
「日経平均が最高値だってニュースでよく見るけど、こんな高いところから始めたら『高値づかみ』にならない?」

「乗り遅れた気もするし、かといって暴落したら怖いし…今から始めていいのか分からないんだよね」
結論から言うと、「株価指数が最高値圏にあるから」という理由だけで、NISA・つみたて投資を始めるのを先延ばしにする必要はありません。つみたて投資は、そもそも「いつが安いか」を当てにいく手法ではなく、購入タイミングを分散させることで高値づかみのリスクを和らげる仕組みだからです。もちろん、株式である以上、これから値下がりして元本割れする可能性は常にあります。この記事では、「最高値だから怖い」と感じる背景と、その不安とどう付き合っていけばよいかを、初心者向けに整理していきます。
※本記事は2026年9月時点の一般的な考え方を解説する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。
なぜ「最高値」というニュースを見ると不安になるのか
「高値づかみ」という言葉が持つイメージ
「最高値」「史上最高値更新」といった見出しを見ると、多くの人は「今が一番高いタイミングで、この後は下がるだけなのでは」と感じてしまいます。これは投資心理学でいう「アンカリング効果」と呼ばれるもので、過去に見た価格(たとえば数年前の株価水準)を基準にしてしまい、今の水準を「割高」だと判断してしまう心理のクセです。
しかし、株価指数は経済の成長や企業業績の積み重ねとともに、長期的には最高値を更新しながら推移してきた過去の実績があります。もちろん、過去の実績が将来の値動きを保証するものではなく、短期的な下落局面は何度も挟まれてきました。「最高値=もうすぐ暴落する」という単純な図式で考えるのは早計だと言えます。
「完璧なタイミング」を当てるのはプロでも難しい
「今が高いか安いか」を正確に言い当てることは、専門の運用担当者であっても簡単ではないというのが一般的な見方です。だからこそ、多くの初心者向けの投資情報では「タイミングを読むのではなく、時間を味方につける」という考え方が推奨されています。
📰 出典:資産形成の基本(NISA特設ウェブサイト・金融庁)
SNSの「乗り遅れるな」「もう手遅れ」という声に流されない
SNS上では、株価が最高値を更新するたびに「まだ間に合う、今すぐ乗るべき」という声と、「もう高すぎる、今さら遅い」という声の両方が見られます。どちらも極端な意見であり、個人の相場観にすぎないという点は意識しておきたいところです。
「今すぐ買わないと損をする」という焦りをあおる情報も、「もう終わりだ」と過度に悲観する情報も、どちらも冷静な判断を妨げます。大切なのは、他人の意見に振り回されるのではなく、自分の目的(いつ・何のためにそのお金を使うのか)に照らして考えることです。
「今から始めていいか」を考えるための6つの視点
ここからは、最高値圏かどうかにかかわらず、投資を始める・続けるかどうかを判断するときに意識したい考え方を紹介します。
1. 「一括で今すぐ全額」ではなく「つみたて」でタイミングを分散する
つみたて投資(ドルコスト平均法)は、毎月一定額を買い続けることで、価格が高いときは少なく、安いときは多く購入することになり、平均購入単価を平準化する効果が期待できる方法です。「今日が高いか安いか」を判断する必要がない点が、この方法の特徴です。
一方で、価格が右肩上がりに上昇し続けた場合は、一括投資のほうが結果的に有利になる可能性もあります。どちらが正解かは事後にしか分からないため、「判断に迷うなら時間を分散する」という考え方が、初心者にはなじみやすいとされています。
イメージをつかむための一例として、毎月3万円を一定期間つみたてた場合を考えてみます。仮に開始直後に価格が下落しても、つみたて投資であれば下落した月には「同じ3万円でより多くの口数」を購入できることになります。その後価格が回復すれば、下落局面で多く買えた分が平均購入単価を押し下げる方向に働く、という仕組みです。もちろんこれはあくまで仕組みを説明するための一般的な例であり、実際の値動きやリターンを保証するものではありません。将来にわたって価格が回復する保証はなく、下落したまま長期間戻らない可能性もあります。
2. 「高値かどうか」ではなく「いつまで持ち続けられるか」で考える
短期的な値動きを気にするより、「このお金を何年後に使う予定か」という視点で考えることが大切です。たとえば10年後、20年後に使う予定の資金であれば、今この瞬間の株価水準そのものよりも、その間に一時的な下落があっても保有を続けられるかどうかのほうが重要になります。
逆に言えば、数年以内に使う予定があるお金を、値動きの大きい株式投資に回すのは避けたほうがよいというのが一般的な考え方です。
3. 生活防衛資金を確保したうえで、余剰資金の範囲で始める
「今から始めるべきか」を考える前に、まず確認したいのが「生活防衛資金」です。病気や失業など、不測の事態に備えて、生活費の3か月〜半年分程度を、値動きのない預貯金で確保しておくという考え方が広く紹介されています。
この生活防衛資金を確保したうえで、当面使う予定のない「余剰資金」の範囲でNISA・つみたて投資を行うのが基本です。生活費を切り詰めてまで投資に回すのは避けましょう。
4. いきなり大きな金額ではなく、少額から試してみる
「最高値だから怖い」という不安が強い場合は、無理に大きな金額で始める必要はありません。まずは月々数千円〜1万円程度など、自分が値動きを見ても落ち着いていられる金額から始めて、少しずつ慣れていくという方法もあります。
