先進国株式と新興国株式のインデックス、何が違う?初心者が知っておきたい特徴とリスク

株式投資

「『全世界株式(オルカン)』を積み立てているけど、『先進国株式インデックス』とか『新興国株式インデックス』っていう商品も見かけて、何が違うのか分からなくなってきた…」

「新興国って聞くと成長しそうなイメージもあるけど、リスクも大きそうで、どう考えればいいんだろう」

結論から言うと、「先進国株式インデックス」は主に米国・欧州・日本などの経済的に成熟した国・地域の株式に、「新興国株式インデックス」は中国・インド・ブラジルなど経済成長の途上にある国・地域の株式に、それぞれ連動することを目指すインデックスファンドです。一般的に新興国株式は先進国株式より値動き(ボラティリティ)が大きく、為替や政治情勢の影響も受けやすいとされる一方、長期的な経済成長への期待も語られます。どちらが優れているという単純な話ではなく、リスクの性質が異なる資産だと理解したうえで、自分の分散投資の考え方に組み込むかどうかを判断することが大切です。この記事では、投資初心者の方に向けて、両者の違いと選ぶときの考え方を整理します。

なお、本記事は2026年8月執筆時点の情報をもとにしています。指数の構成や各金融商品の詳細は変更される可能性があるため、実際に商品を選ぶ際は必ず金融庁や運用会社・証券会社の最新の公式情報をご確認ください。また、株式投資信託は元本が保証された商品ではなく、値上がり・値下がりによって元本を下回る(元本割れする)可能性があることを前提にお読みください。

そもそも「先進国株式」「新興国株式」インデックスとは何を指すのか

投資信託の商品名によく出てくる「先進国株式」「新興国株式」は、多くの場合、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)という指数会社が算出する株価指数に連動することを目指しています。

  • 先進国株式インデックス:代表的な指数に「MSCIコクサイ・インデックス」(日本を除く先進国株式)や「MSCIワールド・インデックス」(日本を含む先進国株式)があります。米国・英国・フランス・ドイツなど、経済的に成熟した国・地域の大型株・中型株が中心です。
  • 新興国株式インデックス:代表的な指数に「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」があります。中国・インド・台湾・韓国・ブラジルなど、経済成長の途上にあるとされる国・地域の株式で構成されます。

📰 出典:MSCI Index Definitions(MSCI公式)

「全世界株式」を対象とする指数(MSCI ACWIなど)は、この先進国と新興国の両方をまとめて時価総額の比率に応じて組み入れたものです。つまり、いわゆる「オルカン」的な商品を1本持っていれば、先進国と新興国の両方に、時価総額に応じた比率ですでに分散投資していることになります。

先進国株式と新興国株式、リスクの性質はどう違う?

値動き(ボラティリティ)の傾向

一般的に、新興国株式は先進国株式に比べて値動きが大きくなりやすいとされています。企業のガバナンス体制や情報開示の水準が国によって差があること、政治・経済の安定度にばらつきがあることなどが背景として挙げられます。上昇するときの勢いが大きい局面がある一方、下落するときの下げ幅も大きくなりやすい点には注意が必要です。

為替リスク

先進国株式・新興国株式のいずれも、外貨建て資産に投資する場合は為替変動の影響を受けます。新興国通貨は先進国通貨と比べて対円での変動幅が大きくなる傾向があるともされ、株価の値動きに加えて為替の変動も上乗せされる点は理解しておく必要があります。

政治・制度リスク

新興国では、政策転換や資本規制、外国資本への規制強化など、先進国よりも制度変更のリスクが相対的に高いとされる場面があります。特定の国の情勢によって、その国・地域の株式市場全体が大きく影響を受けることもあります。

流動性リスク

新興国の株式市場は、先進国の主要市場と比べて売買代金が少ない銘柄も多く、急落時に売りたいタイミングで売りにくくなる「流動性リスク」が相対的に高いといわれることがあります。

新興国株式に「成長期待」があるといわれる理由

新興国株式が語られる際によく挙げられるのが、人口増加や経済成長率の高さです。先進国に比べて人口構成が若く、今後の経済成長率が相対的に高いと見込まれている国・地域が多いことから、「将来的な株式市場の拡大が期待できる」という見方が紹介されることがあります。

ただし、これはあくまで一般的に語られる見方であり、実際に株価のリターンとして実現するかどうかは別の話です。経済成長率が高い国の株価が必ずしも右肩上がりになるとは限らず、逆に成長率が鈍化した局面で株価が大きく調整することもあります。「成長が期待される=儲かる」と単純に結び付けず、あくまでリスクとリターンが表裏一体である資産の一つとして捉えることが大切です。

