
「個人向け国債の金利が上がってるってニュースで見たけど、そもそも国債って何が良いのか分からない…」

「NISAで投資信託を積み立ててるけど、国債にも興味が出てきたんだよね」
結論から言うと、財務省が発表した2026年7月募集分の個人向け国債は、固定5年が年1.95%、変動10年が年1.80%、固定3年が年1.56%と、いずれも数年前の超低金利時代と比べて高い水準になっています。ただし、これは「国債が投資信託や株式より優れている」という意味ではありません。国債・預金・NISAにはそれぞれ役割の違いがあり、金利が上がったからといって、資産の全てを一つの商品に寄せるのは避けたい考え方です。この記事では、今回の金利上昇のニュースを整理したうえで、預金・国債・NISAをどう使い分ければよいかを考えます。
※ 本記事は2026年7月時点で発表された情報をもとにした解説であり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。金利・発行条件は変更されることがあるため、最新情報は必ず財務省の公式サイトでご確認ください。
ニュースの要点整理 2026年7月募集分・個人向け国債の発行条件
発表された利率
財務省は2026年7月募集分の個人向け国債について、変動10年が年1.80%、固定5年が年1.95%、固定3年が年1.56%になったと発表しました。あわせて、銀行などで購入できる「新窓販国債2年」の利率も年1.4%に決定したと報じられています。募集期間は2026年7月6日から7月31日まで、発行日は同年8月17日とされています。
📰 出典:LIMO「財務省、7月募集分『新窓販国債2年』の利率を発表 利率は1.4%に決定!発行条件や5年・10年、個人向け国債のスケジュールをチェック」
個人向け国債は、国(日本政府)が個人投資家向けに発行する債券で、財務省の公式サイトで毎月の発行条件が公表されています。最新の発行条件や募集スケジュールの詳細は、財務省の個人向け国債ページで確認できます。
📰 出典:財務省「個人向け国債」
なぜ金利が上がっているのか
背景には、日本銀行が2025年12月と2026年6月の金融政策決定会合で相次いで利上げを決定し、政策金利がおよそ31年ぶりの高水準まで引き上げられたことがあります。これに伴って市場金利全体が上昇し、個人向け国債の利率にも反映される形になっています。長期金利(新発10年物国債利回り)についても、2026年7月上旬に一時2.72%まで上昇したと報じられています。
個人向け国債には「最低金利保証(年0.05%)」と「1年経過後は国が額面で買い取る中途換金制度」という特徴があります。銀行預金とは異なる仕組みですが、発行体が国であることから、株式や投資信託と比べて値動きが穏やかな「守りの資産」として位置づけられることが多い商品です。
筆者の私見 「金利が上がった」だけで判断先を決めない
ここからは筆者の私見です。あくまで一つの見方として読んでいただければと思います。
「国債の金利が上がった=お得」と単純化しない
固定5年が年1.95%という数字だけを見ると、超低金利が続いていた時期を知る人ほど「これは良い商品だ」と感じるかもしれません。実際、預金だけを続けてきた人にとっては選択肢が広がったと言えます。ただし、個人向け国債はあくまで「元本と決まった利息を受け取る」タイプの商品であり、株式や投資信託のように将来大きく増える可能性がある一方で、インフレ(物価上昇)が進んだ場合には、実質的な購買力ではあまり増えていない、という結果になることもあります。金利の数字の高さだけで「これが正解」と決めつけないことが大切だと感じています。
金利上昇はまだ続くとも、ここで一服するとも断定できない
日銀の利上げペースや長期金利の先行きについては、専門家の間でも見方が分かれています。今後さらに金利が上昇する可能性もあれば、ここでいったん落ち着く可能性もあり、筆者を含め誰にも正確な予測はできません。「今のうちに固定5年で確定させておくべきだ」とも「もっと金利が上がるまで待つべきだ」とも、この記事では断定しません。あくまで、金利が動く局面では、自分の資産全体の中でどんな役割を国債に持たせたいかを考えることが重要だと考えます。
資産形成への発展 預金・国債・NISAをどう使い分けるか
今回のニュースは、資産の置き場所を改めて整理するきっかけになります。それぞれの特徴を大まかに比べてみましょう。
| 商品 | 主な役割 | 値動きの目安 | 注意点 | |—|—|—|—| | 普通預金・定期預金 | すぐに引き出せる生活防衛資金 | ほぼ変動しない | インフレに弱い、金利は金融機関により差がある | | 個人向け国債 | 元本を確保しつつ利息を得る守りの資産 | ほぼ変動しない(中途換金にルールあり) | 1年未満は原則換金不可、インフレへの強さは限定的 | | NISA(投資信託・株式等) | 長期的な資産の増加を目指す | 変動する(値上がり・値下がりの両方あり) | 元本割れの可能性がある、短期の値動きに一喜一憂しない姿勢が必要 |
