住宅ローン控除とNISA、併用しても大丈夫?「所得」への影響を初心者向けに解説

株式投資

「住宅ローン控除を受けているんだけど、NISAで利益が出たら所得が増えて、控除が使えなくなったりしない?」

「両方お得な制度だから使いたいけど、なんとなく“合わせ技”は危ない気がしてしまう…」

結論から言うと、NISA口座内で得た利益(値上がり益・配当金・分配金)は非課税であるだけでなく、住宅ローン控除の所得要件を判定する「合計所得金額」にも含まれません。そのため、NISAで利益が出たことを理由に住宅ローン控除が受けられなくなる、ということは基本的に起こりません。この記事では、両制度の関係を初心者向けに整理し、逆に「所得」としてカウントされてしまうケースや、あわせて知っておきたい注意点を解説します。

※ 本記事は制度の一般的な仕組みを解説する情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談の代わりになるものではありません。ご自身の状況における最終的な判断は、税理士・税務署への確認のうえ行ってください。

なぜ「NISAの利益で住宅ローン控除が使えなくなる?」と不安になるのか

住宅ローン控除には「所得2,000万円以下」という要件がある

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、誰でも無条件に使えるわけではなく、その年の「合計所得金額」が一定額(現行制度では2,000万円以下)であることが要件のひとつになっています。

📰 出典:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」

さらに、この「合計所得金額」には給与所得だけでなく、上場株式等の譲渡益や配当(申告分離課税を選んだ場合)なども含まれる、と国税庁の解説にあります。

📰 出典:国税庁「合計所得金額2,000万円の判定」

「投資の利益=所得に加算される」というイメージが不安のもと

この情報だけを見ると、「投資で利益が出ると合計所得金額が増える → 住宅ローン控除に影響するのでは」と心配になるのも無理はありません。実際、住宅を購入したばかりでローン控除を受けている人の中には、「NISAをやっていても大丈夫だろうか」と疑問に思う方が少なくないようです。

ここで重要になるのが、「投資の利益」といっても、NISA口座内の利益と、通常の課税口座(特定口座・一般口座)で申告分離課税を選んだ利益とでは、税制上の扱いがまったく異なるという点です。

NISAと住宅ローン控除の関係、考え方のポイント

ポイント1:NISA口座内の利益は「合計所得金額」に含まれない

NISA制度の大きな特徴は、値上がり益・配当金・分配金が非課税になることに加えて、その利益が所得税法上の「合計所得金額」にも算入されないという点です。日本証券業協会の解説でも、NISA口座で得た配当等・譲渡損益は合計所得金額に含まれないため、配偶者控除・配偶者特別控除など他の所得控除の判定にも影響しない、とされています。

📰 出典:日本証券業協会「NISAのよくある質問」

つまり、住宅ローン控除の判定に使われる「合計所得金額2,000万円以下」の計算においても、NISA口座内の利益は基本的に含まれません。NISAでどれだけ値上がり益が出ても、それ自体を理由に住宅ローン控除の所得要件から外れる、という心配は不要と考えられます。

ポイント2:影響しうるのは「NISA以外」の課税口座の利益

一方で注意したいのは、特定口座・一般口座で保有している株式や投資信託を売却して利益(譲渡益)が出た場合です。この利益について確定申告で「申告分離課税」を選択すると、その利益は合計所得金額に算入されます。同様に、配当について申告分離課税・総合課税を選んだ場合も合計所得金額に含まれる扱いです。

そのため、「NISAだから安心」と考えるのではなく、正確には「非課税口座であるNISA内の利益は含まれないが、課税口座で申告分離課税等を選んだ利益は含まれうる」と整理して理解しておくことが大切です。

ポイント3:「確定申告不要」を選べば影響を避けられる場合もある

特定口座(源泉徴収あり)の利益は、確定申告をしなくても納税が完結する仕組みになっています。確定申告をしなければ、その利益は合計所得金額の判定に反映されません。ただし、譲渡損失の繰越控除を使いたい場合など、あえて確定申告をしたほうが有利なケースもあるため、「申告する・しない」の判断は住宅ローン控除への影響も含めて総合的に考える必要があります。

ポイント4:iDeCoの掛金は逆に「所得控除」としてプラスに働く

NISAとあわせて語られることの多いiDeCoについても触れておきます。iDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になり、合計所得金額そのものではなく、そこから差し引く「所得控除」を増やす仕組みです。住宅ローン控除の所得要件(合計所得金額2,000万円以下)を判定するうえでは、iDeCoの掛金控除は合計所得金額を直接減らすものではない点に注意が必要ですが、少なくとも「投資をすると税務上不利になる」という単純な話ではないことは共通しています。

ポイント5:制度は変わりうるので、必ず執筆時点の情報として確認する

住宅ローン控除の所得要件(現行は2,000万円以下)や、NISA制度の非課税範囲・合計所得金額への算入ルールは、税制改正によって将来変わる可能性があります。本記事の内容は執筆時点(2026年8月)の一般的な制度理解に基づくものであり、実際の申告・手続きにあたっては、国税庁・金融庁の最新情報や、税理士・税務署への確認を必ず行ってください。

実践する際の注意点・リスク

  • 「NISAだから絶対に影響しない」と過信しない:影響しないのはあくまでNISA口座内の利益に限られます。特定口座での売買や配当の申告方法によっては合計所得金額に影響する場合があるため、年によって取引内容が変われば都度確認が必要です。
  • 確定申告のやり方次第で有利・不利が変わることがある:譲渡損失の繰越控除など、確定申告をしたほうが得になる制度もあります。住宅ローン控除への影響とどちらを優先すべきかは、金額次第で判断が分かれるため、自己判断だけで決めず専門家に相談しましょう。
  • 投資はあくまで元本割れのリスクを伴う:NISAで運用する株式や投資信託は、値上がりする年もあれば値下がりする年もあります。「税制上有利だから」という理由だけで、生活資金や住宅ローンの返済に無理が出るほどの金額を投資に回すのは避けましょう。
  • 年末調整・確定申告の書類は住宅ローン控除・NISAそれぞれで別物:住宅ローン控除は年末調整(2年目以降は会社経由も可)、NISAの利益は基本的に非課税で申告不要というように、手続きの流れが異なる点も混同しないようにしましょう。
  • 古い情報のまま判断しない:住宅ローン控除の所得要件やNISAの非課税範囲に関する記事は年度によって内容が更新されます。数年前の情報をそのまま鵜呑みにせず、最新の公式情報を確認してください。

まとめ 「非課税」と「所得に含まれない」はセットで理解しておこう

NISA口座内の利益は非課税であるだけでなく、住宅ローン控除の判定に使われる合計所得金額にも含まれません。そのため、NISAで利益が出たことを理由に住宅ローン控除が受けられなくなる、という心配は基本的に不要です。一方で、特定口座で申告分離課税を選んだ利益や配当は合計所得金額に算入されうるため、「非課税制度かどうか」で扱いが分かれる点を正しく理解しておくことが、無用な不安を減らす近道になります。

税制は改正されることがあるため、実際に住宅ローン控除を受けながら投資を続ける際は、最新の公式情報を確認しつつ、判断に迷う場合は税理士や税務署に相談する習慣を持つようにしましょう。

なお、本記事の内容は執筆時点(2026年8月)の一般的な制度理解に基づくものであり、投資は元本割れのリスクを伴います。特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではなく、最終的な投資判断・税務上の判断はご自身の責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

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