— title: 日経平均が3日で1万円乱高下——半導体ショックと日銀利上げが重なる相場、個人投資家はどう向き合うべきか description: 2026年6月23日〜26日の4日間で日経平均が急落・最高値更新・再急落を繰り返した。SKハイニックス・マイクロン・日銀利上げ・FOMC…重なるイベントを整理し、長期投資家が取るべき心構えを解説します。 date: 2026-06-28 category: 株・投資系 tags: [日経平均, 半導体株, 日銀利上げ, FOMC, 乱高下, 長期投資, NISA] —
導入文:たった4日間の「ジェットコースター相場」
2026年6月の最終週、東京の株式市場は目を疑うような展開を見せました。
6月23日(月)、日経平均株価は前週末から2,565円安という歴代5番目の大幅下落を記録しました。その4日後の25日(木)には一転して3,191円高と急反騰し、史上最高値を更新。しかし翌26日(金)には再び3,000円超の急落に見舞われたのです。
わずか4営業日で、株価が「1万円近く上下した」ともいえるこの乱高下。多くの個人投資家が「何が起きているのかわからない」「売るべきか、持ち続けるべきか」と不安を感じたことでしょう。
さらに時計を少し戻せば、6月16日には日本銀行が政策金利を1.0%に引き上げ、6月17日にはアメリカのFRB(米連邦準備制度理事会)が「年内利上げ」へと方向転換を示唆するという、金融政策のビッグニュースも重なっていました。
この記事では、相次ぐ市場の激震の背景を整理しながら、長期目線の個人投資家がこうした相場局面とどう向き合えばよいかを考えていきます。
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ニュースの要点整理
1. 6月23日(月):日経平均が2,565円安——SKハイニックス・ショック
6月23日、韓国の大手半導体メーカー「SKハイニックス」をめぐる報道が世界市場を揺るがしました。韓国メディアが「SKハイニックスはHBM(高帯域メモリ)チップの生産を抑制し、より利益率の高いDRAM製品に注力する方針に転換しようとしている」と報じたのです。
この報道が「AI向け半導体需要の鈍化」への懸念と受け取られ、韓国の総合株価指数(KOSPI)が一時10%安と記録的な下落を見せました。その影響が日本市場にも波及し、キオクシアホールディングス、アドバンテスト、東京エレクトロンといった半導体関連株に売りが集中。日経平均は歴代5番目の下落幅を記録しました。
📰 出典:THE GOLD ONLINE「日経平均は歴代5位の下落幅で取引終了…6月23日の国内株式市場概況」
なお、この急落の前週まで日経平均は8営業日連続で上昇し、その間だけで8,100円以上もの上昇を見せていました。テクニカル的な過熱感があったことが、急落の「燃料」になったともいえます。
2. 6月25日(木):マイクロン決算「満点以上」で3,191円高——史上最高値更新
急落からわずか2日後の25日、今度は一転して株式市場が急反発しました。
きっかけは米メモリー半導体大手「マイクロン・テクノロジー」の決算発表です。2026年3〜5月期の純利益は前年同期比15倍の282億4,300万ドル(約4兆6,000億円)という圧倒的な数字を叩き出し、市場の期待を大幅に上回る結果となりました。マイクロンの株価は時間外取引で一時16%高まで急騰しました。
📰 出典:日本経済新聞「日経平均が最高値、終値3191円高 マイクロン決算『満点以上』好感」
「SKハイニックスが弱気だったのに、マイクロンは記録的好決算」という矛盾した状況で、投資家心理は急転。日本でもキオクシアが一時15%高と急騰するなど、半導体関連株全体に買いが入り、日経平均は史上最高値を更新しました。
3. 6月26日(金):再び3,000円超の急落——韓国株の「ブラックフライデー」
しかし翌26日、またもや韓国株が急落し、日本市場に再び激震が走りました。サムスン電子が9%超の下落、SKハイニックスも8%超の急落と、韓国株市場では「ブラックフライデー」と呼ばれる状況が発生しました。
📰 出典:TradingKey「’ブラックフライデー’が韓国株を襲う、SKハイニックスは10%近く急落」
AI向け半導体需要の持続性への疑念が、市場に根強く残っていることを示す形となりました。
4. 日銀が政策金利を1.0%に引き上げ(6月16日)
株式市場の乱高下と並行して、6月16日には日本銀行が重要な決定を下しました。金融政策決定会合で政策金利(無担保コールレート)を従来の0.75%から1.0%に引き上げることを決定したのです。1.0%台の政策金利は1995年以来、約31年ぶりの高水準です。
📰 出典:日本経済研究センター「日銀6月会合、政策金利を1%に引き上げ」
