
「ビットコインが8月にすごく上がったってニュースで見たけど、今から買っても大丈夫かな?」

「でも9月は毎年下がりやすいってSNSで見て、逆に不安になってきた…」
結論から言うと、2026年8月のビットコインは月間で+24.82%という過去14年で3番目に高いリターンを記録しました。一方で市場では「9月は季節的に弱い月」というアノマリー(経験則)への警戒も広がっています。ただし、過去のデータが必ず繰り返されるとは限らず、直近3年(2023〜2025年)はこのアノマリーに反してプラスで終えています。この記事では、8月の急伸と9月アノマリーという2つの話題を整理したうえで、目先の値動きに振り回されず資産形成を続けるための考え方を解説します。仮想通貨は価格変動が非常に大きい資産であり、投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行うことが大前提です。
ビットコイン、8月は過去14年で3番目の月間上昇率に
まずは事実関係を整理します。
📰 出典:ビットコイン、8月は+24.82%の月次リターンに──過去14年で3番目、7万ドル後半まで上昇|JinaCoin
2026年8月、ビットコインは月間で+24.82%という上昇率となり、価格は7万ドル台後半まで回復しました。これは2013年以降の14年間で見ても、2017年(+65.32%)、2013年(+30.42%)に次いで3番目に高い月間リターンだったと報じられています。
この上昇の背景としては、米国の現物ビットコインETF(上場投資信託。証券取引所で株式のように売買でき、資産に連動する値動きを目指す金融商品)への資金流入や、金利・流動性をめぐる環境の変化などが指摘されています。ETFへの資金流入は、機関投資家を含む幅広い投資家がまとまった資金を投じている可能性を示す指標として市場で注目されています。ただし、当初は値下がりに賭けていた投資家の「踏み上げ(ショートスクイーズ)」が主導した側面もあったとされ、上昇の「中身」は一様ではない点には注意が必要です。
一方で、過去のデータを振り返ると、ビットコインの8月がプラスで終えた年は14年中5回にとどまり、マイナスで終えた年(9回)の方が多いという歴史的な傾向も報じられています。つまり「8月は本来弱含みやすい月」という経験則の中で、2026年8月は例外的に強かったということになります。
そもそも「アノマリー」とは何か
本題に入る前に、「アノマリー」という言葉を整理しておきます。アノマリーとは、理論的にはっきりした理由が説明しきれないものの、過去のデータを振り返ると統計的に繰り返し観測されてきた値動きの傾向のことです。株式市場では「1月効果」「セル・イン・メイ(Sell in May、5月に売れ)」などが有名で、仮想通貨市場における「9月は弱い」という経験則も、この一種として扱われています。
大切なのは、アノマリーはあくまで「過去のデータを集計した結果、こういう傾向が多かった」という統計上の話であり、「今年も必ずそうなる」という保証や予言ではないという点です。この前提を踏まえたうえで、次の章から具体的なデータを見ていきましょう。
なぜ「9月は弱い」と言われるのか
次に、市場で話題になっている「9月アノマリー」について見ていきます。
📰 出典:9月はなぜ株もビットコインも弱いのか──中間選挙年に警戒したい「September Effect」|NADA NEWS
株式市場にも仮想通貨市場にも、「9月は年間を通じて最もパフォーマンスが弱くなりやすい月」という季節性のアノマリーが知られています。ビットコインについても、集計の仕方によって数値に幅はあるものの、2013年以降の9月の平均リターンはマイナス圏(おおむね数%程度のマイナス)にあるとの分析が報じられており、過去14年で最も平均リターンが低い月とされています。
📰 出典:ビットコイン、9月の季節性下落を警戒=アナリスト|CoinPost
9月が弱くなりやすい理由としては、米連邦公開市場委員会(FOMC)など重要な政策会合が集中しやすい時期であることに加え、米雇用統計や消費者物価指数(CPI)といった経済指標の発表に市場が敏感に反応しやすい点が挙げられています。海外メディアの分析では、取引所の残高動向やETFへの資金流入、現物需要といった指標が8月末にかけてやや弱含んでいるとの指摘もあり、警戒感を強める材料の一つとされています。
ただし、直近3年は例外的にプラスで終えている
重要なのは、このアノマリーが「絶対に繰り返される法則」ではないという点です。報道によれば、2023年・2024年・2025年の9月は3年連続でプラスに終えており、かつて強く意識されていた9月アノマリーが、近年はそのまま再現されているわけではありません。2026年の9月についても、強気・弱気それぞれの見方が併存しており、実際にどうなるかは誰にも断定できません。
筆者の私見 ―― アノマリーは「参考情報」であって「予言」ではない
ここからは筆者の私見です。8月の急伸と9月アノマリーという2つの話題を並べて見ると、つい「9月は下がるから今は様子見しよう」「逆に今のうちに利益確定しておこう」といった短期的な売買判断に結びつけたくなるかもしれません。しかし、アノマリーはあくまで過去の統計的な傾向であり、将来の値動きを保証するものではありません。
実際、直近3年は歴史的な傾向に反してプラスで終えており、「過去がこうだったから今回もこうなる」という単純な当てはめは、外れたときの損失につながりやすい考え方だと筆者は考えます。相場の先行きを断定することは筆者にもできませんし、この記事も「9月に上がる」「下がる」のどちらかを予想したり、売買のタイミングを助言したりするものではありません。
