暗号資産を「担保」にすると何が起きる?ビットコイン担保ローンの強制清算リスクとAVAX保有企業の上場廃止危機から学ぶ注意点

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「ビットコインを売らずに、担保にしてお金を借りられるサービスがあるって聞いたんだけど…」

「暗号資産を大量に保有している会社の株を買うのも、ビットコインを持つのと同じことなのかな?」

結論から言うと、暗号資産を担保にお金を借りる「暗号資産担保ローン」には、価格下落時に強制的に売却される「強制清算」のリスクがあります。また、暗号資産を大量に保有する上場企業の株式も、暗号資産そのものを保有するのとは別の「上場基準」に関わるリスクを抱えることがあります。2026年8月に報じられた2つのニュースを題材に、暗号資産と関わる際に見落としがちなリスクについて整理します。

※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・サービスの利用や、個別の暗号資産・銘柄の売買を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

ニュースの要点整理 暗号資産をめぐる2つの「見えにくいリスク」

(1) ビットコイン担保ローンの強制清算リスク

[引用元:4.5万ドルが分岐点?ビットコイン担保ローンに強制清算リスク|CRYPTO TIMES|https://crypto-times.jp/news-risk-of-forced-liquidation-for-bitcoin-backed-loans/]によると、ある企業が保有するビットコイン担保ローンについて、2026年7月末時点で残高1,800万ドル、担保として差し入れているビットコインは479BTC(約3,010万ドル相当)、融資比率(LTV)は59.8%と報じられています。この契約では、ビットコイン価格が1BTCあたり約45,093ドルまで下落すると追加担保の請求が可能になり、必要証拠率が120%を下回ると貸し手の裁量で即時の清算(強制売却)が行われうるとされています。清算時には売却代金の1%が手数料としてかかり、担保だけで返済しきれない不足分は借り手が負担する仕組みだと報じられています。

(2) AVAX保有企業がナスダックから2つの不備通知

[引用元:AVAX保有企業にナスダックが2つの不備通知|基準回復に株価3倍必須|CRYPTO TIMES|https://crypto-times.jp/news-nasdaq-issues-two-deficiency-notices-to-company-holding-avax/]によると、暗号資産アバランチ(AVAX)を1,500万枚超保有し、うち720万枚超をステーキングしているとされる企業「アバランチ・トレジャリー・コーポレーション」が、ナスダックから2件の上場基準不備の通知を受けたと報じられています。1つは終値ベースの株価が1ドルを33営業日連続で下回ったこと、もう1つは上場証券の時価総額が3,500万ドルを下回ったことによるもので、2027年2月2日までに基準を回復できなければ上場廃止の対象になりうるとされています。報道時点の株価は約0.34ドルで、1ドルの基準を満たすには単純計算で株価が3倍程度になる必要があるとされています。

この2つのニュースはいずれも、2026年8月上旬に相次いで報じられたものです。同じ「暗号資産」というテーマの中でも、直接保有する場合とは異なるリスクの形があることを示す事例といえます。

筆者の私見・考察 「保有方法」によってリスクの種類が変わる

あくまで筆者の私見ですが、この2つの事例から見えてくるのは、「暗号資産に関わる」といっても、その関わり方によってリスクの性質がまったく異なるという点です。

現物のビットコインをそのまま保有している場合、価格が下落しても「含み損」が生じるだけで、自分から売却しない限り損失は確定しません。しかし、暗号資産を担保にお金を借りる場合は話が別です。価格が一定水準を下回ると、自分の意思とは関係なく担保が強制的に売却される可能性があります。これは、株式投資における信用取引の追証(おいしょう)や強制決済の仕組みと似た構造であり、「現物保有」と「担保に入れる」ことの間には、リスクの質に大きな違いがあることが分かります。

