
「もし親がビットコインを持ったまま亡くなったら、相続ってどうなるんだろう…」

「家族に仮想通貨を贈与したいけど、税金がどれくらいかかるのか分からなくて不安」
結論から言うと、仮想通貨(暗号資産)は株式や現金などと同じように、相続税・贈与税の課税対象になる財産です。「デジタル資産だから税務署には分からない」ということはなく、取得した人が申告・納税の義務を負います。この記事では、仮想通貨を相続・贈与で受け取った場合の考え方と評価方法、申告時に注意したいポイントを、初心者向けに整理して解説します。
※ 本記事は一般的な仕組みの解説を目的としたもので、個別の税額計算や申告方法を助言するものではありません。実際の申告にあたっては、必ず税理士・税務署にご確認ください。
仮想通貨の相続・贈与で悩みがちなポイント
仮想通貨は現金や上場株式と違い、通帳や証券口座の残高のように誰の目にも見える形で管理されているわけではありません。取引所の口座やウォレットの中で完結してしまうため、次のような不安を感じる方が多いようです。
- 家族が仮想通貨を持っていたことに、亡くなった後で気づいた
- 相続税がかかるのかどうか、そもそも分からない
- 贈与したいが、いくらまでなら税金がかからないのか分からない
- 価格が変動する資産なので、いつの時点の金額で計算すればいいのか分からない
国税庁は暗号資産の税務上の取り扱いについてFAQを公表しており、相続・贈与の場面でも基本的な考え方が整理されています。
📰 出典:国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」
解決策・考え方 仮想通貨の相続・贈与で押さえておきたい基本
1. 仮想通貨も相続税・贈与税の課税対象になる
暗号資産は法律上「財産的価値」を持つものとされており、現金・預金・株式などと同じく、相続や贈与によって取得すれば相続税・贈与税の課税対象になります。「非課税の特別な資産」ではない、という点がまず大前提です。
2. 評価額は「課税時期の取引価格」が基準になる
相続や贈与で取得した暗号資産の評価は、一般的に、取引を行っている暗号資産交換業者が公表する、相続開始日(死亡日)や贈与日など課税時期における取引価格をもとに計算するとされています。仮想通貨は価格変動が大きいため、「どの時点の価格を使うか」を正確に把握しておくことが重要です。証拠として、取引所の取引履歴や、課税時期の価格が分かる資料を保存しておくと安心です。
3. 贈与税には基礎控除があるが、仮想通貨だけの特例はない
贈与税には年間110万円の基礎控除(暦年課税の場合)がありますが、これは仮想通貨に限った特別な非課税枠ではなく、現金・株式などを含めた贈与全体に共通する一般的な制度です。「仮想通貨なら特別に非課税」という情報は誤りですので注意してください。具体的な控除額や制度の適用については、贈与を行う時点の最新の税制を国税庁の公式情報や税理士に確認することをおすすめします。
4. 相続時に「取引所に口座があること」自体が分かりにくい
現金や不動産と違い、仮想通貨は本人しかログイン情報や秘密鍵を知らないケースが多く、相続人が資産の存在に気づけないリスクがあります。生前から、家族が「どの取引所に口座を持っているか」程度の情報だけでも共有しておく、あるいは専門家に相談してエンディングノート等に記録しておくといった備えが、相続トラブルの予防につながります(パスワードそのものを紙に書いて共有することはセキュリティ上のリスクもあるため、管理方法は慎重に検討してください)。
5. 相続後に売却した場合は、別途所得税(雑所得)がかかる場合がある
相続税・贈与税を納めた後、その仮想通貨を売却して利益が出た場合は、原則として雑所得として所得税の課税対象になります。相続税と売却時の所得税は別の税金であるため、「相続税を払ったから売却益にも税金はかからない」という誤解をしないよう注意が必要です。取得費の考え方(被相続人の取得価額を引き継ぐケースが多いとされます)も含め、具体的な計算は税理士・税務署に確認してください。
実践する際の注意点・リスク
- 価格変動リスク: 仮想通貨は株式以上に価格変動が大きいとされる資産です。相続税評価額を計算した時点と、実際に売却する時点とで大きく価格が変わる可能性があります。
- ハッキング・紛失リスク: 秘密鍵やパスワードを紛失すると、相続した資産にアクセスできなくなる可能性があります。管理は金融庁登録の暗号資産交換業者を利用するなど、信頼できる方法で行うことが望ましいとされています。
- 詐欺・怪しい相続対策への注意: 「仮想通貨なら相続税がかからない」「海外の無登録業者を使えば申告しなくてよい」といった話は、税務上の問題や詐欺のリスクがあるため絶対に鵜呑みにしないでください。
- 申告漏れのリスク: 相続財産に含めず申告すると、後日、追加で税金や加算税を求められる可能性があります。仮想通貨も他の財産と同様に、漏れなく申告することが大切です。
- 制度・取り扱いは変わる可能性: 税制や評価方法の詳細は見直されることがあります。本記事は執筆時点の一般的な情報であり、最新の内容は国税庁の公式情報でご確認ください。
まとめ 仮想通貨も「特別扱いされない財産」として備えておく
仮想通貨は「デジタルだから税金がかかりにくい」という特別な資産ではなく、現金や株式と同じように相続税・贈与税の対象になります。評価は課税時期の取引価格が基準になること、贈与税の基礎控除は仮想通貨専用の特例ではないこと、相続後の売却益には別途所得税がかかりうることなど、基本的な仕組みを押さえておくだけでも、いざというときの混乱を減らせます。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・暗号資産の売買や、税額・申告方法を保証・助言するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きくハイリスクな資産であり、詐欺やハッキングによる資産消失のリスクもあります。取引は金融庁登録の暗号資産交換業者を利用し、余剰資金の範囲で行い、相続・贈与・税金に関する具体的な判断は税理士・税務署など専門家にご確認ください。

