
「子どもの教育費、そろそろ準備しないとまずい気がする…」

「学資保険にするかNISAにするか、正直よく分からないんだよね」
結論から言うと、NISAは教育資金づくりの選択肢のひとつにはなりえますが、「教育費だから絶対NISA」でも「教育費だから絶対学資保険」でもありません。どちらにもメリットと注意点があり、特にNISAは元本割れの可能性がある商品である以上、使うタイミングや金額の配分を誤ると「必要な時にお金が足りない」という事態にもなりかねません。この記事では、教育資金づくりでNISAを検討する際に知っておきたい基本の考え方と、やってはいけない注意点を初心者向けに整理します。
※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。制度内容は変わることがあるため、最新情報は金融庁・各金融機関の公式サイトでご確認ください(本記事は2026年7月執筆時点の情報です)。
教育費はどのくらいかかる?備えが必要な理由
子どもの教育費は、進路によって差はあるものの、まとまった金額が長期にわたって必要になるのが特徴です。
日本政策金融公庫の調査(国の教育ローン利用世帯を対象とした調査)によれば、子ども1人が高校入学から大学卒業までにかかる費用の平均は約942万円とされています。これは自宅からの通学か下宿か、国公立か私立か、文系か理系かなどによって大きく変動する「あくまで一つの目安」ですが、教育費が家計の中でも特に大きな支出になりやすいことがうかがえます。
- 高校・大学の入学金や授業料
- 通学費・教材費・学習塾や予備校の費用
- 下宿する場合の生活費・仕送り
こうした費用は「必要になる時期」がある程度読めるという特徴があります。だからこそ、いつまでにいくら必要かを先に考えたうえで、準備方法を選ぶことが大切です。
なお、高校授業料の支援制度など、教育費を取り巻く公的な仕組みは年々見直しが行われています。「今の制度が今後もそのまま続く」と決めつけず、進学が近づいた段階で最新の情報を確認する姿勢も大切です。
NISAで教育資金を準備するという選択肢
NISAの基本の仕組みをおさらい
📰 出典:金融庁「NISAを知る」
NISAは、投資信託や株式などへの投資から得た利益(値上がり益・配当・分配金)が非課税になる制度です。執筆時点の制度では「つみたて投資枠」(年間120万円)と「成長投資枠」(年間240万円)があり、生涯にわたって使える非課税保有限度額は合計1,800万円とされています。毎月コツコツ積み立てる使い方が基本で、長期・分散・積立を前提とした制度設計になっています。
ただし、NISAはあくまで「投資」の仕組みであり、あらかじめ決まった利回りが保証されているわけではありません。運用する商品の値動きによって、増えることもあれば、元本を下回ることもあります。
学資保険との違いを整理する
学資保険は、契約時に決めた保険料を積み立てて、進学時期などに合わせて祝い金・満期保険金を受け取る保険商品です。一般的に「払込額に対して受け取り額がどうなるか」があらかじめ決まっている商品が多く、契約者に万一のことがあった場合は以後の保険料払込が免除されるといった保障がセットになっている点が特徴です。
| 比較項目 | NISA(投資信託等) | 学資保険 | |—|—|—| | 増減の性質 | 運用成果次第で変動(元本割れの可能性あり) | 契約内容に基づく(多くは元本確保型) | | 保障機能 | なし(純粋な投資制度) | 契約者に万一があった場合の保障が一般的 | | 途中解約 | いつでも売却可能(売却時点の時価) | 早期解約は元本割れしやすい商品が多い | | 手数料・保険料 | 信託報酬等のコストがかかる | 保険関係費用がかかる | | 非課税措置 | 運用益が非課税 | 保険料控除の対象になる場合がある |

「じゃあ、どっちが正解なの?」

「『どっちが正解』ではなく、目的とリスク許容度で使い分ける、という考え方が大切なんだね」
このように、NISAと学資保険は「増える可能性」と「安定性」のバランスが異なります。どちらか一方に全額を寄せるのではなく、それぞれの特徴を理解したうえで、自分の家計に合った配分を考えることが重要です。
「学資保険なら元本割れしない」とは限らない
学資保険は元本確保型が多いとはいえ、注意点がないわけではありません。多くの商品は、途中で解約すると払込保険料の総額を下回る「元本割れ」が起こりやすい設計になっています。また、長期間にわたって保険料を固定する商品の場合、将来の物価上昇(インフレ)によって、受け取る金額の実質的な価値が目減りする可能性もゼロではありません。「安定している=リスクがない」わけではないという点も、あわせて理解しておきたいポイントです。
シミュレーションで考える(あくまで一例)
たとえば「毎月1万円を15年間、非課税制度を使って積み立てる」というケースを考えてみます。単純に積み立てた元本だけでも180万円になりますが、実際の受取額は運用成果によって、これを上回ることもあれば、下回ることもあります。将来の運用成果を保証する試算ではなく、あくまで「時間をかけて積み立てる」という考え方を具体的にイメージするための一例として捉えてください。実際に検討する際は、金融機関のシミュレーションツールなども参考にしつつ、複数のシナリオ(増えた場合・増えなかった場合)を想定しておくと安心です。
NISAで教育資金を準備するときに知っておきたい注意点
教育資金は「使う時期がある程度決まっている」お金です。だからこそ、投資特有のリスクとの向き合い方に、通常の資産形成以上の注意が必要になります。
使う時期が近いほど元本割れの影響を受けやすい
投資は、運用期間が長いほど値動きが平均化されやすいと一般的に言われていますが、これは将来の値上がりを保証するものではありません。逆に、使う時期が数年後に迫っている状態で、たまたま相場が下落していると、必要なタイミングで「増えているどころか元本割れしている」という事態も起こり得ます。教育費のように「使う時期を先延ばしできないお金」は、この点を特に意識する必要があります。
暴落したタイミングで解約せざるを得ないリスク
入学金の支払いなど、教育費には待ったなしの支払い期限があります。もし支払い直前に相場が大きく下落していても、多くの家庭では支払いを先送りできず、値下がりしたタイミングで売却せざるを得ません。これは「長期投資だから大丈夫」という一般論だけでは片付けられない、教育資金特有のリスクです。
教育費の全額を投資に回さない

