信用取引の「追証」とは?発生する仕組みと初心者が知っておきたい注意点

株式投資

「信用取引を調べていたら『追証』って言葉が出てきたんだけど、正直よく分からなくて…」

「『払えないと大変なことになる』みたいな話も見かけて、ちょっと怖くなっちゃった」

結論から言うと、追証(追加保証金)とは、信用取引で預けている担保(委託保証金)の価値が値下がりなどで一定の水準を下回ったときに、証券会社から追加の入金を求められる仕組みのことです。期日までに入金できないと、保有している建玉(ポジション)が証券会社によって強制的に決済されてしまうこともあります。この記事では、追証が発生する仕組みと、信用取引を検討する前に知っておきたい注意点を初心者向けに整理します。

そもそも信用取引とは?現物取引との違い

まず前提として、信用取引の基本を確認しておきます。

株式の取引には大きく分けて「現物取引」と「信用取引」の2種類があります。現物取引は自分が持っている資金の範囲で株式を売買する方法で、最大の損失は投じた資金(元本)までに限られます。一方、信用取引は証券会社に一定の担保(委託保証金)を預け、その担保を元手に証券会社からお金や株式を借りて売買する方法です。少ない資金で担保の何倍もの金額の取引ができる「レバレッジ」がかけられる分、値動きによる損益も拡大し、預けた担保以上の損失が発生する可能性がある点が、現物取引との大きな違いです。

追証が発生する仕組み

ここからは、追証がどのような流れで発生するのかを整理します。

委託保証金率(維持率)とは

信用取引を始める際、証券会社に「委託保証金」を預けます。委託保証金は現金だけでなく、保有している株式などの有価証券を担保として代用することも可能です。この預けた担保の評価額が、保有しているポジション(建玉)の金額に対してどのくらいの割合あるかを示すのが「委託保証金率(維持率)」です。

維持率が一定水準を下回ると追証が発生

建玉の含み損が拡大したり、代用として預けている有価証券の株価が下落したりすると、委託保証金率はリアルタイムに変動し、下がっていきます。多くの証券会社では、この委託保証金率が20%程度を下回ると追証が発生する仕組みになっていると案内されています。

📰 出典:追証(=追加証拠金)とは?|信用取引|楽天証券

追証には入金期限がある

追証が発生すると、証券会社が定める期日までに不足分の保証金を追加で差し入れる必要があります。入金期限は証券会社や取引の種類(制度信用・一般信用など)によって異なり、発生日を含めて数営業日以内に設定されているのが一般的です。

📰 出典:信用取引(日本株)で追加保証金(追証)が発生する条件を教えてください。|松井証券 よくあるご質問

期日までに入金しないと強制決済(ロスカット)される

期日までに追証を解消できない場合、証券会社によって建玉が強制的に反対売買で決済される(いわゆる強制決済・ロスカット)ことがあります。強制決済は自分の意思とは関係なく執行されるため、想定していないタイミング・価格で損失が確定してしまう可能性があります。

📰 出典:追証(おいしょう)|SMBC日興証券 用語集

※ 委託保証金率の基準(20%など)や追証の入金期限、解消に必要な水準(33%以上など)は証券会社ごとにルールが異なります。本記事の数値は執筆時点(2026年8月)の一般的な目安であり、実際に取引する証券会社の最新の規定を口座開設先の公式サイトで必ず確認してください。

資産形成の視点から見た信用取引・追証の注意点

ここからは、信用取引や追証という仕組みを、資産形成全体の中でどう捉えるかを考えます。

レバレッジは利益も損失も拡大させる

信用取引は少ない資金で大きな金額の取引ができる分、値上がりしたときの利益も、値下がりしたときの損失も、現物取引に比べて大きくなります。追証や強制決済は、この「損失が拡大しやすい」という性質の延長線上にある仕組みだと理解しておくことが大切です。「少ない資金で大きく増やせる」という側面だけに注目せず、「少ない資金で大きく減る可能性もある」という側面も同時に理解しておく必要があります。

初心者はまず現物取引で経験を積む選択肢もある

信用取引は投資の選択肢のひとつですが、追証や強制決済の仕組みを正しく理解しないまま始めると、想定外の大きな損失につながりかねません。長期・分散・積立を基本とする資産形成という観点では、まずは現物取引で株式や投資信託の値動きに慣れることを優先し、信用取引を利用する場合はその仕組みとリスクを十分に理解したうえで検討する、という順序が考えられます。

「余剰資金の範囲」は信用取引ではより重要になる

現物取引であれば、投じた資金の範囲を超えて損失が出ることはありません。しかし信用取引では、担保として預けた金額を超える損失が発生する可能性があるため、「生活に必要なお金には絶対に手を出さない」という原則が、現物取引以上に重要になります。

追証に関するNG行動・注意点

  • 追証の仕組みを理解しないまま信用取引を始める:レバレッジをかけた取引が持つリスクの大きさを理解しないまま取引を始めると、想定外の損失に直面する可能性があります。
  • 含み損を取り返そうとポジションを増やす:追証が発生しそうな状況で、損失を取り返そうと新たな建玉を増やす行為は、リスクをさらに拡大させる可能性があります。
  • 入金期限を確認せず放置する:追証には証券会社ごとに定められた期限があります。通知を見落として放置すると、意図しないタイミングで強制決済されるおそれがあります。
  • 借入や生活費を取り崩して追証に充てる:追証の入金に生活費や借入金を充てることは、家計全体のリスクを一段と高める行為であり、避けるべきです。

まとめ 追証は「信用取引のリスクの大きさ」を象徴する仕組み

追証は、信用取引で預けた担保の価値が一定水準を下回ったときに追加入金を求められる仕組みであり、期日までに対応できないと強制決済につながることもあります。信用取引そのものを否定するものではありませんが、レバレッジをかける取引には、現物取引にはない「担保以上の損失」というリスクが伴うことを理解したうえで、自分の知識と資金力に見合った取引方法を選ぶことが大切です。

信用取引を含む株式投資には、常に価格変動と元本割れ、さらには元本を超える損失のリスクが伴います。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の取引手法や金融商品の利用を推奨するものではありません。投資の最終判断は、必ずご自身の責任で、無理のない範囲で行ってください。

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