
「メルカリで仮想通貨の新しい銘柄が買えるようになったって聞いたけど、本当?」

「フリマの売上金でそのまま買えるなら、なんだか気軽に始められそうだけど…大丈夫なのかな」
結論から言うと、2026年8月31日、メルカリの子会社であるメルコインが、フリマアプリ「メルカリ」の暗号資産取引サービスで新たに「ソラナ(SOL)」の取引を開始しました。これにより、メルカリ上で取引できる暗号資産はコインチェック取扱銘柄と合わせて計16銘柄となり、記念キャンペーンも実施されています。
とはいえ、この記事で伝えたいのは「だからソラナを買うべき」という話ではありません。日常的に使っているフリマアプリで仮想通貨に触れられるようになったという「身近さ」のニュースを題材に、その裏側にあるリスクや、新規取扱い・ポイントキャンペーンをきっかけに安易に投資を始めることの危うさについて、一緒に考えていきたいと思います。
ニュースの要点整理 まず事実を確認する
メルコインがメルカリでソラナ(SOL)の取引を開始
株式会社メルコインは、フリマアプリ「メルカリ」の暗号資産取引サービスにおいて、暗号資産交換業者コインチェックの取扱銘柄である「ソラナ(SOL)」の取引を、2026年8月31日より新たに提供開始したと発表しました。
📰 出典:株式会社メルカリ プレスリリース「メルコイン、『メルカリ』の暗号資産取引サービスで Coincheck取扱銘柄『ソラナ(SOL)』の取引を新たに提供開始」
なお、メルコインは2022年6月17日付で暗号資産交換業の登録(関東財務局長登録)を完了している暗号資産交換業者です。金融庁への登録を済ませた事業者かどうかは、暗号資産サービスを検討する際にまず確認すべき最低限のポイントの一つとされています。
📰 出典:株式会社メルコイン「メルコイン、暗号資産交換業の登録を完了」
コインチェックとの連携で取扱銘柄は計16銘柄に拡大
今回のソラナ追加により、メルカリ上で取引できる暗号資産は、これまでのビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)・リップル(XRP)・ドージコイン(DOGE)などと合わせて、コインチェック取扱銘柄全体で計16銘柄になったと報じられています。
📰 出典:あたらしい経済「メルカリでソラナ(SOL)取扱開始、コインチェック連携で計16銘柄に」
仕組みとしては、メルコインが売買を媒介し、ユーザーはコインチェックを取引の相手方として暗号資産を売買する形が取られています。
売上金を使い1円から取引可能、記念キャンペーンも実施
今回の取引開始の特徴として報じられているのが、メルカリで不用品を売って得た売上金(メルペイ残高)を使い、1円という少額からソラナを取引できる点です。また、取引開始を記念して、2026年9月1日12時から9月14日12時までの期間、キャンペーンページから手続きのうえ初めてソラナを購入したユーザーに、200円相当のメルカリポイントを付与するキャンペーンも実施されています。
📰 出典:Yahoo!ニュース(NADA NEWS)「メルコイン、ソラナ(SOL)の取引の提供を開始」
ここで押さえておきたいのは、「取引できる銘柄が増えた」「1円から買える」「ポイントがもらえる」というのは、あくまでサービスの利便性・販促の話であって、ソラナという暗号資産そのものの将来的な値動きを示すものではない、という点です。この事実と、値動きの予測は明確に切り分けて考える必要があります。
「ソラナ」とは、そもそもどんな暗号資産なのか
初めて名前を聞く方向けに補足すると、ソラナは処理速度の速さと手数料の低さを特徴とするブロックチェーン基盤(レイヤー1と呼ばれる種類)のひとつで、その上でさまざまなアプリやサービスが構築されていると一般的に説明されています。ビットコインやイーサリアムと並んで時価総額の大きい暗号資産の一つとされていますが、ビットコインなど他の主要銘柄と同様に、短期間で大きく価格が上下する値動きの荒さ(ボラティリティの高さ)を持つ点に変わりはありません。「処理性能が高い」という技術的な特徴と、「価格が値上がりし続ける」ことは、当然ながら別の話です。
筆者の私見・考察 「身近さ」と「投資対象としての性質」は別物
ここからは、事実の紹介ではなく筆者の私見です。今回のニュースをどう読むかについて、私は次の2点を意識すべきだと考えています。
1. 「使い慣れたアプリ」がリスクを下げてくれるわけではない
メルカリのように普段から使っているアプリの中で仮想通貨が買えるようになると、心理的なハードルはぐっと下がります。フリマで得た売上金を、財布から新たに現金を出すことなくそのまま充当できる設計は、確かに手軽です。しかし、この「手軽さ」は、あくまで購入までの操作が簡単になったという話であり、ソラナという暗号資産自体が抱える価格変動リスク(ボラティリティ)や、暗号資産市場全体が持つリスクの大きさを下げるものではないと私は考えます。売買の入口が身近になったことと、その先にある投資対象のリスクの大きさは、切り離して評価する必要があります。
2. 新規取扱い・キャンペーンは「話題性」であって「値上がりの根拠」ではない
新しい銘柄の取扱いが始まると、それ自体が話題となり「今から注目される通貨かもしれない」という期待を持たれることがあります。しかし、ある取引サービスが新たに特定の銘柄を取り扱い始めたという事実と、その銘柄の今後の値動きとの間に、確実な因果関係があるわけではありません。同様に、200円相当のポイントがもらえるキャンペーンも、あくまで新サービスの利用を促す販促施策であり、投資としてのリターンを約束するものでは全くない点に注意が必要です。この点を混同すると、「ポイントがもらえるから」という理由だけで、値動きのリスクを十分に理解しないまま購入してしまうことになりかねません。
