国内株の売買手数料はなぜ無料になった?初心者が知っておきたい仕組みと注意点

株式投資

「ネット証券は『国内株の売買手数料が無料』ってよく見かけるけど、どうしてタダにできるの?」

「無料だと、逆に『何か裏があるんじゃ…』ってちょっと不安になるんだよね」

結論から言うと、主要ネット証券の国内株式売買手数料は、2023年ごろから条件付きで無料化が進み、今では多くの個人投資家にとって「手数料ゼロ」が当たり前になりつつあります。ただし、無料になったのは主に「オンラインでの国内株式取引」の部分であり、信用取引の金利や投資信託の継続コスト、米国株などの為替関連費用まですべてがゼロになったわけではありません。この記事では、初心者向けに手数料無料化の経緯と、証券会社がなぜ無料でも成り立つのかという仕組み、始める前に確認しておきたい注意点をやさしく整理します。

※ 本記事は2026年8月執筆時点の一般的な情報をもとにした解説であり、特定の証券会社・銘柄の売買を推奨するものではありません。手数料体系や条件は各社の判断で変更されることがあるため、最新情報は必ず各証券会社の公式サイトでご確認ください。株式投資には元本割れのリスクが伴い、最終的な投資判断はご自身の責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

そもそも株式の「売買手数料」とは何か

株式を売買する際には、証券会社に対して取引の仲介を依頼する「売買委託手数料」を支払うのが従来の基本的な仕組みでした。取引金額(約定代金)に応じて手数料がかかる仕組みが一般的で、頻繁に売買する人ほど、また少額の取引を繰り返す人ほど、この手数料が積み重なって運用成果を目減りさせる要因になっていました。

初心者にとっては「毎回いくら手数料を取られるのか分からない」という不安が、株式投資を始めるハードルの一つになっていた面もあります。この手数料そのものが「無料」になったというのが、ここ数年の大きな変化です。

国内株の売買手数料はなぜ無料になったのか

2023年、大手ネット証券が相次いで無料化を発表

📰 出典:SBI証券「『ゼロ革命』(国内株式売買手数料無料化)のお知らせ」

SBI証券は2023年8月31日、「ゼロ革命」と名付けた取り組みとして、条件を満たすオンラインの国内株式売買手数料(現物取引・信用取引ともに)を無料にすると発表し、同年9月30日発注分から実施しました。対象となるには、取引報告書などの各種書面を電子交付に設定することが条件とされています。

📰 出典:楽天証券「国内株式(現物・信用)(『かぶミニ』含む)取引手数料を無料に!」プレスリリース

同じく2023年8月31日、楽天証券も「ゼロコース」の提供を発表し、10月1日から国内株式(現物・信用取引、単元未満株サービスの「かぶミニ」を含む)の取引手数料を、約定代金にかかわらず無料にしました。この2社の動きをきっかけに、他のネット証券でも手数料の見直しや無料化の動きが広がっています。

無料化の背景にある証券会社間の競争

これらの動きの背景には、NISAの拡充などをきっかけに投資を始める人が増える中で、証券会社同士が口座数を奪い合う競争が激しくなっていることがあります。

📰 出典:日本証券業協会「NISA口座の開設・利用状況調査結果(証券会社10社)」

日本証券業協会が2026年6月17日に公表した調査結果でも、証券会社各社のNISA口座数は増加傾向が続いていることが示されています。手数料の安さは、こうした「投資を始める人の受け皿」としてどの証券会社を選ぶかを左右する分かりやすい比較ポイントの一つになっており、各社が競って手数料を引き下げてきた結果、国内株式取引においては「無料」が一つの到達点になった、という見方ができます。

手数料が「無料」でも証券会社が成り立つ理由

「タダより高いものはない」ということわざもあり、無料と聞くと何か裏があるのではと身構えてしまう人もいるかもしれません。この点について、一般的に紹介されている考え方を整理します。

