
「成長投資枠なら、投資信託でも株でも何でも自由に買えるんだよね?」

「実は一部の商品は対象外って聞いたんだけど、何が除外されてるんだろう…」
結論から言うと、NISAの成長投資枠は「つみたて投資枠」に比べて対象商品の幅が広いものの、すべての商品が買えるわけではありません。信託期間が短い投資信託や、毎月分配型・高レバレッジ型の投資信託などは、長期の資産形成にそぐわないという考え方から対象から除外されています。この記事では、成長投資枠で「買えない」商品の条件を初心者向けに整理します。
※ 本記事は2026年7月執筆時点の制度に基づく一般的な解説です。対象商品の判定は個々の商品ごとに行われるため、実際に購入する際は必ず金融庁NISA特設ウェブサイトや取扱いの証券会社・銀行の公式情報でご確認ください。
成長投資枠とは何か おさらい
つみたて投資枠より対象商品が幅広い「もう一方の枠」
NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠があります。つみたて投資枠が、金融庁が定めた長期・積立・分散投資に適した投資信託に限定されているのに対し、成長投資枠は上場株式や幅広い投資信託などを購入できる枠として設計されています。
とはいえ「成長投資枠=何でも買える枠」ではなく、非課税制度にふさわしくないと考えられる一部の商品はあらかじめ対象から除かれています。この「除外条件」を知っておくことは、口座で購入しようとした商品が対象かどうかを見分けるうえで役立ちます。
成長投資枠で対象から除外される主な条件
1. 信託期間が20年未満の投資信託
投資信託には「信託期間」(運用を続ける期間)が定められている商品があります。成長投資枠では、信託期間が無期限、または20年以上のものが対象とされており、信託期間が20年未満に定められている投資信託は対象外とされています。長期の資産形成を前提とした制度のため、運用期間があらかじめ短く区切られている商品はなじまないという考え方に基づくものです。
📰 出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト
2. 毎月分配型の投資信託
毎月決算を行い、その都度分配金を支払うタイプの投資信託(毎月分配型)は、成長投資枠の対象から除外されています。分配金を毎月受け取れる点は魅力に感じられるかもしれませんが、分配金の支払いによって基礎となる純資産が目減りしやすく、複利効果を活かした長期の資産形成という制度の趣旨とは方向性が異なるため、対象外とされています。
📰 出典:トウシル(楽天証券)「新NISAで『毎月分配型』の投資信託が対象外となっている理由とは?」
3. デリバティブ取引を用いた高レバレッジ型の投資信託
先物取引などのデリバティブを活用し、値動きを2倍・3倍に増幅させるようなレバレッジ型の投資信託・ETFも、成長投資枠の対象から除外されています。短期的な値動きを狙う商品性が強く、長期・分散投資という制度の目的にそぐわないと判断されているためです。
4. 上場廃止が決定・整理銘柄などに指定された株式
個別株式についても、上場廃止が決定した銘柄や、整理銘柄・監理銘柄に指定されている株式など、一定の要件に該当するものは対象から除外されます。通常の証券口座では売買できても、非課税制度の対象としてはなじまないという整理です。
筆者の私見 「対象外=悪い商品」ではない
ここからは筆者の私見です。成長投資枠の対象から外れているからといって、その商品自体が「悪い金融商品」というわけではありません。毎月分配型の投資信託やレバレッジ型のETFにも、それぞれの目的(毎月の生活費の足しにしたい、短期的な値動きを積極的に取りにいきたい等)に応じて選ばれている実態があります。
あくまで「非課税制度であるNISAの趣旨(長期・積立・分散による資産形成の後押し)に合うかどうか」という基準で線引きがされている、と捉えるのが実態に近いと考えます。除外条件を知ることは、NISAという制度がそもそもどのような投資スタイルを想定して作られているかを理解することにもつながります。
資産形成への発展 「対象かどうか」より「自分の方針に合うか」で選ぶ
このテーマから読者の資産形成に生かせる学びは、商品を選ぶときに「NISAで買えるかどうか」だけでなく「自分の投資方針に合っているかどうか」で判断する視点です。
成長投資枠で買える商品であっても、値動きの大きい個別株や特定のテーマに偏った投資信託に集中させてしまえば、資産全体のリスクは高まります。逆に、対象外だからという理由だけで毎月分配型やレバレッジ型を頭から否定する必要もありません。大切なのは、それぞれの商品の仕組み・リスクを理解したうえで、自分の目的(長期の資産形成なのか、短期的な値動きを取りにいきたいのか)に合わせて使い分けることです。
具体的なアクション・心構え
- 購入前に「対象商品かどうか」を証券会社の画面で確認する: NISA口座での買付画面には、対象・対象外の表示がされているのが一般的です
- 金融庁NISA特設ウェブサイトで最新の制度概要を確認する: 対象条件は変更される可能性があるため、購入前に公式情報を確認する習慣をつけましょう
- 「除外されている理由」を理解してから商品を選ぶ: 信託期間・分配方針・レバレッジの有無など、除外の背景にある考え方を知ることは、他の商品を選ぶ際の判断材料にもなります
- 成長投資枠でも分散を意識する: 対象商品の幅が広い分、個別株や特定テーマへの集中投資に偏りやすい点に注意しましょう
注意点・NG行動
- 「NISA対象商品だから安全」「対象外だから危険」という単純な二元論で判断すること(対象条件は非課税制度としての適格性を定めたものであり、リスクの高低を直接示すものではありません)
- 制度の細かい条件を確認せず、証券会社の説明を読まずに購入すること
- 成長投資枠だからといって、値動きの大きい個別株やテーマ型投資信託に資金を集中させること
- 対象商品の条件は将来変更される可能性がある点を踏まえず、古い情報のまま判断すること
投資信託・株式にはいずれも価格変動・元本割れのリスクがあります。NISAは非課税制度であって、元本を保証する制度ではない点にも改めて注意してください。
まとめ 除外条件を知って、制度の趣旨を理解しよう
NISA成長投資枠は、つみたて投資枠に比べて対象商品の幅が広い一方で、信託期間20年未満の投資信託、毎月分配型投資信託、高レバレッジ型の投資信託・ETF、一定の要件に該当する個別株式などは対象から除外されています。
これらの除外条件は、NISAという非課税制度が「長期・積立・分散による資産形成」を後押しする目的で設計されていることの表れでもあります。対象かどうかを確認することはもちろん大切ですが、それ以上に「自分の資産形成の目的に合った商品を選べているか」を意識することが、長期的には重要になってきます。最終的な商品選びと投資判断はご自身の責任で、余剰資金の範囲で行い、最新の制度内容は必ず公式情報でご確認ください。

