
「決算で利益は黒字なのに、お金が増えていない会社があるって聞いたよ。どういうこと?」

「利益と現金は別のものだからです。会社が自由に使えるお金を見るときに使うのが、フリーキャッシュフローです」
決算書を見ていると「フリーキャッシュフロー(FCF)」という言葉に出会うことがあります。利益(もうけ)とは別に、会社に残る「現金」の動きを見る指標です。
この記事では、FCFの意味と計算の考え方、見るときの3つの注意点、初心者向けの確認ステップをまとめます。
なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。株式投資は値下がりして元本割れする可能性があります。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。
フリーキャッシュフロー(FCF)とは
FCFは、ざっくりいうと「本業で稼いだ現金から、事業を続けるために必要な投資に使った現金を引いた残り」です。
一般的には、キャッシュフロー計算書の数字を使って次のように考えます。
- 営業キャッシュフロー:本業で増減した現金
- 投資キャッシュフロー:設備や有価証券などへの投資で増減した現金
- FCF = 営業キャッシュフロー + 投資キャッシュフロー(投資で現金が出ていくときはマイナスの数字になります)
ただし、FCFの計算方法は会社や情報サービスによって少しずつ異なります。「設備投資だけを引く」などの定義もあるため、見る前にどの定義かを確認することが大切です。
仮の数字で考えてみる
以下は説明のための仮の数字で、実在の会社とは関係ありません。
- A社:営業キャッシュフロー+100億円、投資キャッシュフロー−40億円 → FCF+60億円
- B社:営業キャッシュフロー+100億円、投資キャッシュフロー−130億円 → FCF−30億円
A社は自由に使える現金が残り、B社は投資で現金が出ていってマイナスです。ただし、B社が工場などに積極投資している最中なら、マイナスが悪いこととは限りません。
📰 出典:EDINET(金融庁)
上場企業の決算書(有価証券報告書や決算短信)には、キャッシュフロー計算書が載っています。公式の開示資料で数字を確認できます。
初心者が気をつけたい3つの注意点
1. FCFがマイナス=悪い会社、とは限らない
成長のために大きな投資をしている時期は、FCFがマイナスになりやすくなります。投資の中身(何のために、どれくらい)を決算説明資料などで確認しましょう。
2. FCFがプラス=安心、とも限らない
投資を抑えたことでプラスになっている場合もあります。将来の成長に必要な投資を控えているだけかもしれません。また、一時的な要因(売掛金の回収が集中した、など)でプラスになることもあります。
3. 1年だけで判断しない
FCFは年によって大きく上下します。できれば数年分の推移を見て、利益と現金の動きがおおむね連動しているかを確認します。
初心者向けの確認3ステップ
- キャッシュフロー計算書で営業・投資のキャッシュフローを確認する
- 数年分並べて、FCFが継続的にプラスか、マイナスの理由は何かを見る
- 利益(純利益)と営業キャッシュフローが大きくかけ離れていないかを確認する
これらは、あくまで会社を知るための材料の一つです。FCFだけで「買い」「売り」を決められるものではありません。
NG行動
- FCFがプラスだから、という理由だけで株を買う
- FCFがマイナスだから、という理由だけで悪い会社と決めつける
- 1年分の数字だけで長期の判断をする
- 生活費に必要なお金や借入で投資する
まとめ
FCFは、利益だけでは見えない「会社の現金の動き」を知る手がかりになります。ただし、プラスかマイナスかだけで判断せず、投資の中身や数年の推移とあわせて見ることが大切です。株式投資は元本割れの可能性があるため、長期・分散・積立を基本に、余剰資金の範囲で続けましょう。制度や数値は変わることがあるため、最新の情報は公式の開示資料で確認してください。
