フラット35が9月に過去最高金利へ 広がる「固定と変動の金利差」から考える住宅ローンと資産形成

お金

「フラット35の金利がまた上がって、過去最高になったってニュースで見たんだけど…」

「うちは変動金利だけど、メガバンクも上げたって聞いて、正直どっちが得なのか分からなくなってきた」

結論から言うと、2026年9月適用のフラット35(買取型)の金利は3.460%となり、現行の制度になった2017年10月以降で最高を更新しました。同じタイミングで三菱UFJ銀行・三井住友銀行など大手行も変動金利を半年ぶりに引き上げており、固定金利と変動金利の差はこれまでで最も大きい水準まで広がっています。この記事では、この住宅ローン金利のニュースを入り口に、「金利差が広がる」という出来事が住宅購入者だけでなく、これから資産形成をする人にとってどんな意味を持つのかを、事実と私見を分けながら考えていきます。

ニュースの要点整理 フラット35が「現行制度で最高」、メガバンクも変動金利を引き上げ

まず事実関係を整理します。

住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利型住宅ローン「フラット35」(買取型、返済期間21年以上35年以下、融資率9割以下の最低金利)は、2026年9月適用分で3.460%となりました。8月の3.290%から0.17ポイントの上昇で、2カ月連続の引き上げです。日本経済新聞は「現行制度で最高」と伝え、読売新聞オンラインも「17年10月以降で最高」と報じています。

📰 出典:フラット35、9月最低金利3.460%に上昇 現行制度で最高(日本経済新聞)

📰 出典:「フラット35」9月の適用金利3.46%、2か月連続で引き上げ…17年10月以降で最高に(読売新聞オンライン)

共同通信も同様に「過去最高更新」と伝えており、背景として国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時3.000%まで上昇し、1996年9月以来およそ30年ぶりに3%の大台に乗ったことを挙げています。フラット35の原資は住宅金融支援機構債券であり、その利率は長期金利の動きに連動しやすい仕組みになっているため、長期金利の上昇がそのままフラット35の金利上昇として跳ね返った形です。

📰 出典:「フラット35」金利3.46% 9月分、過去最高更新(共同通信)

固定金利だけでなく、変動金利にも動きがありました。日本経済新聞は、三菱UFJ銀行と三井住友銀行が住宅ローンの変動金利を半年ぶりに引き上げると報じています。三菱UFJ銀行は最優遇金利を前月から0.25%引き上げて1.195%に、三井住友銀行も0.25%引き上げて1.525%とし、両行とも基準金利は年3.125%から年3.375%へ改定します。日銀が6月に決めた政策金利の引き上げを反映したもので、新規借入分は9月から適用され、既存の契約者については秋ごろをめどに見直される予定です。NHKニュースも大手2行の引き上げを伝えています。

📰 出典:三菱UFJ銀行と三井住友銀行、住宅ローン変動金利0.25%上げ 半年ぶり(日本経済新聞)

📰 出典:住宅ローン変動金利 大手2行が9月からの引き上げを発表(NHKニュース)

住宅ローン専門メディアのマイナビニュースは、9月の変動金利について、ドコモSMTBネット銀行・楽天銀行(0.014%引き上げ)・三菱UFJ銀行・三井住友銀行が引き上げた一方、地方銀行の平均は1.23%、メガバンク平均は1.25%、ネット銀行平均は1.29%と、金融機関の種類によって水準に差があることを伝えています。同記事はさらに、フラット35と変動金利の差が2.23ポイントとなり、同メディアが集計を始めた2018年1月以降で最大の水準だと指摘しています。

📰 出典:【9月の住宅ローン金利ランキング】フラット35が過去最高水準に、変動金利は年0.014~0.25%引き上げ(マイナビニュース)