資産形成への発展 「気軽に始められる」からこそ意識したいこと
このニュースから、資産形成という観点で読者の皆さんに考えていただきたいのは、次の2つの視点です。
参入障壁の低さは、意思決定プロセスを省略させやすい
証券会社や暗号資産取引所に新たに口座を開設して入金する、という一手間がある場合、人はその過程である程度「なぜこれを買うのか」「いくらまでなら投資に回せるか」を考える機会を持ちます。一方、普段使っているアプリの中で、既にある売上金を使って1円からワンタップで購入できる仕組みは、その「立ち止まって考える」プロセスを省略させやすい面があると私は考えます。手軽に始められる仕組みだからこそ、購入前に一呼吸置いて、自分の家計や投資目的に照らして本当に必要な選択かを確認する習慣が、これまで以上に重要になっていると感じます。
少額投資は「入門」として有効だが「無計画」とは違う
1円から取引できるという設計自体は、いきなり大きな金額を投じるよりも、暗号資産の値動きの大きさや取引の仕組みを体感しながら学べるという意味で、初心者にとって有効な入口になり得ます。ただし、それは「金額を決めずになんとなく買う」こととは全く異なります。少額であっても、事前に「今回はいくらまで」「なぜこの銘柄なのか」を自分なりに考えたうえで取引することが、後悔の少ない資産形成につながると私は考えます。
具体的なアクション・心構え 焦らず一歩ずつ確認するために
- 暗号資産に興味を持ったら、まず「金融庁登録の暗号資産交換業者かどうか」を確認する:今回のメルコインのように登録済みの事業者を使うことが、詐欺的な無登録業者を避ける第一歩です。金融庁のウェブサイトでは登録業者の一覧が公表されています。
- 購入前に「いくらまでなら失っても生活に支障が出ないか」を自分で決めておく:暗号資産は株式以上に値動きが大きいとされる資産です。余剰資金の範囲で、あらかじめ上限額を決めてから取引を始めることをおすすめします。
- ポイントキャンペーンの金額と、投資対象のリスクの大きさを比べて冷静に判断する:200円相当のポイントは魅力的に見えるかもしれませんが、それを目的に投資額を膨らませることは本末転倒です。
- 取引を始める前に、送金・保管(ウォレット)の基本的な注意点も確認しておく:暗号資産は、送金先アドレスの入力ミスやフィッシング詐欺による資産流出などのトラブルが報告されているジャンルです。基本的なセキュリティの知識を持ったうえで取引することをおすすめします。
- 利益が出た場合の税金についても、あらかじめ調べておく:暗号資産の売却益は原則として雑所得に分類され、一定額を超えると確定申告が必要になる場合があります。具体的な計算方法や申告要否は、国税庁の公式情報や税理士に確認することをおすすめします。
注意点・NG行動 同じ失敗をしないために
- 「ポイントがもらえるから」という理由だけで購入額を決めない:キャンペーンはあくまで利用促進のための施策であり、投資判断の根拠にはなりません。
- 「新しく取り扱いが始まった=今が買い時」と短絡しない:新規取扱いのニュースと、今後の値動きの予測は別物です。特定の通貨の売買タイミングを断定的に語る情報は、投資助言に類するものであり鵜呑みにしないでください。
- フリマの売上金だから「実質タダ」という感覚で無計画に使わない:売上金であっても、それは自分の資産の一部です。他の使い道(生活費や他の貯蓄目標)とのバランスを踏まえて判断することが大切です。
- メルコイン公式アプリ以外を装った偽サイト・偽広告に注意する:話題性のあるサービスほど、便乗した詐欺的なリンクやなりすまし広告が出回ることがあります。必ず公式アプリ・公式サイトから手続きを行うようにしてください。
- 税金の申告を後回しにしない:少額の取引でも、利益が積み重なれば申告が必要になる場合があります。「知らなかった」では済まされないため、早めに確認しておきましょう。
まとめ 身近になったからこそ、落ち着いて一歩を踏み出す
2026年8月31日、メルカリの暗号資産取引サービスにソラナ(SOL)が加わり、取扱銘柄は計16銘柄となりました。フリマの売上金を使って1円から取引できる手軽さや、記念のポイントキャンペーンは、これから暗号資産に触れてみたいと考えている人にとって、入口のハードルを下げてくれるものです。
ただし、手軽に始められることと、暗号資産という資産クラスが持つ値動きの大きさ・リスクの大きさは、まったく別の話です。話題性やキャンペーンに流されず、自分自身で「なぜ・いくらまで・何のために」を考えたうえで、金融庁登録の業者を通じて、余剰資金の範囲で一歩を踏み出すことが、長期的な資産形成においては大切だと筆者は考えます。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産の購入・売却を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、元本割れや価値がゼロになる可能性もある資産です。また、詐欺やハッキング、送金ミスによる資産消失のリスクも報告されています。最終的な投資判断は、必ずご自身の責任で、余剰資金の範囲において行ってください。サービス内容・キャンペーン条件・税制は変わる可能性があるため、最新情報は各社の公式サイトや国税庁など公的機関の情報でご確認ください。

