暗号資産の損益計算とは?「総平均法」と「移動平均法」の違いと、初心者が知っておきたい3つの注意点

仮想通貨

「ビットコインを何回かに分けて買ったけど、利益っていくらになるの?」

「買った値段がバラバラだと、計算の仕方で変わりそうで不安…」

結論から言うと、暗号資産の利益は「売った金額」から「売った分の取得価額」を引いて計算し、取得価額の出し方には「総平均法」と「移動平均法」という方法があります。どちらを使うかで、同じ取引でも計算上の金額が変わることがあります。この記事では、仕組みと初心者が知っておきたい3つの注意点を、仮の数字で解説します。

※ 本記事は2026年10月時点の一般的な内容です。税金の取り扱いは変わることがあり、個別のケースで結論は異なります。具体的な計算や申告は、必ず国税庁の最新情報を確認し、税務署や税理士にご相談ください。

暗号資産の利益はどう計算する?基本の考え方

暗号資産を売却したり、他の暗号資産と交換したり、商品の支払いに使ったりしたときの利益は、原則として次の式で考えます。

利益 = 売却した金額(収入)- 売却した分の取得価額 - 必要経費

暗号資産の利益は、原則として雑所得に区分されると説明されています。詳しくは国税庁の公表情報をご確認ください。

📰 出典:国税庁

ここで難しいのが「売却した分の取得価額」です。何度かに分けて、違う価格で買っていると、「どの買い値の分を売ったか」を決めるルールが必要になります。そのルールが、次の2つの方法です。

総平均法と移動平均法の違い

総平均法とは

1年間(1月1日〜12月31日)の購入分をまとめて、年間の平均単価を出す方法です。

平均単価 =(年初の保有分の取得価額の合計 + 年間の購入額の合計)÷(年初の保有数量 + 年間の購入数量)

移動平均法とは

購入のたびに、その時点での平均単価を計算し直す方法です。売却したときは、その時点の平均単価をもとに取得価額を計算します。

仮の数字で比べてみる

次の取引があったとします(実際の相場とは関係ない仮の例です)。

時期取引数量単価
1月購入0.1BTC300万円
6月売却0.05BTC400万円
9月購入0.1BTC500万円

総平均法の場合

年間の購入額は 30万円+50万円=80万円、購入数量は 0.2BTC なので、平均単価は 400万円です。

売却0.05BTCの取得価額は 400万円×0.05=20万円。収入は 400万円×0.05=20万円なので、利益は0円です。

移動平均法の場合

6月の売却時点の平均単価は、1月購入分のみなので 300万円です。

売却0.05BTCの取得価額は 300万円×0.05=15万円。収入は20万円なので、利益は5万円です。

同じ取引でも、方法によって計算上の利益が0円か5万円かで変わりました。売却の前後に購入が挟まると、こうした差が出やすくなります。

初心者が知っておきたい3つの注意点

注意点1:計算方法で利益額が変わるため、あとから都合で選べない

どちらの方法で計算するかは、一定のルールのもとで選びます。届出をしなかった場合は総平均法で計算すると説明されています。また、一度選んだ方法は継続して使うことが前提で、「その年だけ有利な方法に変える」ことはできません。

選び方や変更の手続きは、国税庁の案内を確認し、税務署や税理士に相談しましょう。

注意点2:売却だけでなく、交換や支払いも計算の対象になりうる

暗号資産を日本円に換える場合だけでなく、別の暗号資産と交換したときや、商品の支払いに使ったときも、損益の計算が必要になることがあります。「円に戻していないから関係ない」と思い込まないことが大切です。

注意点3:取引所をまたぐ場合は、自分で合算する必要がある

取引所が提供する年間の取引報告書は、基本的にその取引所の取引分が中心です。複数の取引所を使っていたり、取引所とウォレットの間で送金したりしている場合は、全体をまとめて計算する必要があります。

取引の記録(日時・数量・単価・手数料)は、取引所の履歴をダウンロードして、日頃から保存しておくと安心です。

初心者が今できる3ステップ

  1. 取引の記録を保存する:取引所ごとの取引履歴を定期的に保存する
  2. 使っている計算方法を確認する:届出の有無を含め、国税庁の情報で確認する
  3. 迷ったら専門家に相談する:税務署や税理士に、早めに相談する

やりがちなNG行動

  • 記録を残さず、年末にまとめて思い出そうとする
  • 「円に戻していないから課税されない」と決めつける
  • ネットの計算ツールの結果をそのまま申告に使い、検算しない
  • 税金を理由に、金融庁に登録されていない業者や海外の無登録業者を使う

暗号資産のリスクにもご注意を

暗号資産は価格変動が非常に大きく、株式以上にハイリスクとされています。ハッキングや送金ミス、詐欺によって資産を失う可能性もあります。取引は、金融庁に登録された暗号資産交換業者を利用し、失っても生活に困らない余剰資金の範囲で行ってください。「必ず儲かる」「税金がかからない」といった話は詐欺の可能性があるため、近づかないようにしましょう。

まとめ

暗号資産の損益計算では、「総平均法」と「移動平均法」という取得価額の計算方法があり、同じ取引でも利益額が変わることがあります。方法の選び方や変更には決まりがあるため、国税庁の最新情報を確認し、迷ったら税務署や税理士に相談しましょう。日頃の記録の保存が、いちばんの備えになります。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産の購入・売却を推奨するものではありません。また、税務上の助言を行うものでもありません。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。

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