内容を整理すると、次のようになります(あくまで報道時点・一部金融機関の例であり、実際の適用金利は審査結果等によって異なります)。

| ローンの種類 | 2026年9月の目安 | 前月からの変化 | |—|—|—| | フラット35(買取型・21〜35年) | 3.460% | +0.17pt(2カ月連続上昇・現行制度で最高) | | 変動金利(三菱UFJ銀行・最優遇) | 1.195% | +0.25pt | | 変動金利(三井住友銀行・最優遇) | 1.525% | +0.25pt | | 変動金利(メガバンク平均) | 1.25%前後 | 引き上げ行あり | | 変動金利(地方銀行平均) | 1.23%前後 | 引き上げ行あり | | フラット35と変動金利の金利差 | 2.23pt | 2018年1月以降で最大 |

筆者の私見・考察 「金利差の拡大」は何を映しているのか

ここからは筆者個人の見方であることをお断りした上で、私見を述べます。

今回のニュースで筆者が注目したいのは、フラット35が「過去最高」になったという見出しそのものよりも、固定金利と変動金利の差が広がり続けているという構造です。フラット35のような全期間固定金利は長期金利(将来の物価や政策金利の見通しを織り込んだ金利)に連動しやすく、変動金利は短期金利(日銀の政策金利に近い金利)に連動しやすいという性質があります。今回、長期金利が30年ぶりの水準まで上昇する一方で、変動金利の引き上げ幅は0.25ポイントにとどまっているため、結果として両者の差が過去最大まで開いた、というのが現時点での実態だと筆者は理解しています。

このことは、「固定金利は将来のインフレや金利上昇リスクをあらかじめ金利に上乗せして金融機関から借り手へ移している」という、固定金利型ローンの基本的な仕組みを改めて示す出来事のようにも感じられます。金利差が広がっているからといって、どちらのタイプが「得」なのかを一概に断定できるものではありません。将来の金利がどこまで上がるか、あるいは横ばいで推移するかは誰にも正確には分からないためです。

もう一つ気になるのは、変動金利を引き上げたメガバンク2行について「新規借入分は9月から、既存契約者は秋ごろをめどに見直し」とされている点です。日本の変動金利型住宅ローンの多くは、基準金利が変わっても実際の返済額がすぐには変わらない「5年ルール」「125%ルール」などの緩和措置を設けている金融機関が一般的とされています。ニュースの見出しだけを見て「来月から返済額が急に増える」と早合点せず、自分が契約している金融機関の適用ルールを確認することが大切だと筆者は考えます。

資産形成への発展 「借りる金利」の変化は、家計全体を点検するきっかけになる

このニュースを、住宅を買う・買わないにかかわらず、資産形成の視点で読み解いてみます。

固定金利と変動金利の差が広がっているということは、「将来の不確実性に対して、あらかじめお金を払ってでも安心を買う」選択肢と、「当面のコストを抑える代わりに、将来の変動リスクを自分で引き受ける」選択肢の値段差が、これまでよりはっきり見えるようになった、と捉えることもできます。これは住宅ローンに限った話ではありません。

  • 生命保険などで「終身型」と「掛け捨て型」を選ぶときの考え方
  • 投資信託を選ぶときに「元本確保型に近い商品」と「値動きのある商品」のどちらにどれだけ資金を振り分けるかという考え方
  • NISAのつみたて投資枠で、値動きの異なる複数の資産(国内外の株式・債券など)に分散する考え方

いずれも、「将来の不確実性をどこまで自分で引き受けるか」というリスク許容度の問題である点で、住宅ローンの固定・変動選びと構造がよく似ています。今回のニュースをきっかけに、住宅ローンだけでなく家計全体で「自分はどれくらいの不確実性なら受け止められるか」を点検してみるのは、意味のある機会だと筆者は感じています。

また、金利が上がるということは、借りる側にとってはコスト増ですが、預金や個人向け国債などでお金を「置いておく」側にとってはリターンが増える可能性がある、という表裏の関係も忘れてはいけません。住宅ローンを組んでいる・組んでいないにかかわらず、「金利のある世界」への移行は、資産と負債の両面に影響を及ぼす出来事として捉える視点が役立ちます。

