情報で、「PBR1倍割れ」という言葉を見かけることがあります。PBRは株価の水準を見るための指標のひとつですが、数字の意味を知らないと誤解しやすい面もあります。この記事では、PBRの基本と、初心者が気をつけたい3つの注意点を解説します。
本記事は情報提供を目的とし、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資は元本割れのリスクがあります。自己責任で、余剰資金の範囲で行いましょう。
PBR(株価純資産倍率)とは
PBRは、株価が1株当たり純資産(BPS)の何倍かを示す指標です。
PBR(倍)= 株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)
1株当たり純資産は、会社の純資産を発行済み株式数で割ったものです。仮の数字で考えてみましょう。
- 株価が1,000円、BPSが1,000円 → PBR 1.0倍
- 株価が800円、BPSが1,000円 → PBR 0.8倍(1倍割れ)
- 株価が1,500円、BPSが1,000円 → PBR 1.5倍
一般に、PBRが1倍を下回ると「会社の純資産より株価が低く評価されている」と説明されることがあります。

「PBRが1倍を割っていたら、割安で買い時ということですか?」

「そう決めつけるのは危険です。理由を3つの注意点で見ていきましょう。」
注意点1:「1倍割れ=割安」とは限らない
PBRが低い背景には、さまざまな理由があります。たとえば、収益力が低い、将来の成長が見込みにくい、資産の価値が帳簿どおりに回収できないと市場が見ている、などです。
東京証券取引所は、PBR1倍割れなどの企業に対して、資本コストや株価を意識した経営を求める取り組みを行っています。
📰 出典:日本取引所グループ(JPX)
こうした動きがあっても、株価が上がるとは限りません。PBRが低いことは、あくまで「いまの株価と純資産の関係」を示すだけです。
注意点2:業種によって「普通のPBR」が違う
PBRの水準は業種で大きく異なります。工場や設備など資産が多い業種は、PBRが低めになりやすい傾向があります。一方、人材や技術、ブランドが価値の中心となる業種は、PBRが高めになりやすい傾向があります。
異なる業種のPBRをそのまま比べても、意味のある比較にならないことがあります。比べるときは、同じ業種の企業や、その会社自身の過去の水準と見比べるのが基本です。
注意点3:PBRだけで判断しない
PBRは、純資産という「ある時点の資産の量」に注目した指標です。会社がどれだけ利益を生み出しているかは、PBRだけでは分かりません。PER(株価収益率)やROE(自己資本利益率)、配当、財務の安定度なども合わせて確認することが大切です。
また、純資産の中身(現預金か、含み益のある資産か、回収しにくい資産か)によって、数字の意味合いは変わります。
確認3ステップ
- PBRとBPSを確認する:証券会社の企業情報ページなどで、最新の数字と更新日を見る
- 同業種や過去と比べる:同じ業種の企業、その会社の過去数年のPBRと見比べる
- 他の指標も見る:PER、ROE、配当、自己資本比率などと合わせて総合的に考える
指標の数字は更新のタイミングで変わります。最新の情報は、各社の決算資料や証券会社の公式サイトでご確認ください。
やってはいけないNG行動
- 「PBR1倍割れ」という言葉だけで、買い時だと決めつける
- 業種の違う企業のPBRを並べて「こちらが得」と判断する
- 「PBRが低いからいつか上がるはず」と期待して、生活資金を投じる
- SNSで「PBR1倍割れ銘柄」と煽られた情報を、確認せずに信じる
まとめ
PBRは、株価が会社の純資産の何倍で評価されているかを示す指標です。1倍割れは注目される目安のひとつですが、割安の証明でも、値上がりの保証でもありません。ひとつの数字に頼らず、複数の指標を組み合わせ、長期・分散の視点で落ち着いて判断しましょう。