- 生活防衛資金は預金で確保する:数か月分の生活費など、すぐに使う可能性があるお金は、値動きのない預金で確保しておくのが基本的な考え方です。
- 当面使う予定のない資金の一部を国債で「守りながら増やす」:数年先に使う予定があるなど、値動きのリスクを取りたくない資金については、個人向け国債も選択肢の一つになり得ます。ただし1年未満は原則として中途換金できない点には注意が必要です。
- 長期で使わない資金はNISAでの積立も選択肢に:10年、20年先など、当面使う予定のない資金については、値動きはあるものの長期的な資産の増加を目指すNISAでの積立投資も選択肢として検討されることがあります。
簡単な試算で「守りの資産」のイメージをつかむ
たとえば、固定5年(年1.95%)の個人向け国債に100万円を預けた場合、単純計算では税引前で年間およそ1万9,500円の利息を受け取れる計算になります(実際には税金が差し引かれ、金利は年ごとに変わる場合があります)。同じ100万円を普通預金に置いた場合と比べれば大きな差に見えるかもしれませんが、この試算はあくまで一例であり、将来の物価上昇率次第では、実質的な価値の増え方は目減りする可能性もあります。「増える金額」だけでなく「何のためにそのお金を置いておくのか」という目的とセットで考えることが大切です。
どの配分が正解ということはなく、年齢や収入、リスク許容度、資金を使う時期によって適切な組み合わせは人それぞれ異なります。「金利が上がったから国債に全額移す」「投資信託の方が期待リターンが高いから国債は不要」といった極端な判断ではなく、複数の資産の役割を理解した上でバランスを考える視点が大切です。
NISAとの違いを整理しておく
個人向け国債とNISAは、どちらも「資産形成の選択肢」として語られることがありますが、性質はかなり異なります。個人向け国債は国が発行する債券そのものであり、あらかじめ決まった利率で利息を受け取る仕組みです。一方、NISAは「非課税で投資できる制度の名称」であり、その中で投資信託や株式などを購入すると、値動きに応じて資産が増えることも減ることもあります。「国債とNISA、どちらが良いか」という二択で考えるのではなく、「守りの資産には個人向け国債、長期的に増やしたい資金の一部はNISAでの積立」というように、目的に応じて組み合わせる考え方の方が実情に合っていると言えるでしょう。
具体的なアクション・心構え
- 今の資産の置き場所を一覧にしてみる:預金・国債・NISA・その他の投資がそれぞれどれくらいの割合になっているか、一度書き出して確認してみましょう。
- 生活防衛資金が足りているか確認する:投資や国債にお金を回す前に、まずは当面の生活費を確保できているかを見直しましょう。
- 個人向け国債を検討する場合は中途換金のルールを理解する:発行から1年間は原則として中途換金できないことや、中途換金時には直近2回分の利子相当額が差し引かれる仕組みがあることなど、条件を事前に確認しておきましょう。
- NISAでの積立は、金利ニュースのたびに方針を変えない:長期・積立・分散を基本とする方針を立てている場合、短期的な金利のニュースで頻繁に売買しないことが基本になります。
- 最新の発行条件は必ず公式サイトで確認する:金利や発行条件は毎月見直されるため、購入を検討する際は財務省の公式サイトで最新情報を確認しましょう。
注意点・NG行動
- 「金利が上がったから国債は絶対にお得」と断定しない。インフレの状況次第では、実質的な価値がどれだけ増えるかは変わってきます
- 生活防衛資金まで個人向け国債に回してしまい、急な出費が必要になったときに困る、という状態は避けましょう(1年未満は原則換金できません)
- 「国債の金利が上がったからNISAでの積立はやめて国債に一本化する」など、極端に資産配分を変えることは避け、それぞれの商品の役割を理解した上で判断しましょう
- 高い利回りをうたう未公開の金融商品や、金融庁に登録のない業者が扱う「特別な国債」のような紹介には注意し、必ず財務省や登録金融機関の公式情報で確認しましょう
- 今後の金利動向について「もっと上がる」「もう打ち止めだ」といった断定的な情報を鵜呑みにしない
まとめ 金利のニュースは資産配分を見直すきっかけに
2026年7月募集分の個人向け国債で、固定5年が年1.95%になったというニュースは、超低金利が続いていた時期と比べれば大きな変化です。ただし、これは「国債が一番お得」という意味ではなく、預金・国債・NISAにはそれぞれ異なる役割があるという前提を忘れないことが大切です。
金利のニュースに触れたときこそ、自分の資産が今どのように配分されているかを点検し、生活防衛資金・守りの資産・長期で増やす資産のバランスを見直す良い機会と捉えてみてはいかがでしょうか。
最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。個人向け国債は元本が確保される仕組みを持つ商品ですが、株式・投資信託等には価格変動・元本割れのリスクがあることを理解した上で、余剰資金の範囲で無理なく取り組むようにしましょう。