NISAのつみたて投資枠は、少額からコツコツ積み立てることを想定した制度です。まとまった資金がなくても始められる点は、初心者にとって始めやすいポイントの一つです。「少額すぎると意味がないのでは」と感じる方もいますが、まずは値動きに慣れること、投資を生活の一部として習慣化することにも意味があります。慣れてきた段階で、無理のない範囲で金額を見直していけば十分です。
5. 銘柄・地域・時間を分散させる意識を持つ
「最高値」という言葉は、多くの場合、日経平均株価やTOPIXなど、特定の市場・指数を指しています。しかし、投資先を一つの国・一つの資産に集中させるのではなく、複数の国や地域、複数の資産に分けて投資する「分散投資」も、リスクを和らげる基本的な考え方の一つです。
たとえば、日本株だけでなく、全世界株式や米国株式などを組み合わせた投資信託を選ぶことで、特定の一つの市場の値動きに資産全体が左右されにくくなるという考え方があります。どの資産配分が適しているかは、年齢やリスク許容度によって異なるため、「これが正解」という一律の答えはありません。
6. 「始めない」こともまた一つの選択であり、リスクがあると知っておく
投資を始めないという選択は、値下がりのリスクを避けられる一方で、インフレ(物価上昇)によって現金の実質的な価値が目減りする可能性や、資産を増やす機会を得られない可能性もあるとされています。「始めるリスク」と「始めないリスク」の両方があることを踏まえたうえで、自分に合った判断をすることが大切です。
「最高値」は過去にも繰り返されてきた
株価指数は、その時々で「史上最高値」という見出しがつけられてきましたが、長期的に見ると、経済成長や企業業績の拡大とともに、過去の高値を更新しながら推移してきたという一般的な傾向があります。もちろん、その過程では数年単位の下落局面や、なかなか高値を更新できない停滞期も何度もありました。
つまり、「最高値」というのは特別な異常事態というより、相場が上昇トレンドをたどる中で、繰り返し訪れる通過点の一つとも言えます。だからといって「この先も必ず上がり続ける」と断定することもできません。過去の傾向はあくまで参考情報であり、将来の値動きを保証するものではない、という点は改めて強調しておきます。
よくある質問
Q. 一括投資と積立投資、結局どちらがいいですか?
A. どちらが有利かは、その後の値動き次第であり、事前に確実な正解を出すことはできません。まとまった資金を一度に投じる勇気がなく、値動きへの不安が大きい場合は、つみたて投資でタイミングを分散するほうが、精神的に続けやすいとされています。一部を積立、一部を一括にするなど、組み合わせる考え方もあります。
Q. 始めた直後に暴落したらどうすればいいですか?
A. 短期的に評価額がマイナスになっても、あらかじめ「長期で保有する前提の余剰資金」で投資していれば、慌てて売る必要はない、というのが基本的な考え方です。むしろ、つみたて投資であれば下落局面は「安く買えるタイミング」でもあります。ただし、生活費や近い将来に使う予定のお金まで投資に回していた場合は、そもそもその資金計画自体を見直す必要があります。
Q. 最高値を待たずに、下がってから始めたほうが得ではないですか?
A. 「下がってから始めよう」と考えて待ち続けた結果、下がらないまま上昇を続け、結局始めるタイミングを逃してしまうケースも少なくないとされています。将来の値動きを正確に予測することは難しいため、「下がるのを待つ」こと自体が一つの賭けになってしまう点には注意が必要です。
始めたあとに気をつけたい注意点
元本割れの可能性は常にある
NISA・つみたて投資は非課税制度であって、元本を保証する制度ではありません。株価指数が最高値を更新した後に、一時的あるいは長期的に下落する可能性は常にあります。「絶対に儲かる」「必ず増える」ということはない、という前提を忘れないようにしましょう。
値下がり時に慌てて売らない
最も避けたいのが、値下がり局面で不安になって慌てて売ってしまう「狼狽売り」です。特に積立投資は、下落局面でこそ「安く多く買えている」段階でもあるため、短期の値動きに一喜一憂して積立を止めてしまうと、本来の効果を発揮しにくくなります。
制度・税制は変わる可能性がある
NISAの制度内容や非課税枠、税制は将来的に見直される可能性があります。本記事の内容は執筆時点(2026年9月)の一般的な情報であり、最新の制度内容は必ず金融庁や各証券会社の公式サイトで確認してください。
📰 出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト
特定の銘柄・商品の売買タイミングを断定するものではない
本記事は、あくまで「最高値圏だから始めない」という考え方に偏りすぎる必要はない、という一般的な視点を紹介するものであり、「今買うべき」「この商品がおすすめ」といった特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断は、ご自身のリスク許容度に照らして行ってください。
まとめ 「最高値かどうか」より「続けられる仕組みか」を大切に
日経平均などの株価指数が最高値を更新したというニュースは、どうしても「今から始めたら損をするのでは」という不安につながりやすいものです。しかし、つみたて投資はそもそも高値・安値を当てにいく手法ではなく、時間を分散させることでリスクを和らげる仕組みです。
大切なのは、
- 生活防衛資金を確保したうえで、余剰資金の範囲で
- 無理のない少額から
- 長期で続けられる金額とペースで
始めることです。「最高値だから怖くて動けない」まま何年も先延ばしにするより、まずは少額から、自分のペースで一歩を踏み出してみることが、長期的な資産形成では大切な視点だと言えるでしょう。もちろん、値下がりによる元本割れの可能性は常にありますので、無理のない範囲で、自己責任のもとご判断ください。

