
「つみたてNISAを始めようとしたら、『バランス型』と『株式100%型』があって、どっちを選べばいいか分からない…」

「『バランス型は安全』って聞いたことがあるけど、実際どう違うのか、よく分かっていないんだよね」
結論から言うと、両者の違いは「株式だけに投資するか、株式と債券などを組み合わせて投資するか」という中身の違いです。一般的に、株式100%型は値動きが大きくなりやすく、バランス型は値動きが穏やかになりやすい傾向がありますが、どちらも投資信託である以上、元本割れの可能性がある点は共通しています。どちらが「正解」というものではなく、ご自身のリスク許容度(値下がりにどこまで耐えられるか)や投資できる期間に合わせて選ぶことが大切です。この記事では、初心者の方向けに両者の違いと選び方の考え方を整理します。
なお、本記事は制度や商品の一般的な仕組みを解説する情報提供が目的であり、特定の投資信託・商品の購入を推奨するものではありません。制度・商品の対象範囲は変わることがあるため、必ず金融庁や取扱いの証券会社・銀行など公式情報で最新の内容をご確認ください。
そもそも「バランス型」と「株式100%型」は何が違うのか
つみたて投資枠などで積立できる投資信託は、大きく分けると「株式だけに投資するタイプ」と「株式・債券・REIT(不動産投資信託)などを組み合わせて投資するタイプ」に分かれます。
株式100%型:値動きが大きくなりやすい
国内外の株式(または株価指数)に投資対象を絞ったタイプです。企業の成長や株価上昇の恩恵を受けやすい一方、相場が下落する局面では基準価額も大きく下がりやすいという特徴があります。長期的に見れば経済成長とともに資産が育つことを期待する考え方ですが、短期的には大きく上下する値動きに耐える必要があります。
バランス型:複数の資産を組み合わせて値動きを抑えやすくする
株式に加えて、国内外の債券やREITなどを一定の比率で組み合わせて運用するタイプです。一般的に、値動きの異なる資産を組み合わせることで、株式100%型に比べて基準価額の上下幅が穏やかになりやすいとされています。ただし、これは「値動きが小さくなりやすい」というだけであり、「元本が保証される」という意味ではありません。債券や複合資産型のファンドであっても、市場の状況によっては基準価額が下がり、投資した金額を下回る可能性があります。
2026年4月の制度改正でバランス型・債券中心型の選択肢が広がりました
つみたて投資枠の対象商品には、金融庁が定める一定の要件があります。
📰 出典:金融庁「非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に関する基準」の一部改正について
この基準の改正により、2026年4月1日から、指定された株価指数に連動しない投資信託(いわゆるアクティブファンドなど)についての主たる投資対象の要件が、「主に株式に投資するもの」から「主に株式又は公社債に投資するもの」に広げられました。
これにより、債券の組み入れ比率が高いバランス型のファンドや、株式指数と組み合わせる要件が緩和されたファンドも、つみたて投資枠の対象として選びやすくなったとされています。背景には、リスク許容度がそれほど高くない若年層や高齢層などが、投資の第一歩を踏み出しやすいよう選択肢を充実させる狙いがあるとされています。ただし、対象となる具体的な商品や本数は運用会社・証券会社によって異なりますので、実際にどの商品が対象になっているかは、口座を開設する金融機関や金融庁のNISA特設ウェブサイトで確認することをおすすめします。
📰 出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト
バランス型にもいろいろなタイプがある
ひとくちに「バランス型」と言っても、資産配分の考え方によっていくつかのタイプに分かれます。商品を選ぶ際は、名前だけでなく中身の配分を確認することが大切です。
- 株式重視型:株式の比率を高めに設定し、値動きの大きさをある程度受け入れながら、債券などでリスクをやや抑えるタイプです。
- 均等配分型:株式・債券・REITなどを均等に近い比率で組み合わせ、特定の資産に偏らないようにするタイプです。
- 安定重視型:債券の比率を高めに設定し、値動きをより穏やかにすることを重視したタイプです。
- 年齢に応じて配分が変わるタイプ:加齢とともに自動的に株式の比率を下げ、債券の比率を高めていく「ターゲットイヤー型」と呼ばれる商品もあります。
同じ「バランス型」という名前でも、株式の比率が高いものと低いものとでは値動きの大きさがまったく異なります。購入前には、目論見書や運用会社の商品説明ページで資産配分の内訳を必ず確認しましょう。
値動きのイメージをつかむ:あくまで一般的な傾向として
具体的な数値は商品や運用期間によって大きく異なりますが、一般的な傾向として、株式100%型は好調な相場では大きく資産が増える可能性がある一方、下落相場では基準価額が数十%単位で下がることもあるとされています。これに対し、株式と債券を組み合わせたバランス型は、上昇相場での伸びも下落相場での落ち込みも、株式100%型に比べて小さくなりやすい傾向があるといわれています。
たとえば「毎月3万円を長期にわたって積み立てる」というシミュレーションを行う場合でも、株式100%型とバランス型では、積立期間中に経験する値動きの振れ幅(変動の大きさ)が異なることをイメージしておくと、実際に始めてからのギャップが少なくなります。なお、これはあくまで一般的な傾向の説明であり、将来の運用成果や特定の利回りを保証するものではありません。運用実績は市場環境によって大きく変わり、過去の傾向が将来も続くとは限らない点にご注意ください。
こんな人はどちらが向いている?チェックリスト
株式100%型が候補になりやすい人
- 投資できる期間が長く(目安として10年以上)、当面使う予定のない資金で投資できる