「教育費を増やしたいから、全部NISAにまわしちゃおうかな…」

「それはちょっと危険かも。使う時期が近いお金は、値動きしない形で確保しておく考え方もあるみたいだよ」
教育資金づくりを検討する際は、「近い将来(数年以内)に使う予定の金額」と「まだ先(10年以上先)の話で時間をかけられる金額」を分けて考える方法があります。近い将来に使うお金は預貯金など値動きしない形で確保し、時間をかけられる部分だけを投資に回すという考え方は、リスク管理の一般的な視点として知られています。あくまで一つの考え方であり、最終的な配分は各家庭の状況に応じて判断する必要があります。
制度・税制は変わる可能性がある
NISAの非課税枠や制度内容は、これまでも見直しが行われてきました。教育資金のように10年、15年という長いスパンで考える場合、現在の制度がそのまま続くとは限りません。最新の制度内容は、金融庁や利用する金融機関の公式サイトで都度確認することをおすすめします。
特定の商品を勧誘されても鵜呑みにしない
「教育資金づくりに最適」といった売り文句で特定の投資信託や保険商品を強く勧められても、その場で契約を決めず、手数料体系やリスクの説明を十分に理解してから判断することが大切です。特定の金融商品の売買を推奨する情報や、「必ず増える」といった断定的な説明には注意が必要です。
夫婦・家族で情報を共有しておく
教育資金は一人だけで抱え込むテーマではありません。夫婦共働きの家庭でも、専業主婦(主夫)家庭でも、「誰が・いつ・どの口座で・いくら準備しているか」を家族間で共有しておくことは、途中で方針がブレたり、同じ目的のためのお金が重複・不足したりするのを防ぐうえで役立ちます。祖父母などから資金援助の申し出がある場合も、家族内でよく話し合い、贈与に関する税制については国税庁の公式情報や税理士に確認することをおすすめします。
教育資金づくりでやりがちなNG行動
- 生活費を切り詰めてまで投資額を増やす:教育費以前に、日々の生活が苦しくなっては本末転倒です。
- 他の目的(老後資金など)のお金と区別せずに運用してしまう:目的ごとに「いつ・いくら必要か」を分けて管理することが基本です。
- 値下がりに動揺して積立を途中でやめてしまう:長期的な方針を決めたら、短期的な値動きに一喜一憂しすぎないことも大切とされています(ただし、状況に応じた見直し自体は否定されるものではありません)。
- 学資保険とNISAのどちらか一方だけで完結させようと決めつける:組み合わせる、あるいは目的に応じて使い分けるという考え方もあります。
- SNSの「教育費はこの方法一択」といった断定的な情報を鵜呑みにする:家庭ごとに収入・支出・リスク許容度は異なるため、一般論をそのまま自分の家庭に当てはめすぎないことも大切です。
- 必要な時期の目安を決めないまま、なんとなく積立を続ける:いつ・いくら必要かの目安があるだけで、値動きに動揺しにくくなります。
教育資金づくりはいつから始めるべき?
「もっと早くから準備しておけばよかった」という声がある一方、「今からでも遅すぎる」ということは基本的にありません。教育費が必要になる時期から逆算し、残された期間が短いほど「値動きのある商品に頼る割合を抑え、預貯金など安定した形での準備を厚くする」といった考え方が一般的です。逆に、子どもがまだ小さく準備期間が長く取れる場合は、時間を味方につけながら少額から積立を始めるという選択肢も検討しやすくなります。
いずれの場合も、「今の家計から無理なく出せる金額はいくらか」を最初に確認したうえで、金額や方法を決めることが第一歩です。無理な金額を設定してしまうと、途中で継続できなくなり、かえって計画が崩れる原因にもなりかねません。
まとめ 教育資金は「時期」と「目的」を分けて考える
子どもの教育資金づくりにおいて、NISAは有力な選択肢のひとつですが、「元本割れの可能性がある投資」であることに変わりはありません。学資保険のような保障・安定性を重視した商品と、NISAのような運用成果次第で増減する商品にはそれぞれ異なる特徴があり、どちらが優れているかを一概に決めることはできません。
大切なのは、教育費が必要になる時期を見据えたうえで、「近い将来に使うお金」と「時間をかけられるお金」を分けて考え、無理のない範囲で準備を進めることです。判断に迷う場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも一つの方法です。最終的な投資判断・保険加入の判断はご自身の責任で、家計全体のバランスを見ながら行ってください。
