
「親が持っていた株を相続することになったんだけど、相続税っていくらの株価で計算するの?」

「亡くなった日の終値で決まるのかと思ってたけど、実は違うって聞いて驚いた…」
結論から言うと、上場株式を相続したときの相続税評価額は、必ずしも「亡くなった日(相続発生日)の終値」だけで決まるわけではありません。国税庁のルールでは、相続発生日を含めて4つの株価のうち、最も低いものを選んで評価額とすることができます。この記事では、その4つの株価の内容と、初心者でも迷わず調べられる手順を解説します。
※本記事は2026年8月時点の国税庁の公表情報をもとにした一般的な制度の解説であり、個別の相続税申告・税務相談の代わりになるものではありません。具体的な申告・計算は税理士・税務署にご確認ください。
前提知識 なぜ株式の評価方法を知っておくべきか
相続税は、亡くなった方(被相続人)が残した財産の評価額をもとに計算されます。預金であれば残高がそのまま評価額になりますが、株式は日々値動きするため、「いつの、どの株価を使うか」によって評価額が変わり、結果として相続税額にも影響します。
上場株式の場合、国税庁の財産評価の基本ルール(タックスアンサーNo.4632)で評価方法が定められており、知らずに「亡くなった日の終値」だけで計算してしまうと、本来より高く評価してしまう可能性があります。特に相続発生時期に株価が一時的に急騰していた場合などは、他の価格を比較する意味が大きくなります。
📰 出典:No.4632 上場株式の評価|国税庁
上場株式の相続税評価額を調べる4ステップ
ステップ1. 「課税時期(相続発生日)の最終価格」を確認する
まず基本となるのが、相続が発生した日(課税時期)における、その株式が上場している金融商品取引所の最終価格(終値)です。ここがスタート地点になります。
ステップ2. 「課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額」を確認する
次に、相続が発生した月について、その月の毎日の最終価格を平均した金額を確認します。証券会社によっては、相続手続き用にこの月平均額を含めた資料を発行してくれる場合があります。
ステップ3. 「前月」「前々月」の毎日の最終価格の月平均額も確認する
同様に、相続が発生した月の前月、および前々月についても、それぞれ毎日の最終価格の月平均額を確認します。ここまでで、
- 課税時期の最終価格
- 課税時期の属する月の平均額
- 前月の平均額
- 前々月の平均額
という合計4つの価格が揃うことになります。
ステップ4. 4つのうち最も低い価格を評価額として選ぶ
国税庁のルールでは、この4つの価格のうち最も低い価格を、その株式の相続税評価額として選ぶことができます。つまり、たまたま亡くなった日の株価が高かったとしても、前月・前々月の平均額の方が低ければ、そちらを使って評価額を抑えられる可能性があるということです。
📰 出典:No.4632 上場株式の評価|国税庁
なお、複数の銘柄を保有していた場合は、銘柄ごとに個別にこの4つの価格を比較し、それぞれ最も低い価格を選ぶことになります。1つの銘柄で低い方を選んだからといって、他の銘柄も同じ月の価格を使わなければならない、という決まりではありません。
4つの価格を自分で調べるのが不安なときは
証券取引所や各種の株価データサイトで日々の終値・月間の平均値を自分で集計することも不可能ではありませんが、集計ミスや期間の取り違えが起きやすい作業でもあります。取引をしていた証券会社に、被相続人が亡くなった時点の残高証明書の発行を依頼すると、多くの場合、この4つの価格を含めた資料を用意してもらえます。相続税の申告を税理士に依頼する場合も、この残高証明書があるとスムーズです。
やりがちなNG行動・初心者の失敗例
- 「亡くなった日の終値」だけで評価額を計算し、他の3つの価格と比較しないまま申告してしまう
- 月平均額を計算する際に、株式分割や配当落ちなど株価に影響するイベントを考慮せず、単純に日々の終値を平均してしまう
- 複数銘柄をまとめて同じ月の価格で評価しようとしてしまう(銘柄ごとに個別の判断が必要)
- 相続税評価額の話と、相続後に株式を売却したときの譲渡所得税(取得費の引き継ぎなど)の話を混同してしまう
リスクと注意点
- 相続税の申告には期限(相続の開始を知った日の翌日から10か月以内)があります。評価額の確認や必要書類の準備には時間がかかることもあるため、早めに着手することをおすすめします。
- 相続税評価額の考え方は上場株式に固有のものであり、非上場株式(取引相場のない株式)の評価方法は別のルールが適用されます。
- 本記事で紹介した内容は制度の一般的な仕組みであり、実際の申告額や有利・不利は各家庭の財産構成・控除の適用状況によって異なります。自己判断せず、税理士・税務署などの専門家に確認しながら進めてください。
- 相続した株式そのものの株価は今後も変動するため、評価額の低さだけを理由に売却・保有を判断することは避け、投資としてのリスク(元本割れの可能性)も踏まえて考える必要があります。
まとめ 「4つの株価から一番低いものを選べる」ことを知っておこう
上場株式の相続税評価額は、亡くなった日の終値だけでなく、その月・前月・前々月の平均額も含めた4つの価格の中から、最も低いものを選んで計算できる仕組みになっています。この仕組みを知っているかどうかで、相続税の申告作業や納得感が変わってくる場面もあるでしょう。実際の手続きでは、証券会社の残高証明書を活用しつつ、最終的には税理士や税務署に確認しながら進めるようにしてください。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買や税務上の判断を助言するものではありません。投資には元本割れのリスクが伴い、相続・税務に関する最終判断はご自身の責任で、専門家にご確認のうえ行ってください。

