
「鳥貴族、また値上げするんだ…外食もどんどん高くなるね」

「でも決算はいいらしいよ?値上げしても客足が落ちないってこと?」
結論から言うと、今回の値上げは原材料・人件費・エネルギーコストの上昇分を価格に転嫁する動きの一環であり、同時に発表された決算は既存店売上・利益とも増加という内容でした。ただし「値上げ=この会社の株が買い」という単純な話ではありません。この記事では、身近な外食チェーンの値上げと好決算のニュースを題材に、物価上昇(インフレ)が私たちの家計と資産形成にどう関わってくるのかを一緒に考えていきます。
※本記事は特定の銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。個別企業名は公表情報に基づく事実の紹介であり、投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。
鳥貴族が10月1日から全品410円に値上げ 何が起きたのか
焼鳥チェーン「鳥貴族」「やきとり大吉」などを展開するエターナルホスピタリティグループ(旧トリキホールディングス、東証プライム上場・証券コード3193)は、2026年9月10日、フード・ドリンク・テイクアウトの均一価格を10月1日から390円から410円へ、20円引き上げると発表しました。「トリキ晩餐会」などのコースメニューも同様に3,900円から4,100円へ改定されます。
📰 出典:日本経済新聞「『鳥貴族』全品410円に、10月から20円値上げ 原材料や人件費高騰で」
値上げの理由として同社は、国産の鶏肉や野菜をはじめとする原材料費に加え、人件費・エネルギーコストなど店舗運営にかかる費用の上昇を挙げています。これまでも店舗オペレーションの改善や仕入れの見直し、フードロス削減といったコスト削減努力を重ねてきたものの、商品・サービスの提供水準を維持するために価格改定に踏み切ったと説明されています。
📰 出典:時事通信「鳥貴族、一律20円値上げ 来月から全品410円」
📰 出典:共同通信(Yahoo!ニュース配信)「『鳥貴族』、410円に値上げ 均一価格、10月から」
値上げ発表の翌日に決算発表 数字はむしろ「好調」
興味深いのは、この値上げ発表とほぼ同じタイミングの2026年9月11日、同社が第3四半期(累計)の決算を発表している点です。公表されている業績集計によれば、売上高は前年同期比13.3%増の383億1,800万円、営業利益は同16.9%増の23億6,700万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同37.16%増の15億3,200万円となり、主力の「鳥貴族」ブランドの既存店売上高も9.1%増と、いずれも前年を上回る内容でした。
📰 出典:株探(かぶたん)「エターナルホスピタリティグループ(エターナルG)【3193】の業績・財務推移」
つまり「値上げをしなければならないほどコストが上がっている」というニュースと、「それでも既存店売上・利益は伸びている」という決算内容は、同じ会社について同時に報じられた、一見矛盾するようで実は地続きの2つの事実です。
筆者の私見・考察 「価格転嫁できる企業」と「できない企業」の分かれ目
ここからは筆者の私見です。今回のケースを見て感じるのは、値上げという行為そのものは良いニュースでも悪いニュースでもなく、「その値上げを消費者が受け入れ続けてくれるかどうか」で結果が大きく変わるという点です。
一般的に、コスト上昇分を価格に転嫁しても客足が大きく落ちない企業は、ブランド力や店舗網、メニューの満足度など何らかの「選ばれる理由」を持っていると評価されることがあります。一方で、値上げをきっかけに客離れが進み、既存店売上が落ち込む企業も少なくありません。今回のエターナルホスピタリティグループの決算は、少なくとも直近までは値上げ後も含めて客数・単価が維持・拡大されてきた結果と読むことができます。
ただし、これはあくまで「過去(第3四半期まで)の実績」であり、10月からの新しい価格改定後の反応はこれからのデータでしか分かりません。「決算が良かったから」「値上げしても客が離れなかったから」という理由だけで、この先も同じ傾向が続くと断定することはできませんし、まして「だからこの銘柄は買い」と結論づけることは投資助言にあたるためこの記事では行いません。あくまで、値上げと業績の関係を考えるための一つの事例として紹介しています。
資産形成への発展 「物価が上がる社会」でお金をどう守るか
今回のニュースから資産形成の観点で読み取っておきたいのは、外食に限らず身の回りのモノやサービスの値上げが今後も続く可能性がある、という点です。値上げが積み重なるということは、同じ金額の現金で買えるモノやサービスの量が少しずつ減っていく、つまり「現金の実質的な価値が目減りしていく」ことを意味します。
銀行預金だけでお金を置いておく場合、金利が物価上昇のペースに追いつかなければ、額面上の金額は減らなくても実質的な購買力は下がってしまう可能性があります。こうした物価上昇局面への向き合い方の一つとして、株式や投資信託などへ長期・分散で資産の一部を振り分ける考え方が、一般的な資産形成の選択肢として紹介されることがあります。もちろん株式や投資信託には価格変動・元本割れのリスクがあり、「投資をすれば必ずインフレに勝てる」わけではない点には注意が必要です。
具体的なアクション・心構え
- 家計の値上げ影響を把握する:外食費・食費など、値上げの影響を受けやすい支出項目を家計簿やアプリで確認し、無理のない範囲で予算を見直す
- 一つの企業の決算だけで判断しない:今回のように業績が良い企業もあれば、値上げで苦戦する企業もあり、個別の決算内容を鵜呑みにせず全体像を意識する
- 長期・分散・積立を基本に据える:値上げや物価上昇のニュースに一喜一憂して短期的な売買を繰り返すのではなく、NISAなどを活用した長期・分散・積立投資を淡々と続ける視点を持つ
- 生活防衛資金を優先して確保する:物価上昇で生活費が増えている場合は、まず数か月分の生活費を現金・預金で確保したうえで、余剰資金の範囲で投資を検討する
注意点・NG行動
- 「値上げ後も好決算」というニュースだけを見て、特定の銘柄に飛びついて短期売買すること(過去の実績が今後も続く保証はありません)
- 一つの企業の決算内容を、外食業界全体や日本経済全体の動向であるかのように一般化してしまうこと
- 物価上昇への不安から、生活防衛資金を取り崩してまで投資に回してしまうこと
- 「インフレ対策だから」という理由だけで、リスクやコストの仕組みを理解しないまま特定の商品に大きな金額を投じること
いずれの行動も、短期的な焦りから冷静な判断を失うきっかけになりやすいため、本サイトでは推奨しません。投資は最終的にご自身の判断と自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。
まとめ 値上げのニュースは「家計」と「資産形成」を点検するきっかけに
鳥貴族を展開するエターナルホスピタリティグループの値上げと好決算は、身近な外食チェーンの話でありながら、「コスト上昇にどう向き合うか」という点で家計にも資産形成にも通じるテーマです。値上げのニュースを見て一喜一憂したり、特定の銘柄の株価だけに注目したりするのではなく、自分自身の家計が物価上昇にどれだけ耐えられるか、資産の一部をインフレに備える形で分散できているかを点検する良いきっかけとして活用してみてください。
(本記事の情報は執筆時点〔2026年9月〕のものです。企業の業績・株価・価格改定の詳細は、各社の公式発表・IR情報で最新の内容をご確認ください。)

