NISA口座なのに配当金に税金が引かれた?初心者が見落としがちな「受取方式」の注意点

株式投資

「NISA口座で日本株を買ったのに、配当金の明細を見たらしっかり税金が引かれてる…どうして?」

「NISAって配当金も非課税になるんじゃなかったの?なんだか損した気分…」

結論から言うと、NISA口座で保有している株式の配当金を非課税で受け取るには、配当金の「受取方式」を株式数比例配分方式にしておく必要があります。この設定をしていないと、NISA口座で株を保有していても配当金には通常どおり約20%の税金がかかってしまいます。意外と知られていない落とし穴で、証券会社のFAQにもたびたび登場する定番の疑問です。

この記事では、なぜNISA口座なのに配当金が課税されてしまうのか、その原因と確認・変更の手順、注意点を初心者向けに整理します。なお、本記事は2026年8月時点の情報をもとにしており、投資信託の分配金とは扱いが異なる点にも触れていきます。制度の詳細や最新情報は必ず金融庁や利用中の証券会社の公式ページでご確認ください。

なぜNISA口座でも配当金が課税されることがあるのか

配当金の受取方式には主に4種類ある

上場株式の配当金は、実は受け取り方を証券会社にあらかじめ登録する仕組みになっており、代表的なものとして次の4方式があります。

  • 配当金領収証方式:郵送されてくる配当金領収証を郵便局等の窓口に持参して受け取る方式
  • 登録配当金受領口座方式:あらかじめ指定した銀行口座などで、保有するすべての銘柄の配当金をまとめて受け取る方式
  • 個別銘柄指定方式:銘柄ごとに異なる金融機関口座で受け取る方式
  • 株式数比例配分方式:証券会社の取引口座で、保有株数に応じて配当金を受け取る方式

📰 出典:日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」

このうち、NISA口座の非課税メリットが適用されるのは「株式数比例配分方式」を選択している場合だけです。それ以外の3つの方式では、たとえNISA口座で株式を保有していても、配当金の支払い自体は通常の課税口座と同じ扱いになり、税金が差し引かれてしまいます。

証券会社によっては、口座開設時に自動的に株式数比例配分方式が設定されている場合もありますが、他の証券会社から口座を引き継いだ場合や、以前から取引をしていた口座でNISAを追加した場合などは、意図せず別の方式のままになっているケースもあるようです。「NISA口座を開設してあるから配当は自動的に全部非課税」と思い込まず、一度自分の設定を確認しておくと安心です。

課税対象になるのは「上場株式・ETF・REIT」の配当金・分配金

もう一つ、初心者が混同しやすいポイントがあります。それは、受取方式の設定が必要になるのは上場株式・ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)の配当金・分配金に限られるという点です。

📰 出典:SBI証券「NISA口座預りの国内上場株式の配当金を非課税にするために、配当金受領方法は何を登録すればいいのか教えてください。」

一方、いわゆる投資信託(つみたてNISAや成長投資枠で購入する公募株式投資信託)の分配金については、受取方式の設定にかかわらず、NISA口座で保有していれば自動的に非課税になります。「投資信託の分配金は特に手続き不要、上場株式の配当金は受取方式の設定が必要」という違いを覚えておくと、混乱を防げます。

【一例】受取方式の違いで手取りはどれくらい変わる?

イメージをつかむために、簡単な試算をしてみましょう。仮に年間の配当金が10,000円だった場合で比較します(あくまで一例であり、実際の配当額や税額を保証するものではありません)。

  • 株式数比例配分方式(非課税が適用される場合):税金が引かれず、10,000円をそのまま受け取れる
  • それ以外の方式(課税されてしまう場合):所得税・住民税等(合計20.315%)が源泉徴収され、手取りはおよそ7,969円程度になる

同じ配当金額でも、受取方式の設定だけでこれだけの差が生まれる可能性があります。長期で積み立てながら配当を受け取るスタイルの方ほど、この差は積み重なっていきますので、早めに設定を見直しておく価値は大きいといえるでしょう。

「株式数比例配分方式」とはどんな仕組み?

📰 出典:野村證券 証券用語解説集「株式数比例配分方式」

株式数比例配分方式は、複数の証券会社で同じ銘柄を保有している場合でも、それぞれの証券会社での保有株数に応じて配当金・分配金が按分され、各証券会社の取引口座(特定口座やNISA口座を含む)に入金される仕組みです。証券会社の口座でそのまま受け取れるため、再投資や他の取引への資金活用もしやすくなります。

一度設定すると、すべての証券会社の口座に共通で適用される

📰 出典:SBI証券「配当金受領サービスの『株式数比例配分方式』について教えてください。」

ここで特に注意したいのが、株式数比例配分方式は証券保管振替機構(通称「ほふり」)を通じて金融機関の間で共有されるという点です。つまり、複数の証券会社に口座を持っている場合、どこか1社で株式数比例配分方式に変更すると、他の証券会社で保有している上場株式等についても、自動的にこの方式が適用されます。

