
「株を始めようと思ったら、ネット証券の手数料がほとんど無料になったって聞いたけど本当?」

「無料なら、正直どこで口座を作っても同じなのかなって思っちゃう…」
結論から言うと、主要ネット証券の国内株式売買手数料は無料化が進んでいます。ただし「無料=コストがゼロ」ではありません。単元未満株のスプレッド、投資信託を保有している間ずっとかかる信託報酬、外国株の為替手数料など、見えにくいコストは今も残っています。この記事では、なぜ手数料が0円になったのかという背景と、初心者が見落としがちな「隠れたコスト」、そして手数料以外に証券口座選びで見るべきポイントを整理します。 ※ 制度・サービス内容は変わることがあるため、本記事は執筆時点(2026年9月)の情報です。最新は各証券会社・金融庁の公式サイトでご確認ください。
そもそもなぜ株式売買手数料は「無料」になったのか
結論、国内の主要ネット証券では2023年後半から、国内株式(現物・信用)の売買手数料を無料にする動きが広がりました。代表的な例は以下の通りです。
- SBI証券は2023年9月30日の注文分から、取引報告書などの各種書面を電子交付に設定することを条件に、オンラインの国内株式売買手数料を約定代金・取引の別を問わず無料としました。単元未満株(S株)の売買手数料も無料化の対象です。
📰 出典:SBI証券「ゼロ革命」公式ページ
- 楽天証券も2023年10月1日から、SOR(Rクロスを含む)の利用に同意することなどを条件に、国内株式の売買手数料が無料になる「ゼロコース」の提供を始めました。
📰 出典:楽天証券「国内株式取引手数料”ゼロコース”変更受付スタート」
背景には、ネット証券各社の顧客獲得競争の激化があります。売買手数料そのものでの収益を追わず、投資信託の信託報酬の一部(代行手数料)、信用取引の金利、為替手数料、SOR(複数市場から有利な価格を探す注文執行の仕組み)を活用した収益構造などに軸足を移していると見られています。
大切なのは、「無料」には条件が付いていることが多い点です。電子交付への同意やSOR利用への同意が前提になっているケースがあり、証券会社やコース設定によって条件が異なります。口座開設・コース選択の際は、必ず各社の最新の公式情報で条件を確認してください。
「手数料無料」でも発生しうる4つの隠れたコスト
売買手数料が0円になっても、投資にかかるコストがすべて消えるわけではありません。初心者が見落としがちなポイントを整理します。
1. 単元未満株(ミニ株)のスプレッド
1株から買える単元未満株サービスは少額投資の入り口として人気ですが、手数料が無料でも「スプレッド」という別のコストが乗ることがあります。例えば楽天証券の単元未満株サービス「かぶミニ®」は売買手数料が無料化された一方、約定金額の0.22%がスプレッドとして発生する仕組みです。
📰 出典:楽天証券「かぶミニ™」取引手数料無料化に関する報道
「手数料0円」という表記だけを見て、実質的な取引コストがゼロだと思い込まないよう注意が必要です。
2. 投資信託の信託報酬(保有中ずっとかかる費用)
株式の売買手数料とは別に、投資信託・NISAのつみたて投資枠で積み立てる商品には「信託報酬(運用管理費用)」がかかります。これは購入時ではなく、保有している間ずっと基準価額から差し引かれ続けるコストです。つみたて投資枠の対象商品は2026年8月時点で363本が届出されていますが、同じインデックスに連動する商品でも信託報酬の水準には差があります。
📰 出典:金融庁「つみたて投資枠対象商品」
「売買手数料が無料だから」という理由だけで商品を選ばず、信託報酬の水準も必ず比較しましょう。
3. 外国株投資の為替手数料
米国株など外国株に投資する場合、円と外貨を交換する際の為替手数料(為替スプレッド)が発生します。売買手数料が無料・低廉であっても、為替コストは証券会社によって差があるため見落とされがちです。
4. 出金・振込・口座管理などの周辺手数料
証券口座から銀行口座への出金手数料、信用取引の金利・貸株料、投資信託の信託財産留保額(解約時にかかることがある費用)なども、売買手数料とは別に発生しうるコストです。細かい費用ですが、長期で積み立てるほど積み重なっていきます。
手数料以外に見るべき証券口座選びの3つのポイント
売買手数料の比較だけで証券口座を決めるのではなく、次の観点も合わせて確認することをおすすめします。
- 取扱商品の幅:NISAのつみたて投資枠・成長投資枠の対象商品数、外国株・投資信託の取扱本数は証券会社によって差があります。
- アプリ・取引ツールの使いやすさ:初心者のうちは、スマホアプリの見やすさ・操作のしやすさが継続のしやすさに直結します。
- NISA口座での使い勝手:クレジットカード積立のポイント付与率や上限額、投信保有時のポイント還元なども証券会社ごとに異なります。制度・還元率は変更されることがあるため、最新情報は各社公式サイトで確認してください。
一般的な考え方として、こうした複数の観点を比較したうえで、自分にとって続けやすい証券会社を選ぶことが大切だとされています。特定の証券会社が「絶対におすすめ」というわけではなく、あくまで比較のための判断材料としてご活用ください。
初心者がやりがちなNG行動
- 「手数料無料」の一言だけで口座開設を決めてしまう:スプレッドや信託報酬など、他のコストを比較せずに決めると、想定より手元に残る金額が少なくなることがあります。
- ポイント目当てで無理な積立額を設定してしまう:クレカ積立のポイント欲しさに、生活費を圧迫するような金額まで積立額を引き上げてしまうのは本末転倒です。
- 複数の証券口座を作りすぎて管理が煩雑になる:NISA口座は1人1金融機関までしか開設できません。比較検討は大切ですが、口座を増やしすぎると資産状況の把握がしづらくなる点にも注意が必要です。
証券口座選び・投資に関するリスクと注意点
- 手数料・スプレッド・ポイント還元などのサービス内容は、証券会社の判断で変更されることがあります。本記事の内容は執筆時点のものであり、最新情報は必ず各証券会社・金融庁の公式サイトでご確認ください。
- 手数料が無料であることは、投資した商品の値上がりや利益を保証するものではありません。株式・投資信託はいずれも元本割れの可能性がある金融商品です。
- 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の証券会社・金融商品の購入を推奨するものではありません。投資は必ずご自身の判断と責任で、余剰資金の範囲で行ってください。
まとめ 「無料」の中身を比較してから選ぼう
株式売買手数料の無料化は、投資を始めるハードルを下げてくれる歓迎すべき変化です。ただし「無料」という言葉の裏には、スプレッドや信託報酬、為替手数料といった見えにくいコストが残っている場合があります。証券口座を選ぶときは、売買手数料だけでなく、取扱商品の幅・使いやすさ・NISAでの使い勝手まで含めて比較し、自分が長く続けられる環境を選ぶことを意識してみてください。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の証券会社・金融商品の購入や口座開設を推奨するものではありません。株式・投資信託への投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な判断はご自身の責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