- 基準価額が大きく下がっても、慌てて売らずに積立を継続できる自信がある
- 多少値動きが大きくても、長期的な成長を優先したい
バランス型が候補になりやすい人
- 値動きが大きいと不安で、頻繁に基準価額をチェックしてしまいがちだと感じる
- 数年〜10年程度など、比較的近い将来に使う可能性がある資金も含めて運用したい
- 「まずは投資に慣れる」ことを優先し、値動きの小さい商品から始めたい
いずれの場合も、これは一般的な傾向に基づく一つの目安に過ぎません。最終的にどちらを選ぶか、あるいは組み合わせるかは、ご自身の資産状況やライフプランを踏まえてご自身で判断していただく必要があります。
よくある疑問Q&A
Q. バランス型から株式100%型に、あとから変更できますか? A. 一般的には、保有している商品を売却して別の商品に買い直したり、積立設定自体を別の商品に変更したりすることで対応できる場合が多いです。ただし、具体的な手続き方法や、非課税枠の再利用に関する扱いは金融機関や制度の仕組みによって異なりますので、事前に口座を開設している証券会社・銀行に確認することをおすすめします。
Q. バランス型を選べば「ほったらかし」で大丈夫ですか? A. バランス型は資産配分をあらかじめ組み合わせている分、個別に配分を管理する手間は少なくなりますが、「何もリスクがない」わけではありません。定期的に運用状況やご自身のライフプランの変化を確認し、必要に応じて見直す姿勢は引き続き大切です。
Q. 信託報酬が高いバランス型は避けるべきですか? A. 一概には言えません。信託報酬は運用コストの一部にすぎず、資産配分の内容や商品の特性とあわせて総合的に確認することが大切です。同じような資産配分であれば、信託報酬が低いほうがコスト面では有利になりやすい、という一般的な考え方は参考になります。
どちらを選ぶか、考え方の5つのポイント
1. リスク許容度で考える
年齢や資産状況、性格によって「どこまでの値下がりに耐えられるか」は人それぞれです。一般的に、投資期間を長く取れる方や、値下がりを見ても慌てず積立を継続できる方は株式100%型を選びやすく、値動きにあまり時間を割けない方や、下落時の不安が大きい方はバランス型を選ぶという考え方が一般的です。
2. 投資の目的・期間で考える
老後資金づくりなど数十年単位の長期運用を想定している場合、期間が長いほど値下がり局面から回復する時間を確保しやすいとされています。一方で、数年後に使う予定がある資金など、投資期間が短い場合は、値動きの大きい株式100%型よりも値動きを抑えやすいバランス型のほうが向いているという考え方もあります。
3. コスト(信託報酬)の違いを確認する
一般的に、複数の資産を組み合わせて運用するバランス型は、株式のインデックス型に比べて信託報酬(保有中にかかるコスト)がやや高めに設定されている商品もあります。長期の積立ではわずかな信託報酬の差も運用結果に影響しうるため、目論見書や運用会社のウェブサイトで信託報酬・実質コストを確認する習慣をつけましょう。
4. 「値動きが穏やか」を「損をしない」と誤解しない
バランス型は値動きが穏やかになりやすい傾向があるとされていますが、これは元本が保証されているという意味ではありません。市場全体が大きく下落する局面では、バランス型であっても基準価額が下がり、投資した金額を下回る可能性があります。「バランス型だから安心」と過信せず、リスクを理解したうえで選ぶことが大切です。
5. 一つに絞らず組み合わせる選択肢もある
必ずしもどちらか一方に決めなければならないわけではありません。株式100%型とバランス型を組み合わせて積み立てたり、年齢やライフステージの変化に合わせて比率を見直したりすることも、考え方の一つとして知られています。何を選ぶにしても、最終的な判断はご自身の状況に照らしてご自身の責任で行う必要があります。
選ぶ際にありがちなNG行動・注意点
- 中身を確認せず「バランス型」という名前だけで選ぶ:同じ「バランス型」でも、株式・債券・REITの比率は商品によって大きく異なります。目論見書で資産配分を確認せずに選ぶと、想定していたよりも値動きが大きかった、というギャップが生じることがあります。
- 短期の値動きだけを見て頻繁に商品を乗り換える:値下がりした直後に「株式100%型は失敗だった」と乗り換えたり、逆に値上がりを見て慌てて変更したりすると、かえって狼狽売り・高値づかみにつながりやすくなります。
- 元本保証だと思い込む:株式100%型・バランス型のいずれも、投資信託である以上は元本割れのリスクがあります。「絶対に減らない」という考え方は誤りです。
- 手数料や税制を古い情報のまま判断する:信託報酬や制度の対象要件は変更されることがあります。本記事の内容は執筆時点(2026年9月)の情報であり、実際に商品を選ぶ際は必ず金融機関・金融庁の最新情報をご確認ください。
まとめ 自分のリスク許容度に合わせて、無理なく続けられる方を選ぼう
株式100%型とバランス型は、どちらが優れているというものではなく、値動きの大きさとリスクの取り方が異なる選択肢です。長期・分散・積立を基本としながら、ご自身がどこまでの値動きに耐えられるか、投資できる期間はどのくらいかを踏まえて選ぶことが、無理なく投資を続けるための第一歩になります。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資信託・金融商品の購入や特定の配分比率を推奨するものではありません。投資信託は元本が保証された商品ではなく、市場の状況によって基準価額が下落し、投資した金額を下回る可能性があります。制度・税制・商品の対象範囲は変更されることがあるため、実際に商品を選ぶ際は必ず金融庁や取扱金融機関の最新の公式情報をご確認ください。最終的な投資判断は、ご自身の状況とリスク許容度を踏まえ、自己責任で行っていただきますようお願いいたします。