逆に言えば、証券会社ごとに個別に設定を変えることはできません。「メインで使っている証券会社だけ設定すればいい」というものではなく、名義人単位で一括して切り替わる仕組みだと理解しておきましょう。複数の証券会社でNISA口座や特定口座を使い分けている方は、この共有の仕組みを知らずに「あれ、こっちの口座も方式が変わっている」と戸惑うことがあるようです。

課税されていないか確認・変更する3つのステップ

自分の配当金が非課税になっているか不安な方は、次の3ステップで確認・対処してみましょう。

1. 現在の受取方式を確認する

多くのネット証券では、マイページの「口座管理」や「登録情報」といったメニューから、現在登録されている配当金の受取方式を確認できます。まずは自分がどの方式になっているかをチェックしてみてください。

2. 株式数比例配分方式に変更する

現在の方式が株式数比例配分方式以外になっていた場合は、証券会社のウェブサイトや所定の手続き画面から変更手続きを行います。手続き自体は難しいものではなく、オンラインで完結できる証券会社がほとんどです。

3. 反映のタイミングに注意する

見落としがちなのが、設定変更の反映には一定の日数がかかるという点です。配当金を非課税で受け取るには、原則として配当金の権利が確定する基準日までに変更手続きが完了している必要があり、手続きから反映まで1週間程度かかることもあるとされています。「配当金が入金される直前に慌てて変更した」というタイミングでは、その回の配当には間に合わず課税されてしまう可能性がある点に注意してください。

なお、一度課税されて支払われてしまった配当金について、後から証券会社の手続きだけで非課税分が自動的に還付されるわけではありません。確定申告など個別の対応が必要になるかどうかは状況によって異なりますので、心配な場合は税務署や税理士に確認することをおすすめします。

気をつけたい3つの注意点

  • すでに支払われた配当金は遡って戻らないのが原則:受取方式の変更はあくまで「これから受け取る配当金」に対する対策です。過去分の扱いに疑問がある場合は、証券会社や税務署に確認しましょう。
  • 特定口座・一般口座にも同じ方式が適用される:株式数比例配分方式はNISA口座専用の設定ではなく、同じ証券会社(グループ)内の特定口座・一般口座にも共通して適用されます。特定口座での配当金の受け取り方にも影響することを理解しておきましょう。
  • 非課税は「配当そのものを保証するもの」ではない:受取方式を正しく設定しても、企業の業績が悪化すれば減配・無配になる可能性はゼロではありません。株式投資である以上、株価の値下がりによる元本割れのリスクも常に伴います。「非課税=安全・確実」という意味ではない点を忘れないようにしましょう。

よくある質問

Q. 特定口座で比例配分方式にすると、他の口座の配当まで非課税になりますか?

いいえ、非課税になるのはあくまでNISA口座で保有している上場株式等の配当金だけです。株式数比例配分方式は「配当金をどの口座で受け取るか」という受取先の設定であり、特定口座や一般口座で保有している株式の配当金は、これまでどおり源泉徴収の対象になります。「受取方式の統一」と「非課税になるかどうか」は別の話だと整理しておきましょう。

Q. つみたてNISAで投資信託しか買っていない場合も、この設定は必要ですか?

投資信託の分配金は受取方式にかかわらず非課税になるため、投資信託のみを保有している場合は基本的に大きな影響はありません。ただし、将来的に成長投資枠で個別株やETF・REITの購入を検討する場合に備えて、仕組みを知っておくと安心です。

Q. 米国株など外国株式の配当金にも同じ対応で十分ですか?

外国株式の配当金は、現地の税制に基づいて外国での源泉徴収が行われる場合があり、国内の受取方式の設定だけでは非課税にならないケースがあります。外国株式のNISA口座での配当金の扱いは商品や国によって異なるため、保有する銘柄がある場合は、証券会社の公式情報や国税庁の案内で個別に確認することをおすすめします。

まとめ 小さな設定漏れで非課税メリットを逃さないために

NISA口座を開設していても、配当金の受取方式が「株式数比例配分方式」になっていなければ、上場株式の配当金には通常どおり税金がかかってしまいます。一方で、投資信託の分配金はこの設定にかかわらず非課税になるなど、商品によって扱いが異なる点も紛らわしいポイントです。

  • 配当金の受取方式は4種類あり、非課税が適用されるのは株式数比例配分方式のみ
  • 対象は上場株式・ETF・REITの配当金や分配金(投資信託の分配金は設定不要で非課税)
  • 設定は証券会社をまたいで共通適用され、反映には日数がかかることがある

せっかくNISA口座を活用しているのであれば、こうした細かい設定漏れで非課税メリットを取りこぼすのはもったいないことです。まずは今お使いの証券会社のマイページで、配当金の受取方式を一度確認してみてはいかがでしょうか。

なお、配当金の受取方式や税制の取り扱いは金融機関や制度改正によって変わる可能性があります。本記事の内容は執筆時点(2026年8月時点)の情報であり、最新の内容は必ず金融庁や利用されている証券会社の公式サイトでご確認ください。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクが伴います。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

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