投資信託の資料には「リスク(標準偏差)」という項目が載っていることがあります。「リスク」と書かれていても、数字の意味がわからず素通りしてしまった、という方は少なくありません。
この記事では、標準偏差が何を表しているのか、どう読めばよいのか、そして見るときの注意点を初心者向けに整理します。
※本記事は情報提供を目的とし、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資信託は元本が保証されておらず、元本割れの可能性があります。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。(執筆時点:2026年9月30日)
標準偏差とは:リターンの「ブレ幅」を表す数字
投資信託でいう「リスク(標準偏差)」は、運用成績(リターン)が平均からどのくらいブレたかを表す指標です。
- 数字が大きい:リターンのブレ幅が大きい(大きく上がることも、大きく下がることもある)
- 数字が小さい:リターンのブレ幅が小さい(値動きが比較的穏やか)
ここでいう「リスク」は、「損をする確率」ではなく「値動きの大きさ」のことです。
具体例でイメージする
たとえば、年間の平均リターンが同じ「+5%」だったとしても、次のようにブレ幅は違うことがあります(数字はわかりやすくするための仮の例です)。
| ファンドA | ファンドB | |
|---|---|---|
| 平均リターン(年率) | +5% | +5% |
| リスク(標準偏差) | 5% | 20% |
| 年ごとの動きのイメージ | 0%〜+10%程度に収まりやすい | -15%〜+25%程度まで振れやすい |
一般的な目安として、標準偏差は「平均を中心に、おおむね3分の2程度の期間がその範囲内に収まる」と説明されることがあります。ただし、これは過去のデータをもとにした統計上の見方であり、将来の値動きを保証するものではありません。
標準偏差を見るときの4つの注意点
1. 過去のデータであり、将来を約束しない
標準偏差は、過去の値動きから計算されます。相場環境が変われば、これまでより大きく動くこともあります。
2. 計算期間で数字が変わる
1年・3年・5年など、どの期間で計算したかによって数字が変わります。複数の商品を比べるときは、同じ期間の数字で比べましょう。
3. 「下がるリスク」だけでなく「上がるブレ」も含む
標準偏差は、上方向のブレも下方向のブレも同じように扱います。数字が大きい商品は「大きく上がりやすい」というより、「大きく動きやすい」と読むのが安全です。
4. 数字だけで良し悪しは決まらない
標準偏差が小さいから安全、大きいからダメ、という単純な話ではありません。自分が許容できる値動きの範囲に合っているかが大切です。
自分に合った商品選びにつなげる3ステップ
- 生活防衛資金を確保する:まず、急な出費に備えるお金を投資に回さない資金として確保する
- 許容できる下落幅を想像する:たとえば「100万円が一時的に80万円になっても、慌てず続けられるか」を考える
- 値動きの異なる資産の組み合わせを考える:一つの商品に集中せず、長期・分散・積立を基本にする
標準偏差は、2番目の「許容できる下落幅」を考えるための材料のひとつになります。
注意点・NG行動
- 「標準偏差が低いから元本割れしない」と考える(低くても元本割れは起こりえます)
- 過去1年の好成績だけを見て商品を選ぶ
- 数字の意味がわからないまま、SNSやランキングだけで決める
- 他の人のリスク許容度をそのまま自分に当てはめる
投資信託の商品を選ぶ際は、運用会社や販売会社が交付する目論見書や月次レポートで、標準偏差の計算期間・信託報酬・投資対象などもあわせて確認してください。制度や商品内容は変更されることがあるため、最新の情報は公式資料で確認しましょう。
📰 出典:金融庁「NISA特設ウェブサイト」
まとめ
- 標準偏差は、リターンの「ブレ幅」を表す数字で、損をする確率ではない
- 過去のデータであり、将来の値動きを約束するものではない
- 自分が許容できる値動きに合っているかを考える材料として使う
- 判断に迷うときは、長期・分散・積立という基本に立ち返る
数字の意味を知っておくと、商品資料が少し読みやすくなります。焦らず、ご自身のペースで確認していきましょう。

