
「投資信託を売りたいけど、いくらで売れるのか、いつ入金されるのかよく分からない…」

「株と違って、売る時点では価格が決まっていないのが投資信託の特徴です。流れを整理しておきましょう。」
結論から言うと、投資信託の売却(解約・換金)は、申込をした時点では売却価格が決まらず、入金も数営業日後になるのが一般的です。株の「指値注文」のように、今見えている価格で売る感覚とは少し違います。この記事では、投資信託を売却するときの流れと、初心者が知っておきたい3つのポイントを解説します。
なお、投資信託は価格変動により元本割れする可能性があります。本記事は情報提供を目的としており、特定の商品の売却や購入を推奨するものではありません。仕組みや日数はファンドや販売会社によって異なるため、実際の条件は各ファンドの目論見書や販売会社の案内でご確認ください(執筆時点:2026年10月)。
投資信託の売却は「解約」「換金」とも呼ばれる
投資信託を売ることは、販売会社(証券会社や銀行など)の画面では「解約」「換金」「売却」など、さまざまな名前で表示されます。基本的にはどれも同じ意味で、保有している投資信託を現金に換える手続きを指します。
株の売却との違い
株は、取引時間中に「いくらで売る」と指定して売買できます。一方、投資信託は1日に1つの価格(基準価額)で取引する仕組みが一般的です。
| 項目 | 株 | 投資信託 |
|---|---|---|
| 価格が決まるタイミング | 取引時間中(注文時や約定時) | 申込後(申込日当日または翌営業日の基準価額が一般的) |
| 価格の指定 | 指値・成行が選べる | 基本的に選べない |
| 入金までの日数 | 約定日から数営業日 | ファンドにより異なり、数営業日〜10営業日程度かかることもある |
※上記は一般的な傾向です。ファンドごとに異なるため、必ず目論見書や販売会社の案内で確認してください。
売却の流れを5ステップで確認
投資信託を売却するときの一般的な流れは、次のとおりです。
1. 売却する口座と数量(金額)を確認する
特定口座・NISA口座など、どの口座で保有しているかを確認します。NISA口座で売却した場合は、売却した分の非課税枠が翌年以降に復活する仕組みがありますが、売却するとその分の枠は当年中には再利用できない点にも注意が必要です(制度は変更される可能性があるため、最新は金融庁や販売会社の公式情報をご確認ください)。
2. 解約の注文を出す
販売会社の画面から、口数または金額を指定して解約を申し込みます。このとき、売却価格はまだ分かりません。「申込日の基準価額」または「申込日の翌営業日の基準価額」など、ファンドごとに決まったルールで価格が決まります。
3. 約定(基準価額が決まる)
申込後、基準価額が公表されると、売却の価格が確定します。申込時点では、前日までの基準価額を目安にしか見られないことが多く、実際の価格とは差が出る可能性があります。
4. 受渡日に入金される
売却代金は、約定の数営業日後に口座へ入金されます。海外の資産に投資するファンドでは、現地の休日や決済のタイミングの関係で、日数が長くなる場合があります。
5. 税金を確認する
特定口座(源泉徴収あり)の場合は、利益が出ていれば売却時に税金が差し引かれて入金されるのが一般的です。NISA口座の場合は、一定の範囲で売却益が非課税となります。税金の具体は、最新の国税庁の情報や税務署・税理士にご確認ください。
初心者が知っておきたい3つのポイント
ポイント1:売却価格は「申込時点では分からない」
画面に表示された基準価額で売れるわけではありません。相場が大きく動いた日には、申込時に見ていた価格と、実際に約定する価格にズレが出ることがあります。「いくらで売れるか」は、約定後に初めて確定すると考えておきましょう。
ポイント2:お金が必要な日から逆算して余裕を持つ
売却代金が入金されるまでには数営業日かかるため、「急にお金が必要になったので今日売る」では間に合わないことがあります。支払いの期限が決まっているお金は、あらかじめ現金で確保しておくのが基本です。
これは、投資を始める前に準備したい「生活防衛資金」の考え方にも通じます。生活費や近い将来に使う予定のお金は、投資に回さず別に確保しておきましょう。
ポイント3:解約時のコストを確認する
ファンドによっては、解約時に「信託財産留保額」という費用がかかる場合があります。これは、解約するときに差し引かれ、ファンドに残る費用で、販売会社の手数料ではありません。かからないファンドも多くあります。
また、解約手数料が設定されているものもあります。保有する投資信託にどんな費用がかかるかは、目論見書の「手続・手数料等」の項目で確認できます。
売却で初心者がやりがちなNG行動
- 値下がりが怖くなって、慌てて全額を解約してしまう:長期・分散・積立の方針を決めていたなら、感情的な売却は避けたいところです。売却する理由とルールを先に決めておきましょう。
- 約定日・受渡日を確認せずに、支払い予定に当ててしまう:入金が間に合わず、資金繰りに困る恐れがあります。
- 売却後の再投資や税金を考えずに手続きを進める:NISAの枠や、課税口座での税金の扱いを事前に確認しましょう。
- SNSの「今が売り時」といった意見だけで判断する:相場の先行きを断定できる人はいません。最終判断はご自身の責任で行いましょう。
売却前のセルフチェック
売却ボタンを押す前に、次の点を確認してみてください。
- なぜ売るのか(目的や理由を言葉にできるか)
- いつまでにお金が必要か(入金日から逆算できているか)
- どの口座で、いくら分売るか
- かかる費用(信託財産留保額・手数料)と、税金の扱い
- 売らずに積立を止める、金額を減らすなど他の選択肢はないか
リスクと注意点
投資信託は元本保証ではなく、価格変動により元本割れする可能性があります。また、解約の条件や入金までの日数は、ファンドや販売会社によって異なります。制度や税制は変更される場合があるため、最新の情報は金融庁・投資信託協会・各販売会社の公式サイトでご確認ください。
📰 出典:投資信託協会「投資信託の基礎知識」
まとめ:「売る」前に流れとルールを知っておこう
投資信託の売却は、申込時点で価格が決まらず、入金も数営業日後になる点が株との大きな違いです。「いつ使うお金か」を逆算し、費用や税金を確認したうえで、落ち着いて判断することが大切です。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