📰 出典:Yahoo!ファイナンス 証券会社カタログ「証券会社が手数料無料にできるのはなぜ? 背景や手数料なしでも儲かるからくりを解説」

証券会社は、株式の売買委託手数料以外にも複数の収益源を持っています。一般的に指摘される主な収益源としては、次のようなものが挙げられます。

  • 信用取引にともなう金利収入:信用取引で株式を買う(信用買い)際には、証券会社から資金を借りる形になり、金利が発生します。国内株式の現物売買手数料が無料でも、信用取引の金利は別に発生する仕組みです。
  • 投資信託にかかる継続的なコスト:投資信託を保有すると、信託報酬(運用管理費用)という継続的なコストがかかり、その一部が販売会社である証券会社の収益になる仕組みが一般的です。
  • 外国株式・為替関連の費用:米国株など外国株式の取引では、為替手数料(スプレッド)や現地取引にかかる費用が別途発生することが多く、国内株式の無料化とは別の料金体系になっています。
  • 口座内資金の運用に関する収益:投資家が証券口座に預けている資金の一部は、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)などで運用されており、こうした部分も証券会社の収益に一定程度つながっているとされています。

つまり、国内株式の売買手数料をゼロにしても、証券会社全体としては他のサービス・商品からの収益で経営を成り立たせている、という構造です。特定の証券会社の経営状況や内訳の詳細は開示情報によって異なるため、断定的な数字は本記事では扱いませんが、「手数料無料=証券会社が損をしている」という単純な話ではない、という点を押さえておくとよいでしょう。

手数料無料をきっかけに投資を始める前に確認したい5つのポイント

  1. 無料の対象範囲を確認する:「国内株式の現物取引はオンラインなら無料」という条件が一般的ですが、信用取引の金利、店舗・電話での注文、単元未満株サービスの一部条件など、証券会社によって細かな適用範囲が異なります。口座開設前に公式サイトの条件を確認しましょう。
  2. 米国株など外国株式には別の費用がかかる:為替手数料やスプレッドは、国内株式の手数料無料化とは別枠のコストです。外国株投資を検討する場合は、この部分も比較材料に入れておくことが大切です。
  3. 投資信託には信託報酬などの継続コストがある:投資信託は購入時だけでなく、保有している間ずっと信託報酬がかかります。長期で積み立てるほど、この継続コストの差が運用成果に影響しやすくなります。
  4. 手数料の安さだけで証券会社を選ばない:取扱商品の豊富さ、注文ツールの使いやすさ、NISA口座での取り扱い、サポート体制なども、自分に合った証券会社を選ぶうえで大切な比較ポイントです。
  5. 条件は変更されることがある:手数料体系や無料化の条件は、各社の経営判断や市場環境によって見直される可能性があります。「執筆時点(2026年8月)」の一般的な内容として紹介していますので、口座開設・取引の際は必ず各証券会社の公式サイトで最新情報を確認してください。

「手数料が無料だから」とやってしまいがちなNG行動

手数料が無料になったこと自体は、コストを抑えたい個人投資家にとって歓迎できる変化です。一方で、次のような行動には注意が必要です。

  • 手数料を気にせず、短期的な売買を繰り返してしまう:以前は手数料がブレーキになっていた短期売買のハードルが下がったことで、値動きに一喜一憂して頻繁に売買を繰り返してしまう人もいます。売買の回数を増やすこと自体が利益に直結するわけではなく、かえって判断を誤りやすくなる面もあります。
  • 「無料だから損はしない」と錯覚してしまう:手数料が無料でも、株価の値下がりによる元本割れのリスクがなくなるわけではありません。コストの話とリスクの話は別物として整理しておく必要があります。
  • 手数料の安さだけを理由に、内容を確認せず商品を選んでしまう:投資信託などでは、信託報酬の低さだけでなく、運用方針や対象資産が自分の目的に合っているかを確認することが欠かせません。

