株で損失が出たとき、「損は損で終わり」と思っていませんか。実は上場株式等の譲渡損失は、確定申告をすることで他の利益と相殺したり、翌年以降に繰り越したりできる仕組みがあります。この記事では、損益通算と繰越控除の基本と、初心者がつまずきやすい注意点を整理します。なお、税制は改正されることがあり、本記事は2026年10月時点の一般的な内容です。最新の取り扱いは国税庁の公式情報や税務署・税理士にご確認ください。

「損が出た年は、確定申告しなくていいんですよね?」

「申告しないと使えない制度があるんだ。仕組みを順番に見ていこう」
損益通算とは?
損益通算とは、同じ年の中で出た利益と損失を合算(相殺)して、課税される金額を計算する考え方です。たとえば同じ年に、A株の売却で10万円の利益、B株の売却で4万円の損失が出た場合、合算した6万円が課税対象になります。
特定口座(源泉徴収あり)で取引している場合、同じ口座内の損益は年間で自動的に通算されます。一方、証券会社が複数にまたがるときは、口座ごとに計算されるため、確定申告で通算する必要があります。
繰越控除とは?
繰越控除とは、その年に引ききれなかった譲渡損失を、翌年以降最長3年間にわたって繰り越し、将来の株式の譲渡益や配当所得から差し引ける制度です。
- 対象になるのは上場株式等の譲渡損失です
- 損失が出た年に確定申告をしていることが条件です(特定口座の源泉徴収ありで申告不要でも、繰越しには申告が必要)
- 繰り越した後も、利益が出ない年を含めて毎年、確定申告を続ける必要があります
筆者の見方:「申告の手間」と「使える制度」を比べて考える
ここからは筆者の見方です。確定申告は手間がかかるため、損失が出た年は面倒に感じる人が多いと思います。ただ、翌年以降に利益が出たとき、繰り越した損失で税金の負担が軽くなる可能性があります。「申告するかどうか」は、手間だけでなく将来の選択肢まで含めて考えたいところです。
初心者が知っておきたい3つの注意点
- NISA口座の損失は対象外:NISA口座で出た損失は、損益通算も繰越控除もできません。課税口座の損益とは切り離して考えます
- 申告しないと繰り越せない:損失が出た年に申告を忘れると、原則としてその年の損失を後から繰り越すことはできません。期限は税務署や国税庁の案内で確認しましょう
- 対象外の損益がある:暗号資産やFXなどは別の区分で扱われ、株の損失と通算できません。何が同じ区分かを確認します
注意点・NG行動
- 「損失が出たら税金が戻る」と断定的に考えない(利益や源泉徴収の有無によって異なります)
- 節税目的で無理に売買する、損出しを前提に取引を組み立てるのは避ける
- 自己判断が難しいときは、税務署や税理士に相談する
まとめ
損益通算と繰越控除は、損失が出た年の負担をやわらげる可能性のある制度ですが、使うには確定申告が必要です。長期・分散・積立を基本に、記録を残しておくことが、いざというときの備えになります。
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買や節税を推奨するものではありません。投資は元本割れのリスクがあり、ご自身の判断と自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。税制は変更されることがあるため、最新情報は国税庁など公式情報をご確認ください。