一方、AVAX保有企業の事例は、また別の角度のリスクを示しています。仮に自分がAVAXそのものではなく、AVAXを大量保有する企業の「株式」を買っていたとしたら、その株価はAVAXの価格変動に連動しつつも、それに加えて上場基準の維持やステーキング報酬の状況、企業経営そのものの巧拙といった、暗号資産の値動きとは別の要因の影響も受けることになります。つまり、暗号資産関連企業の株式は「暗号資産への投資」であると同時に「その企業の経営への投資」でもあり、両方のリスクを合わせて背負う形になるといえます。

資産形成への発展 「同じ資産クラス」でもリスクの取り方は一つではない

この2つの事例から、資産形成における一つの学びとして「同じ暗号資産というテーマに関わる場合でも、関わり方によってリスクの取り方はまったく異なる」という視点が浮かび上がります。

  • 現物を保有する:値下がりで含み損は生じるが、自分で売却しない限り損失は確定しにくい
  • 担保にして借り入れる(レバレッジをかける):価格下落時に強制的な清算が発生しうる、いわば「自分の意思で止められないリスク」を伴う
  • 関連企業の株式を保有する:暗号資産の値動きに加え、その企業の経営状況や上場基準の維持といった別のリスクも同時に背負う

同じ「暗号資産に関わる」という選択でも、これだけリスクの形が違うということは、「暗号資産に投資している」という言葉だけでは、実際にどの程度のリスクを取っているのか判断できないことを意味します。資産形成を考える際は、自分が保有しようとしている(あるいは既に保有している)商品が、上記のどの関わり方に近いのかを確認する視点を持つことが大切です。

具体的なアクション・心構え

  • 暗号資産担保ローンやレバレッジを伴うサービスを利用する前に、どの価格水準で追加担保が必要になり、どの水準で強制清算が行われるのかという「契約条件」を必ず確認する
  • 「価格が上がる前提」でレバレッジを組まず、下落した場合に何が起きるかを具体的な数字でシミュレーションしてから利用を検討する
  • 暗号資産関連企業の株式を検討する際は、その企業が保有する暗号資産の数量や評価額だけでなく、上場基準の維持状況や本業の収益力もあわせて確認する
  • どの関わり方であっても、失っても生活に支障が出ない「余剰資金の範囲」にとどめる

注意点・NG行動

  • 「担保にしているだけだから売ったわけではない」と考え、強制清算のリスクを軽視してしまう
  • 暗号資産担保ローンの金利の低さやレバレッジ効果だけに注目し、清算条件を確認しないまま契約してしまう
  • 「暗号資産関連企業の株式=暗号資産そのものへの投資」と同一視し、企業固有の経営リスク・上場廃止リスクを見落としてしまう
  • 上場廃止の可能性が報じられている企業について、根拠なく「もうすぐ破綻する」などと決めつけて発信・拡散する

なお、本記事で紹介した具体的な数値(担保残高・LTV・株価水準など)は、いずれも報道時点(2026年8月)の情報であり、その後変動している可能性があります。最新の状況は各社の公式発表や一次情報でご確認ください。また、暗号資産は価格変動が非常に大きいうえ、ハッキングや詐欺、送金ミスによって資産を失うリスクもあります。利用する際は必ず金融庁登録の暗号資産交換業者を選び、利益が出た場合は雑所得として確定申告が必要になる場合がある点にも注意してください。税金の具体的な取り扱いは税務署・税理士にご確認ください。

まとめ 「保有・担保・株式」でリスクの中身は変わる

ビットコイン担保ローンの強制清算リスクと、AVAX保有企業のナスダック上場廃止危機という2つのニュースは、いずれも「暗号資産にどう関わるか」によってリスクの中身が変わることを示しています。現物保有・担保差し入れ・関連企業株式の保有は、それぞれ異なる種類のリスクを伴います。暗号資産に関わる際は、値動きだけでなく「自分がどういう形でリスクを取っているのか」を具体的に確認し、余剰資金の範囲で、長期的な視点を保ちながら判断することが大切です。

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