具体的なアクション・心構え 焦らず、自分の状況を点検する

短期的な金利の上げ下げに一喜一憂するのではなく、次のような行動を長期目線で心がけたいところです。

  1. これから住宅ローンを検討する人は、複数の金利タイプ・複数の金融機関の総返済額を比較する

フラット35のような全期間固定型だけでなく、変動金利、固定期間選択型なども含め、金利の高低だけでなく総返済額のシミュレーションを比較することが基本です。

  1. すでに変動金利で借りている人は、自分の契約に「5年ルール」「125%ルール」などの緩和措置があるかを確認する

金融機関によって仕組みが異なるため、契約書や金融機関の公式サイトで、返済額がいつ・どのように見直されるのかを確認しておくと安心です。

  1. 家計全体では「借りる金利」と「増やす利回り」をセットで見直す

預金・個人向け国債・投資信託などの金利や利回りもあわせて確認し、現金・預金・投資のバランスを点検する機会にしましょう。

  1. 住宅ローン控除など税制面の情報は、必ず公式情報で確認する

住宅ローンには金利以外に、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)などの税制優遇も関わってきます。制度の詳細や適用条件は年度によって変わることがあるため、国税庁や住宅金融支援機構の公式サイトを確認し、不明点は税理士など専門家にも相談することをおすすめします。

  1. 金利情報は必ず最新の公式情報を確認する

住宅ローン金利は毎月見直されるため、実際に借入や借り換えを検討する際は、各金融機関や住宅金融支援機構の公式サイトで最新の数値を確認してください(本記事の金利情報は執筆時点=2026年9月のものです)。

注意点・NG行動

金利上昇や「過去最高」という見出しに接したときに、避けたい行動もあわせて整理します。

  • 「今のうちに」と焦って住宅購入や借り換えを急ぐこと

金利の見出しだけを理由に、返済計画やライフプランの検討が不十分なまま高額な意思決定をするのは避けるべきです。住宅は大きな買い物であり、物件価格や収入の見通し、家族構成の変化など考慮すべき要素は金利以外にも数多くあります。

  • 固定金利・変動金利のどちらかを「絶対の正解」と決めつけること

本記事はどちらかの金利タイプを推奨するものではありません。最終的な選択は、ご自身の返済余力やリスク許容度を踏まえ、必要であれば住宅ローンアドバイザーやファイナンシャルプランナーにも相談したうえで判断してください。

  • 金利上昇のニュースだけを理由に、投資信託やNISAの積立を根拠なく解約・停止すること

「金利が上がっているから、今の投資は損」といった単純な理屈で長期の積立方針を崩すと、かえって非効率になることがあります。相場や金利の短期的な動きと、自分の長期の資産形成方針は切り離して考えることが大切です。

  • 住宅ローンにも投資にも、将来を保証するものではないという前提を忘れないこと

住宅ローンは金利タイプによって将来の返済額が変わる可能性があり、投資信託や株式には価格変動により元本を下回るリスクがあります。いずれも「絶対に安心」「絶対に得」という商品はありません。

まとめ 「過去最高」という見出しより、自分の家計を点検することが大切

2026年9月、フラット35の金利が現行制度で最高を更新し、メガバンクの変動金利も半年ぶりに引き上げられたことで、固定金利と変動金利の差はこれまでで最も大きい水準まで広がりました。このニュースは、住宅ローンを検討している人にとっては直接的な情報である一方、それ以外の人にとっても「金利のある世界」で、借りる側・置いておく側それぞれにどんな影響が及んでいるのかを考えるきっかけになる出来事だと言えます。

大切なのは、「過去最高」という見出しの数字に驚いて急いで動くことではなく、このニュースをきっかけに自分自身の家計・ローン・資産配分を落ち着いて点検してみることです。住宅ローンも投資も、最終的な判断はご自身の状況とリスク許容度に基づいて行う必要があります。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・住宅ローン商品の契約や、特定の金利タイプの選択を推奨するものではありません。住宅ローンの金利・条件は金融機関や時期によって異なり、将来の金利動向を保証するものでもありません。実際の借入や資産運用にあたっては、必ず金融機関や公式サイトで最新の情報をご確認いただき、余剰資金の範囲で、ご自身の責任において判断していただきますようお願いいたします。

タイトルとURLをコピーしました