
「NISAで積立を始めたけど、この利回りだと将来いくらになるのか全然イメージが湧かない…」

「複利ってよく聞く言葉だけど、具体的に何年で資産が2倍になるのか、計算方法が分からないんだよね」
結論から言うと、「72の法則」を使えば「72 ÷ 想定利回り(%) ≒ 資産がおおよそ2倍になる年数」という形で、複利の効果をざっくり直感的に把握できます。暗算に近い形で試算できる便利な考え方ですが、あくまで概算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。この記事では、72の法則の仕組みと使い方、試算するときの注意点を初心者向けに解説します。
そもそも「72の法則」とは?初心者でもわかる複利の仕組み
72の法則は、複利で運用した資産がおよそ2倍になるまでの年数を、簡単な割り算で見積もる考え方です。計算式はとてもシンプルです。
- 72 ÷ 年利回り(%) = 資産がおよそ2倍になる年数
例えば年利5%で運用できた場合、「72 ÷ 5 = 14.4」となり、およそ14.4年で資産が2倍になる計算になります。これは「複利」、つまり運用で得た利益をさらに元本に組み入れて再投資していくことを前提にした目安です。単利(利益を再投資せず、常に当初の元本にだけ利息がつく計算方法)とは増え方が異なり、複利のほうが長期になるほど増え方が大きくなりやすいとされています。
金融庁のNISA特設ウェブサイトでも、長期投資を続けるほど運用益がさらに運用されて増えていく複利の効果が大きくなる傾向があると説明されています。
📰 出典:金融庁「NISA特設ウェブサイト 資産形成の基本」
72の法則そのものは、証券会社の投資教育コンテンツなどでも初心者向けの複利の目安として広く紹介されている考え方です。
📰 出典:野村證券 Fin Wing「複利運用の豆知識!『72の法則』とは?」
72の法則の使い方 資産形成の計画に活かす5つのステップ
72の法則自体は難しい数式ではありません。次の5つのステップで、自分の資産形成の「時間感覚」をつかむ材料として使ってみましょう。
1. 計算式を覚える(72 ÷ 想定利回り=倍化年数)
まずは「72 ÷ 想定利回り(%) = 資産がおよそ2倍になる年数」という式だけ覚えておけば十分です。電卓やスマホの計算機があればすぐに試算できます。
2. 想定利回りを控えめに設定してみる
将来の利回りは誰にも断定できません。過去の実績がそのまま将来も続くとは限らないため、楽観的な数字だけでなく、控えめな水準も含めて複数のパターンで試算するのがポイントです。以下は代表的な利回りごとの目安です(あくまで一例の試算であり、将来の運用成果を保証するものではありません)。
- 年3%の場合:約24.0年で資産がおよそ2倍になる目安
- 年5%の場合:約14.4年で資産がおよそ2倍になる目安
- 年7%の場合:約10.3年で資産がおよそ2倍になる目安
- 年10%の場合:約7.2年で資産がおよそ2倍になる目安
上記の目安を見ると分かるとおり、利回りが高いほど倍加年数は短くなりますが、一般に期待リターンが高い商品ほど値動き(リスク)も大きくなる傾向があるとされています。利回りの数字だけを見て「高いほうがお得」と単純に判断しないようにしましょう。
3. NISA・つみたて投資に当てはめて試算する
つみたて投資枠などでインデックス投資信託を積み立てている場合、自分が想定する利回りを72の法則に当てはめてみると、「あと何年くらいで元本の目安が2倍になりそうか」というおおまかな感覚がつかめます。ただし、これは一括投資を前提にした簡易計算であり、毎月コツコツ積み立てるケースではこの通りの年数にはならない点に注意してください。積立投資の場合は、証券会社の積立シミュレーターなど、より精緻なツールで試算するのがおすすめです。
4. 複数パターンで比較し、「時間を味方につける」感覚をつかむ
72の法則の一番の使いどころは、正確な予測をすることではなく、「長く続けるほど複利の効果が大きくなりやすい」という感覚を持つことです。同じ利回りでも、運用期間が長いほど資産が増えるペースが加速していく点を、この式を通じて体感的に理解しておくと、短期的な値動きに一喜一憂しにくくなります。
5. 試算はあくまで目安と理解し、定期的に見直す
一度試算して終わりにせず、家計の状況やライフイベントに応じて積立額や運用方針を定期的に見直しましょう。あくまで目安の計算であることを忘れず、過信しすぎないことが大切です。
72の法則を使うときに注意したいNG行動
便利な考え方である一方、使い方を誤ると誤解につながりやすい点もあります。以下のようなNG行動には注意してください。
高すぎる利回りを前提にしてしまう
「年利15%で運用すれば5年弱で2倍になる」といった皮算用は、裏を返せばそれだけ大きな価格変動リスクを伴う運用を前提にしているということです。高い利回りをうたう怪しい投資話や「必ず年利〇%」といった断定的な勧誤には特に注意しましょう。
「必ず2倍になる」と誤解する
72の法則はあくまで一定の利回りが続いたと仮定した場合の概算です。実際の相場は上下しますし、想定した利回りを下回ることも、元本を割り込むこともあります。「計算上こうなる」と「実際にそうなる」は別物だと理解しておく必要があります。
手数料・税金を考慮せずに試算だけを鵜呑みにする
投資信託の信託報酬などのコストや、利益にかかる税金は、実際の手取りの増え方に影響します。72の法則はこうしたコストを含めていない単純計算なので、実際の資産形成の計画を立てる際は、手数料や税制も踏まえて考えることが大切です。
リスクと注意点
株式や投資信託には、価格変動によって投資した元本を下回る「元本割れ」のリスクが常にあります。72の法則で算出される年数も将来の運用成果を保証するものではなく、想定した利回りを下回ったり、逆に一時的に上回ったりする可能性があります。無理のない範囲で、生活防衛資金を確保したうえで、余剰資金の範囲で投資を行うようにしてください。
制度や税制は変わることがあるため、NISAなどの最新情報は金融庁や各証券会社の公式サイトで確認することをおすすめします。
まとめ 72の法則は「時間を味方につける」感覚をつかむ第一歩
72の法則は、「72 ÷ 想定利回り(%) = 資産がおよそ2倍になる年数」というシンプルな計算式で、複利の効果と時間の関係を直感的に理解するための考え方です。正確な将来予測をするための道具ではなく、あくまで長期投資の感覚をつかむための目安として活用するのがポイントです。
利回りの数字を追いかけて焦るのではなく、控えめな想定でコツコツ積立を続けながら、リスクを理解したうえで自分のペースで資産形成に取り組んでいきましょう。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行ってください。
—