今回の利上げ決定の背景には、消費者物価指数(CPI)が2%前後での推移を続けており、円安と原油高が重なりインフレが加速するリスクが高まっていたことがあります。日銀内でも「7対1」という採決結果が示すように、大多数が利上げに賛成する状況でした。
📰 出典:野村證券ウェルスタイル「日銀、予想通り利上げを決定 次の利上げは12月メイン」
5. FOMCが「年内利上げ」へ方向転換(6月17日)
さらにその翌日、アメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)も重要な決定を行いました。政策金利は3.50〜3.75%に4会合連続で据え置きとされましたが、参加者の金利見通し(ドットチャート)が劇的に変化しました。
3月時点では「年内に1回の利下げ」が中央値でしたが、6月会合では一転して「年内に1回の利上げ」が中央値となったのです。FOMC参加者18人のうち9人が2026年中の利上げが適切と考えていることが示されました。
📰 出典:三井住友DSアセットマネジメント「2026年6月FOMCレビュー〜かなりタカ派的な内容に」
新議長のウォーシュ氏体制となって初のFOMCであり、市場への情報提供(フォワードガイダンス)も削除されるなど、不透明感が増している状況です。
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筆者の私見・考察
以下は筆者の個人的な見解であり、投資判断の参考情報として示すものです。
今回の相場の特徴を一言で表すなら「情報と感情の過剰反応の連鎖」だと感じます。
SKハイニックスの報道に対して市場が大きく動いた23日、そして翌週にはマイクロンの好決算で一転高騰した25日——どちらも「AI需要の行方」という同じテーマに対して、市場が正反対の反応を示しました。
これが示しているのは、現在の相場が「ファンダメンタルズ(業績や経済の実態)」ではなく、「短期的な材料と感情」によって大きく動いているということです。
特に、日本の半導体株の多くは韓国のSKハイニックスやサムスンとは直接の競合関係にあるわけではありません。にもかかわらず、韓国株の急落が日本株にも波及するのは、グローバルな機関投資家が「アジア株」「半導体セクター」というカテゴリーで一括して売り買いするためです。
日銀利上げとFRBのタカ派転換という金融政策の大きな変化も、株式市場にとっては「向かい風」になります。金利が上昇すると、企業の借入コストが増加し、また割引率の上昇から株式の理論価格が低下するためです。とはいえ、日銀の利上げはインフレへの対応であり、日本経済が「金利ある世界」に戻る正常化プロセスでもあります。
ドル円についても注目が必要です。日銀が0.25%利上げしても、FRBが利下げを止めているため、日米金利差はほとんど縮まらず、1ドル160円に迫る円安水準が続いています。
📰 出典:マネックス証券マネクリ「日銀利上げ後の為替への影響は?」
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資産形成への発展:乱高下を「他人事」にする考え方
では、このような激しい相場の乱高下は、長期的な資産形成を目指す個人投資家にとってどんな意味を持つのでしょうか。
長期投資家にとっての「本質的なリスク」は株価の乱高下ではない
NISAで毎月コツコツと積み立て投資をしている方にとって、日々の株価の上下は「本質的なリスク」ではありません。むしろ本質的なリスクは「下落局面で感情的な判断をして積み立てをやめてしまうこと」です。
今回のような急落・急騰の繰り返しは、長期投資の視点で見れば「相場の日常的な揺れ」の一部です。10年・20年という時間軸で資産形成を考えるとき、2026年6月の乱高下はほんの小さな波に過ぎなくなる可能性が高いでしょう。
ドルコスト平均法の真価が発揮される場面
積み立て投資(ドルコスト平均法)の最大のメリットは、「価格が下がったときにより多くの口数が買える」という点です。
今回の急落局面で積み立て投資を続けていた方は、平均取得単価を下げるチャンスにもなっています。逆に「怖くなって積み立てを止めた」という方は、下落局面でのメリットを享受できないことになります。
もちろん、これは「下落局面でも必ず積み立てを続けるべき」という断言ではありません。自分のリスク許容度や資金状況に応じた判断が必要です。大切なのは「感情に任せた判断」を避けることです。
日銀利上げと預金・住宅ローンへの影響
日銀の政策金利が1.0%になったことで、個人の家計にも変化が生じています。
まずプラスの面として、銀行の預金金利が少しずつ上昇しています。これまでほぼゼロだった定期預金の金利も、少しずつ実感できる水準に近づいてきています。
