インデックスファンドの信託報酬はなぜ下がり続ける? 「最安値」だけで選ばない積立の考え方

株式投資

「NISAで積立するファンドを探してたら、信託報酬がどんどん下がってるみたいなんだけど、これって本当にお得なことなの?」

「業界最低水準を目指すとか書いてあるファンドもあるし、正直どれを選べばいいのか分からなくなってきた…」

結論から言うと、S&P500や全世界株式(オルカン)に連動するインデックスファンドを中心に、運用会社間の信託報酬(保有中にかかるコスト)引き下げ競争は2026年も続いており、業界最低水準の維持を掲げる商品も珍しくありません。投資家にとって運用コストが下がること自体は歓迎できる動きですが、「今の最安値」だけを基準にファンドを選び続けることには注意も必要です。この記事では、信託報酬が下がり続ける仕組みと、積立するファンドを選ぶ・見直すときに意識したいポイントを初心者向けに整理します。

※本記事は2026年9月時点で確認できる情報をもとに執筆しています。信託報酬・運用コストはファンドごとに随時見直されるため、実際に投資する際は各運用会社・証券会社の公式情報(目論見書・運用報告書)で最新の数値を必ずご確認ください。

信託報酬とは:保有している間ずっとかかるコスト

信託報酬は、投資信託を保有している間、運用・管理の対価として信託財産(投資家が預けているお金)から日々差し引かれるコストです。購入時にかかる手数料とは異なり、保有し続ける限り継続的に発生するため、長期の積立投資では最終的な受取額に無視できない影響を与えます。

一般に、信託報酬が年0.1%と年1.0%のファンドでは、同じ運用成績(値上がり率)であっても、長期間保有した場合の手取りの増え方に差が出ます。これが「信託報酬は低いほうが有利」とされる基本的な理由です。

なぜ引き下げ競争が続くのか:新NISAをきっかけにした構造

2024年の新NISA制度開始以降、つみたて投資枠を中心に個人の資金が特定の低コストインデックスファンドへ集中する流れが強まりました。資金(純資産総額)が大きく増えたファンドほど運用の効率が上がりやすく、その効率化分を信託報酬の引き下げという形で還元しやすくなります。

さらに、一部のファンドは「業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続ける」という方針を掲げており、競合他社が信託報酬を引き下げると、それに追随してさらに引き下げる動きが繰り返されてきました。2026年も、投資対象である海外ETFの経費率引き下げに連動して国内の関連ファンドの実質的なコスト負担が下がるなど、こうした競争は続いています。

「最安値」だけで選ぶことの注意点

ここからは、コストを見るうえで初心者の方に押さえておいていただきたいポイントです。

1. 信託報酬だけでなく「実質コスト(隠れコスト)」も確認する

目論見書に記載される信託報酬(表面上の年率)のほかに、売買委託手数料や監査費用などを含めた「実質コスト」は、運用報告書を見ないと分かりません。信託報酬の数字だけを比較して選ぶと、実質コストの高いファンドを選んでしまう可能性があります。

2. 連動する指数・投資対象が同じかを確認する

「全世界株式」を対象とするファンドでも、日本を含むか除くか、対象指数の銘柄数や算出方法が異なる場合があります。信託報酬の数字だけを比較する前に、まず自分が投資したい対象(指数)と一致しているかを確認することが前提になります。

3. 乗り換え(スイッチング)には税金・手間のコストもかかる

「もっと信託報酬の低いファンドが出た」というニュースを見るたびに保有ファンドを売って買い直すと、特定口座では譲渡益に課税され、NISA口座では非課税枠を再利用しにくいという制度上の制約もあります(枠の再利用ルールは制度により異なるため公式情報をご確認ください)。信託報酬の差が年0.01〜0.05%程度であれば、乗り換えコストの方が上回ってしまうケースもあります。

4. 純資産総額の推移・繰上償還のリスクにも目を向ける

信託報酬の低さだけでなく、そのファンドの純資産総額が右肩上がりで増えているかどうかも重要な確認ポイントです。資金流出が続き純資産総額が小さくなりすぎると、運用が終了する「繰上償還」のリスクが高まる場合があります。

注意点・NG行動:やってはいけない選び方

  • 「信託報酬が業界最安値だから」という理由だけで、投資対象(指数)を確認せずにファンドを選ぶこと
  • 信託報酬の引き下げニュースが出るたびに、税金や手間を考慮せず保有ファンドを頻繁に乗り換えること
  • 「コストが低い=必ず値上がりする」と誤解すること(信託報酬の低さはコスト効率の話であり、値上がりを保証するものではありません)

なお、本記事は特定の投資信託・銘柄の購入を推奨するものではありません。投資信託には基準価額の変動により元本割れする可能性があります。

まとめ:コストは「確認し続ける」ことに意味がある

インデックスファンドの信託報酬引き下げ競争は、長期で積立を続ける投資家にとって基本的には歓迎すべき流れです。ただし、「今の最安値」という数字だけに反応して頻繁にファンドを乗り換えるのではなく、実質コスト・投資対象・純資産総額の推移まで含めて確認したうえで、いったん決めた積立を長く続けることが、結果的にコストと手間の両面で有利に働くケースが多くあります。

制度・商品のコストは今後も変わり得るため、年に一度など決まったタイミングで保有ファンドの目論見書・運用報告書を確認する習慣を持つとよいでしょう。投資は元本割れの可能性がある行為です。最終的な投資判断は、ご自身の状況とリスク許容度を踏まえたうえで、自己責任で行うようにしてください。

タイトルとURLをコピーしました