
「決算ニュースで『EV/EBITDA倍率』って言葉を見かけたけど、PERとどう違うの?」

「なんだか難しそうで、結局スルーしちゃうんだよね…」
結論から言うと、EV/EBITDA倍率は「その企業を丸ごと買収した場合、本業のもうけ(EBITDA)で何年分に相当するお金がかかるか」を表す指標で、借金の多さや税金・会計制度の違いに左右されにくいという特徴があります。PERと似た「割安・割高を見る指標のひとつ」ですが、見ている範囲が異なります。この記事では、初心者向けにEV/EBITDA倍率の基本的な考え方と、PERとの違い、使う際の注意点を解説します。
※ 本記事は2026年7月執筆時点の一般的な指標の解説であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。
EV/EBITDA倍率とは何か
EV(企業価値)がEBITDA(本業のもうけ)の何倍かを見る指標
📰 出典:野村證券「証券用語解説集:EV/EBITDA倍率」
野村證券の用語解説によると、EV/EBITDA倍率とは、EV(企業価値)がEBITDAの何倍になっているかを表す指標で、企業を買収する場合に必要な時価総額と、買収後に返済が必要な純負債を、EBITDAの何年分でまかなえるかを表すとされています。簡単に言うと「その会社を丸ごと買った場合、本業の利益で何年で元が取れそうか」を大まかに測る物差しです。
計算のおおまかな考え方
📰 出典:三井住友DSアセットマネジメント「わかりやすい用語集:EV/EBITDA倍率」
三井住友DSアセットマネジメントの用語集では、EVは「株式時価総額+純有利子負債」などで、EBITDAは「営業利益+減価償却費」などで求められると説明されています。細かい計算式を覚える必要はありませんが、「株価だけでなく、借金の多さや設備投資の重さも織り込んだうえで、本業のもうけと比べる指標」という位置づけを理解しておくと役立ちます。
PERとの違い どこを見ている指標なのか
PER(株価収益率)は「株価が1株あたり純利益の何倍か」を見る指標で、株主から見た「株価の割安・割高」を測るのに使われます。一方でEV/EBITDA倍率は、株主だけでなく借入金の貸し手も含めた「会社全体(企業価値)」を対象にしている点が大きな違いです。
- PER:株価 ÷ 1株あたり純利益。株主目線での割安・割高の目安のひとつ
- EV/EBITDA倍率:企業価値 ÷ EBITDA。借入金の多さや税金・国ごとの会計制度の違いに左右されにくく、本業の収益力を国際的に比較しやすいとされる
そのため、借入金の多い企業や、海外企業と比較したい場面、業種によって税制・会計処理が異なる企業同士を比べたい場面などで、PERだけでは見えにくい部分を補う指標として使われることがあります。あくまで「一般的に、割安・割高を見る指標のひとつ」であり、この数値だけで投資判断をするものではありません。
EV/EBITDA倍率を使う際の注意点
- 業種によって水準が大きく異なる:設備投資や借入金の水準は業種ごとに違うため、異業種同士を単純に比較するのは適さないとされています。比較する場合は同業種内で見るのが基本です
- 低ければ「必ず割安で買い」とは限らない:倍率が低い背景には、業績の先行きへの懸念など、市場が織り込んでいる他の理由がある場合もあります
- 単独の指標で判断しない:PER・PBR・配当利回りなど他の指標や、業績・財務状況とあわせて総合的に確認することが大切です
- 数値は変動する:株価や業績の変化により随時変わるため、確認するタイミングの数値であることを踏まえておきましょう
まとめ 指標の「意味」を理解したうえで使い分ける
EV/EBITDA倍率は、PERとは異なり、借入金や税金・会計制度の違いに左右されにくい形で、企業の本業の収益力を測る指標です。「PERは株主目線」「EV/EBITDA倍率は会社全体を丸ごと見た目線」という違いを理解しておくと、決算ニュースや銘柄選びの指標の見方が広がります。
いずれの指標も、それだけで「買い」「売り」を判断できる魔法の数字ではありません。複数の指標を組み合わせ、リスクを理解したうえで、最終的な投資判断はご自身の責任で行うようにしましょう。株式には価格変動・元本割れのリスクが常に伴います。