NISA口座での取引と手数料の関係

「NISA口座なら手数料はどうなるの?」という疑問を持つ人も多いでしょう。多くのネット証券では、NISA口座(つみたて投資枠・成長投資枠)での国内株式・投資信託の売買手数料についても、無料または実質無料に近い扱いとしているケースが一般的です。ただし、対象商品や条件は証券会社によって異なり、特定口座・一般口座とは別のルールが設けられている場合もあります。NISA口座を開設する際は、非課税メリットの内容だけでなく、その口座での売買手数料の扱いも合わせて確認しておくと安心です。

いずれにしても、NISAは非課税の「箱」を提供する制度であり、投資した商品の値上がりを保証するものではありません。手数料が無料・非課税だからといって、値下がりによる元本割れのリスクがなくなるわけではない点は、国内株式の手数料無料化の話と同様に注意が必要です。

(参考)手数料の違いが積み重なるイメージ

手数料が無料になる前と後で、コストの負担がどの程度変わるのか、あくまでイメージをつかむための一例を挙げます。仮に、1回の取引につき数百円程度の手数料がかかる従来の料金体系で、月に4回(週1回程度)取引をしていた場合、年間ではその手数料が数十回分積み重なる計算になります。手数料が無料になれば、この負担がゼロになる分、同じ資金でもより多くの金額を投資に回せる可能性があります。

※ この試算は手数料負担のイメージをつかむための一例であり、実際の金額や取引回数、将来の運用成果を保証するものではありません。手数料が浮いた分を投資に回しても、株価の値動き次第では元本割れとなる可能性がある点に変わりはありません。

よくある疑問

  • すべての証券会社で無料なの?:いいえ。無料化を進めている証券会社が増えている一方、手数料体系は会社ごとに異なります。口座開設前に、利用したい証券会社の公式サイトで最新の手数料ページを確認しましょう。
  • 無料化はいつまで続くの?:各社は「恒久的な無料化」として発表していますが、将来にわたって条件が変わらないと保証されているわけではありません。市場環境や競争状況によって見直される可能性がある前提で、最新情報はそのつど確認する姿勢が大切です。
  • 手数料が無料なら、少額でこまめに買ってもいい?:手数料負担という意味では以前よりハードルが下がったといえますが、売買を細かく分けること自体が運用成果を高めるとは限りません。あくまで自分の投資方針(積立の頻度や金額)に沿って判断することが基本です。

手数料と長期投資の関係 なぜコスト意識が大切なのか

長期・分散・積立を基本とする資産形成では、短期的な値動きの予想よりも、コストをできるだけ抑えて時間を味方につけることが重要だとされています。国内株式の売買手数料が無料になったことは、少額から・こまめに投資を始めやすくなったという意味で、初心者にとって追い風といえる変化です。

ただし、投資信託の信託報酬のように、保有し続ける限りかかり続けるコストは今後も存在します。「一回あたりの手数料がゼロになったこと」と、「長期で積み上がる継続コストを意識すること」は、それぞれ別の視点として持っておくとよいでしょう。

まとめ 無料化は追い風、ただしリスクと自己責任は変わらない

国内株式の売買手数料の無料化は、2023年のSBI証券・楽天証券の発表をきっかけに広がった、証券会社間の競争の結果としての変化です。証券会社は信用取引の金利収入や投資信託関連の収益など、手数料以外の複数の収益源をもとに経営を成り立たせているとされ、「無料だから何か裏がある」と過度に警戒する必要はありません。

一方で、無料の対象範囲は証券会社や取引の種類によって異なり、外国株式の為替コストや投資信託の継続コストなど、別枠でかかる費用も存在します。手数料が安くなったからといって、株式投資そのものの値下がりリスクがなくなるわけではない点も忘れないようにしましょう。制度や条件は今後も変わる可能性があるため、口座開設や取引の前には必ず各証券会社の公式サイトで最新情報を確認し、長期・分散・積立という基本方針のもと、無理のない範囲・余剰資金で投資に取り組むことをおすすめします。

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