信託報酬(コスト)の違いにも注目

一般的に、新興国株式に投資するインデックスファンドは、先進国株式インデックスファンドと比べて信託報酬(保有中にかかる運用管理費用)がやや高めに設定されている傾向があります。情報収集や取引にかかるコストが相対的に大きいことなどが理由とされています。長期で保有する場合、この差は無視できない金額になることもあるため、商品を比較する際は目論見書や商品ページで信託報酬の水準を必ず確認しましょう。

📰 出典:投資信託の仕組み(投資信託協会)

全世界株式(オルカン)と、先進国・新興国を分けて持つ方法の違い

投資信託の選び方には、大きく分けて次の2つの考え方があります。

① 全世界株式インデックス1本にまとめる考え方

MSCI ACWIなどに連動する全世界株式インデックスファンドを1本持てば、先進国と新興国の比率調整をファンド側(指数側)に任せることができます。時価総額比率に応じて自動的に配分されるため、管理の手間が少なく、初心者にも選ばれやすい方法です。

② 先進国株式・新興国株式を別々に組み合わせる考え方

先進国株式インデックスファンドと新興国株式インデックスファンドを別々に購入し、自分で比率を決めて組み合わせる方法もあります。「新興国の比率を時価総額よりも意図的に増やしたい/減らしたい」といった考えを持つ人が選ぶことがある方法ですが、比率の調整やリバランスを自分で行う手間が増えます。

📰 出典:NISAを知る(金融庁)

どちらの方法にも一長一短があり、「必ずこちらが正解」というものではありません。管理の手間をかけたくない人は①、地域配分について自分なりの考えを反映したい人は②を検討する、という程度の一般的な整理として参考にしてください。

GPIF(年金積立金)の分散投資の考え方も参考になる

公的年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、国内債券・国内株式・外国債券・外国株式という資産クラスに分散した基本ポートフォリオを公表しています。個人の資産運用にそのまま当てはまるものではありませんが、「一つの国・地域に集中せず、複数の資産に分散する」という考え方は、先進国株式と新興国株式の関係を考えるうえでも参考になります。

📰 出典:基本ポートフォリオの考え方(GPIF)

先進国株式・新興国株式インデックスを選ぶときにやりがちなNG行動

  • 新興国株式の「成長期待」だけを見て、値動きの大きさを確認せずに多くの資金を投じてしまう:下落局面で想定以上の含み損に驚き、狼狽売りにつながりやすくなります。
  • 信託報酬を比較せず、なんとなく名前が魅力的な商品を選んでしまう:長期で保有するほど、コストの差はリターンに影響してきます。
  • 一時的なニュース(特定の国の好調・不調)だけを見て、比率を頻繁に変更してしまう:短期的な値動きに振り回されると、かえって長期のリターンを損なう可能性があります。
  • 全世界株式ファンドと、先進国株式・新興国株式ファンドを目的なく重複して保有してしまう:意図せず特定の地域への配分が偏ったり、管理が煩雑になったりすることがあります。

始める前に知っておきたいリスクと注意点

先進国株式・新興国株式のいずれも、預貯金とは異なり元本が保証された商品ではありません。基準価額は市場の動きによって日々変動し、購入時より値下がりして元本割れとなる可能性があります。特に新興国株式は、値動きの大きさに加えて為替・政治・流動性など複数のリスク要因が重なりやすく、先進国株式よりもリスクが高い資産クラスとして扱われることが一般的です。

「新興国株式を組み込んだ方がいい」「先進国株式だけで十分」といった特定の配分を推奨するものではありません。最終的な資産配分の判断は、ご自身のリスク許容度や投資の目的に照らして行ってください。制度・商品ラインナップは変更される可能性があるため、実際に商品を選ぶ際は必ず金融庁や利用予定の証券会社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資は必ずご自身の判断と責任において、余剰資金の範囲で行ってください。

まとめ 「違うリスクの資産」と理解したうえで、無理のない分散を

先進国株式インデックスと新興国株式インデックスは、どちらも「株式」というくくりでは同じでも、値動きの大きさ・為替や政治の影響の受けやすさ・コストの水準が異なる、性質の違う資産です。優劣で考えるのではなく、「自分がどのくらいの値動きなら受け止められるか」という視点から、全世界株式1本にまとめるのか、あえて比率を自分で決めるのかを考えてみましょう。

分からないことがあれば、証券会社の商品ページや目論見書で一つずつ確認しながら、焦らず自分に合った分散投資の形を探っていくことが大切です。

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