暗号資産(仮想通貨)は、相続の対象になる財産です。ただし、取引所の口座情報やウォレットの復元フレーズが家族に伝わっていないと、資産があることにすら気づかれず、取り出せないまま残ってしまうおそれがあります。この記事では、初心者の方が今日からできる3つの備えを、リスクとあわせて解説します(2026年10月時点の一般的な内容です)。

「もし自分に何かあったら、家族は暗号資産の存在に気づけるのかな…」

「パスワードを誰にも教えていないけど、それって大丈夫?」
暗号資産は値動きが非常に大きく、株式以上にハイリスクな資産です。投資は必ず余剰資金で、失っても生活に困らない範囲で行うことが大原則です。本記事は特定の通貨の購入を勧めるものではありません。
暗号資産は相続の対象になる:まず押さえたい基本
国税庁は、暗号資産を相続した場合の税務上の取扱いについて案内しています。
📰 出典:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(国税庁ホームページ)
一般に、次のように整理されています。
| 項目 | 一般的な考え方 |
|---|---|
| 相続の対象か | 暗号資産も相続税の対象となる財産に含まれる |
| 評価の基準 | 相続開始日(亡くなった日)の時価で評価するのが基本 |
| 申告 | 相続税の申告が必要かは、財産全体の金額で判断される |
| 売却して得た利益 | 相続後に売却した場合の利益は、原則として所得税(雑所得)の対象になりうる |
具体的な評価方法や申告の要否は、財産の内容によって異なります。必ず国税庁の公式情報を確認し、税理士や税務署に相談してください。
暗号資産の相続で起きやすい「3つの困りごと」
1. 資産があること自体に気づかれない
株や預金と違い、暗号資産はお金の動きが銀行口座に出てこないことも多く、郵便物が届かない取引所もあります。家族が「何もない」と思い込んでしまい、そのまま放置されるケースが考えられます。
2. 取引所の口座に入れない
国内の暗号資産交換業者には、相続手続きの窓口が用意されていることが一般的です。ただし、必要書類や手続きの流れは業者ごとに違い、時間もかかります。口座がどこにあるか分からなければ、手続きを始めることもできません。
3. 自分で管理するウォレットは「取り出せない」リスクが高い
自分で管理するウォレット(セルフカストディ)では、復元フレーズ(シードフレーズ)や秘密鍵が分からないと、資産を動かすことができません。取引所のように「本人確認をして解約する」という窓口がないため、情報が失われれば、誰も取り出せなくなるおそれがあります。
家族が困らないための3つの備え
備え1:「どこに何があるか」を一覧にして残す
まずは、次の情報を整理して記録しておきましょう。
- 利用している暗号資産交換業者の名前(金融庁・財務局に登録された業者かどうか)
- 保有している通貨の種類のおおまかな内容
- 自分で管理するウォレットがあるか、あるならその種類と保管場所
- 税金の計算に使う取引履歴の保存場所
ポイント:IDやパスワード、復元フレーズそのものを、メモやメール、チャット、写真などに無防備に残さないことです。流出すると、第三者に資産を盗まれるおそれがあります。
備え2:「存在」と「探し方」だけを家族に伝える
パスワードそのものを共有するのではなく、次のように役割を分ける方法が一般的に考えられます。
- 家族には「暗号資産を持っていること」「記録が保管されている場所」だけを伝える
- 重要な情報は、金庫や貸金庫など、安全な保管場所にまとめる
- 遺言書やエンディングノートに、保管場所の案内を書いておく
どこまでを誰に伝えるかは、家族構成や状況によって最適な方法が異なります。不安な場合は、弁護士・司法書士・税理士などの専門家に相談しましょう。
備え3:持ちすぎない・複雑にしすぎない
相続の面でも、暗号資産は「持ちすぎない」ことが一つの備えになります。取引所を何社も使い分けたり、複数のウォレットに分散させたりすると、家族が把握する負担は大きくなります。
少額から始め、使う業者やウォレットの数を必要最小限にしておくことは、詐欺やハッキングのリスクを減らすことにもつながります。
注意点・NG行動
- 復元フレーズや秘密鍵を、スマホのメモやクラウドに平文で保存する:流出や不正アクセスで資産を失うおそれがあります。
- 「家族に代わりに操作してもらう」ために、ログイン情報を安易に渡す:トラブルや不正利用の原因になりえます。
- 「相続の手続きを代行します」と持ちかけるSNSや業者を信用する:相続を口実にした詐欺に注意し、金融庁登録業者の公式窓口のみを利用しましょう。
- 税金の扱いを自己判断で決めてしまう:相続税・所得税の扱いは状況で変わります。税理士や税務署に確認してください。
- 無登録の海外業者に資産を預ける:相続の手続き自体が難しくなる可能性があり、資産が戻らないリスクもあります。
暗号資産を持つ前に確認したいリスク
暗号資産には、価格が大きく下がるリスク、取引所のハッキング、詐欺、送金ミスによる資産消失など、さまざまなリスクがあります。また、利益には原則として雑所得として税金がかかり、確定申告が必要になる場合があります。
利用する際は、金融庁に登録された暗号資産交換業者であることを確認し、余剰資金の範囲で行いましょう。
まとめ:暗号資産は「持ち方」と同じくらい「残し方」も大切
- 暗号資産は相続の対象になる財産で、評価は相続開始日の時価が基本とされています。
- 資産の存在が伝わらないこと、取引所口座に入れないこと、ウォレットの復元フレーズが失われることが主な困りごとです。
- 「どこに何があるか」の一覧、「存在と探し方だけ」を家族に伝える工夫、持ちすぎない運用が、現実的な備えになります。
- 税金や手続きは変わりうるため、国税庁などの公式情報を確認し、税理士・専門家に相談しましょう。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産の購入・売却や、特定の相続・税務対応を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本を大きく割り込む可能性があります。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。税金・規制は変更されることがあるため、最新の情報は公式サイトをご確認ください(2026年10月時点)。