一方でマイナスの面として、変動金利型の住宅ローンを組んでいる方は、返済額が増加するリスクがあります。31年ぶりの政策金利水準ということは、今後もさらに利上げが続く可能性も否定できません。
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具体的なアクション・心構え
長期目線での資産形成において、今回のような局面で意識したいポイントをまとめます。
1. 積み立てのペースを変えない
乱高下を見て「一時停止しよう」と思う気持ちはよくわかります。しかし長期投資の観点では、急落時こそ積み立てを続けることが合理的なケースが多いです。ただし、心理的に耐えられないほど不安を感じるなら、それはリスク許容度を超えた投資をしているサインかもしれません。自分の許容度を改めて確認してみましょう。
2. 情報の洪水から距離を置く
今回のような相場では、SNSやニュースから「煽り情報」「恐怖情報」が大量に流れてきます。特定の銘柄を「今すぐ買え」「今すぐ売れ」とあおる情報には慎重に向き合いましょう。判断の基準は常に「自分の長期目標に合っているか」です。
3. ポートフォリオの分散を再確認する
今回の急落が半導体セクターに集中したことは、「特定のセクターへの集中投資はリスクが高い」ことを改めて示しました。国内株・海外株・債券・現金など、複数の資産クラスに分散することで、一つの分野の急落が資産全体に与えるダメージを和らげることができます。
4. 日銀利上げへの家計対策を検討する
政策金利1.0%という31年ぶりの水準は、今後の家計にも影響を与えます。変動金利の住宅ローンをお持ちの方は、固定金利への切り替えを検討するタイミングかもしれません。また、銀行預金の金利も徐々に上昇傾向にあるため、定期預金の金利を定期的にチェックする習慣もつけてみましょう。
5. 「今が底か?」を当てようとしない
「今日が底値だ」「来週には戻る」——そんな予測は、プロの機関投資家でも当てることが極めて難しいものです。個人投資家がマーケットタイミングを読もうとしても、精度は上がりません。それよりも「いつ買ってもいいようなルールを作って自動的に積み立てる」という仕組みを整える方が、長期的には優れた結果をもたらすことが多いとされています。
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注意点・NG行動
NG①:急落を見て全額売却する
「これ以上下がる前に全部売ろう」という衝動は、最も避けるべき行動の一つです。売却した後に相場が反転すると、損失を確定したうえで上昇の恩恵も受けられないという最悪の結果になりかねません。今回の6/25の急反騰(3,191円高)がその典型例です。
NG②:急落を見て「今がチャンス!」と一括投資する
逆に「暴落は絶好の買い場」と判断して、手持ちの余裕資金を一気に投入することも慎重に考えるべきです。「V字回復するかどうか」は誰にもわかりません。追加投資を検討する場合も、一括ではなく分割での購入を基本とすることが無難です。
NG③:SNSの「確実に上がる銘柄」情報を信じる
相場の乱高下局面ではSNS上に根拠不明な情報が飛び交います。「必ず上がる」「今すぐ買え」といった断定的な表現は、投資の基本原則に反します。どんな投資にもリスクがあり、損失が出る可能性があることを常に念頭に置いてください。
NG④:特定の材料だけを根拠に大きなポジションを取る
「マイクロンが好決算だから半導体株を全力買い」のような判断は危険です。一つの材料が翌日には別の材料で打ち消されることがあるのが、今週の相場が示した現実です。
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まとめ
2026年6月の最終週、日本の株式市場はわずか数日間で急落・最高値更新・再急落という激しい乱高下を経験しました。背景には半導体セクターへの需要懸念と期待の交錯、そして日銀の31年ぶりの政策金利1%への引き上げ、FRBの「年内利上げ示唆」という金融政策の大転換が重なっています。
これだけの激震を目の当たりにすると、「今すぐ何かしなければ」と焦る気持ちが生まれるのは自然なことです。しかし長期投資の観点では、相場の短期的な乱高下は「想定内の揺れ」であることがほとんどです。
大切なのは、焦って感情的な判断をするのではなく、自分の投資目的・時間軸・リスク許容度を改めて確認し、それに沿った行動を続けることです。
投資は自己責任が原則です。 本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。投資の判断は必ずご自身の責任において、必要に応じて専門家のアドバイスを参考にしながら行ってください。損失が生じた場合も、その責任はすべてご自身に帰属します。
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