また、8月の急伸についても「踏み上げ(ショートスクイーズ)」が一因だったと報じられている点は見逃せません。値下がりを見込んでいた投資家が想定に反する上昇に耐えきれず買い戻しに動くと、需給が一時的に偏って値動きが増幅されやすくなります。こうした需給要因による上昇は、実需(資金が長期的に流入し続ける動き)による上昇とは性質が異なるため、「上がった理由」まで確認する姿勢が大切だと筆者は考えます。
株式市場にも似たような季節性が意識されている
📰 出典:9月はなぜ株もビットコインも弱いのか──中間選挙年に警戒したい「September Effect」|NADA NEWS
実は「9月は弱くなりやすい」という季節性は、仮想通貨市場だけでなく米国株式市場でも古くから知られている経験則(September Effect)です。米国の中間選挙が行われる年は特に警戒されやすいとの指摘もあります。株式と仮想通貨は値動きの要因が異なる場面も多い資産ですが、どちらも「金融政策の発表」「経済指標」といった同じニュースに反応しやすい側面があるため、似たような季節性が意識されること自体は不思議ではありません。
ただし、これも「必ずそうなる」という話ではなく、あくまで一つの参考情報として捉えるにとどめるべきでしょう。
資産形成への発展 ―― 短期の値動きより「土台」を見直す機会に
こうしたニュースは、目先の売買判断の材料にするより、自分の資産形成の土台を点検するきっかけとして活用するのがおすすめです。
- 保有資産の中身を確認する:ビットコインなど仮想通貨に資産のどれくらいの割合を置いているか、値動きが大きく動いたときに生活に支障が出ない範囲に収まっているかを確認しましょう。
- 一つの資産に集中しすぎていないか見直す:株式・投資信託・現金・仮想通貨など、複数の資産に分けておくことで、特定の資産の急落が家計全体に与える影響を抑えやすくなります。
- 積立投資の考え方を思い出す:値動きが大きい局面ほど、一度にまとまった金額を投じるのではなく、時間を分散して淡々と積み立てる方法(ドルコスト平均法)が精神的な負担を抑えやすいとされています。ただし、これも将来の利益を保証する手法ではありません。
例えば、毎月一定額をコツコツ積み立てる方法であれば、価格が高いときには少ない数量を、価格が安いときには多くの数量を購入することになり、一括投資に比べて平均購入単価が偏りにくくなるという特徴があります。あくまで一つの考え方の例であり、将来の成果を保証するものではない点にご注意ください。
具体的なアクション・心構え
- ニュースの見出し(「◯%上昇」「◯%下落」)だけで一喜一憂せず、自分がどんな目的・期間で保有しているかを思い出す
- 「9月は下がるらしい」という情報だけで慌てて売却したり、逆に「今のうちに」と焦って買い増したりしない
- 仮想通貨を保有・購入する場合は、必ず金融庁登録の暗号資産交換業者を利用する
- 生活費や近い将来に使う予定のあるお金ではなく、余剰資金の範囲で行う
判断に迷ったときに自分に問いたい3つの質問
「今すぐ売るべきか、買うべきか」と迷ったときは、値動きの予想に頼るのではなく、次のような質問を自分に投げかけてみることをおすすめします。
- このお金は、いつまでに何のために使う予定のお金か:数年以内に使う予定のお金であれば、そもそも値動きの大きい資産に置くこと自体を見直す余地があります。
- 仮に価格が半分になっても、生活に支障は出ないか:仮想通貨は短期間で大きく値下がりすることも珍しくありません。最悪のケースを想定しても心理的・生活的に耐えられる金額かどうかを確認しましょう。
- この情報は「事実」か「誰かの見立て」か:「◯%上昇した」という数値は事実ですが、「9月は下がる」「まだ上がる」という見立てはあくまで一つの意見です。事実と意見を区別して受け止める癖をつけると、感情的な売買を避けやすくなります。
これらの質問に答えていくプロセス自体が、目先のニュースに振り回されない資産形成の土台づくりにつながると筆者は考えます。
注意点・NG行動
仮想通貨は株式以上に価格変動が大きい資産です。以下のような行動は避けましょう。
- SNS上の「アノマリー通りに必ず下がる/上がる」といった断定的な情報を鵜呑みにして売買すること
- 短期間で大きな利益を狙って、生活防衛資金にまで手を出すこと
- 取引所の選定を怠り、セキュリティ体制や登録状況を確認しないまま資産を預けること(詐欺やハッキングによる資産消失のリスクがあります)
- 利益が出た場合の税金(雑所得として扱われ、所得によっては確定申告が必要になるケースがあります)を考慮せずに使い切ってしまうこと。税金の具体的な計算や申告要否は、国税庁や税理士に確認することをおすすめします
まとめ ―― アノマリーに振り回されず、自分のペースで
2026年8月のビットコインは過去14年で3番目に高い月間リターンを記録した一方、市場では9月の季節的な弱さへの警戒も広がっています。しかし直近3年はこのアノマリーに反してプラスで終えており、過去の傾向がそのまま繰り返される保証はありません。
大切なのは、こうした話題の一つひとつに振り回されて短期的な売買判断を繰り返すことではなく、自分の資産配分や投資目的を定期的に点検し、余剰資金の範囲で長期的に付き合っていく姿勢だと筆者は考えます。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産の購入・売却を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れや資産の一部・全部を失う可能性がある商品です。投資は必ず自己責任で、余剰資金の範囲内で行ってください。

