
「クリニックや歯科医院の倒産が過去最多って、投資にも関係あるの?」

「関係ないようで、実は『会社の続け方』を考えるヒントになります。落ち着いて整理してみましょう」
結論から言うと、倒産件数のニュースは、特定の業種や銘柄を判断する材料にするのではなく、「売上があっても続かなくなる理由」を知り、自分の資産の持ち方を点検するきっかけとして使うのがおすすめです。数字ひとつで投資の方針を変える必要はありません。
この記事では、東京商工リサーチが公表した医療機関の倒産動向の報道をもとに、事実を整理したうえで、初心者が落ち着いて受け止めるための3つの視点を解説します。
※本記事は2026年10月18日時点の報道をもとにした情報提供です。最新の数値は、東京商工リサーチなどの公式発表をご確認ください。
報じられている内容:医療機関の倒産は何が起きている?
まず、報じられている内容を事実として整理します。
📰 出典:東京商工リサーチ「1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明」(Yahoo!ニュース掲載・2026年10月18日)
同記事によると、2026年1〜9月の医療機関(病院・一般診療所・歯科診療所のうち負債1,000万円以上)の倒産は59件で、前年同期比28.2%増となり、同期間の過去最多と報じられています。内訳は次のとおりです。
- 病院:8件(前年同期は9件)
- クリニック(一般診療所):29件(同18件)
- 歯科医院:22件(同19件)
また、原因として後継者難による倒産が14件(前年同期は5件)、人手不足による倒産が7件(同4件)と紹介されています。このほか、光熱費や備品の高騰、人口減による患者数の減少、設備の老朽化なども採算悪化の要因として挙げられているとのことです。
ここまでが報道されている事実です。年間の見通しなどは予測であり、実際の結果とは異なる場合があります。
筆者の私見:「売上がある=続けられる」とは限らない
ここからは、あくまで筆者の私見です。
このニュースで興味深いのは、倒産の理由が「人気がない」だけではなく、後継者難や人手不足、コスト上昇など、さまざまな要因が重なっている点です。患者さんが来ていても、費用が増えたり担い手がいなくなったりすれば、事業は続けにくくなります。
これは株式投資にも通じる考え方です。決算書で「売上が増えた」ことだけを見て安心せず、費用や借入、事業を続ける体制まで含めて見ることが大切になります。ただし、今回のニュースから特定の業種や企業の将来を断定できるわけではありません。
初心者が確認したい「倒産ニュース」3つの視点
視点1:件数の増減だけで「その業界は危ない」と決めつけない
「過去最多」という言葉は印象に残りますが、業界全体の数に対する割合や、業態ごとの事情で意味は変わります。たとえば報道では、病院は8件と横ばいで、増えているのはクリニックと歯科医院でした。
投資でも同じです。ニュースの見出しだけで業種全体を「悪い」「良い」と判断せず、自分が投資している対象の中身を確認する姿勢が大切です。
視点2:「続けられる力」は決算書の数字でも確認できる
倒産の背景にある「資金が回らなくなる」状態は、決算書の一部から手がかりを得られます。初心者の方は、まず次の3つを見てみましょう。
- 現金や預金がどれくらいあるか(貸借対照表)
- 借入が収入に比べて重すぎないか(負債の水準)
- 営業キャッシュフローが続けてプラスか(キャッシュフロー計算書)
仮の数字で考えてみます(説明用の例で、実在の企業ではありません)。年間の売上が1億円でも、費用が1億500万円かかれば500万円の赤字です。赤字が続き、手元の現金が尽きると、売上があっても支払いができなくなります。ただし、数字の良し悪しは業種や時期で異なるため、1つの指標だけで判断しないようにしましょう。
視点3:1つの会社・業界に資産を偏らせない
倒産の原因は、本人の努力だけでは防げない外部要因(人口減、コスト上昇など)が重なることもあります。だからこそ、個別の会社の事情に自分の資産が左右されすぎないよう、長期・分散・積立を基本にするという考え方があります。
- 生活費の3〜6か月分を目安に生活防衛資金を確保する(目安は一般的な考え方の一例で、人により異なります)
- 使う予定のない余剰資金の範囲で投資する
- 1つの銘柄や業種に偏りすぎないよう、投資信託などで広く分けることを検討する
やりがちなNG行動
- 倒産ニュースを見て、関連しそうな銘柄を慌てて売買する:ニュースと株価の動きは一致しないことがあり、後から振り返ると逆の動きになる場合もあります
- SNS上の「この業界はもう終わり」といった断定的な声を鵜呑みにする:個人の予想であり、結果を保証するものではありません
- 「過去最多」という言葉だけで、特定の企業や個人を非難する:根拠のない断定は避け、事実と意見を分けて受け止めましょう
まとめ
医療機関の倒産が1〜9月で59件と過去最多になったと報じられました。ただ、このニュースは特定の業種や銘柄の売買を判断する材料ではありません。「売上があっても続けられなくなる理由」を知り、決算書の見方や資産の分散を見直すきっかけとして活用してください。
本記事は情報提供を目的とし、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。株式や投資信託は値下がりして元本割れとなる可能性があります。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で行いましょう。

